投資家の目線

投資家の目線616(日本の裏金 検察・警察編)

 古川利明著「日本の裏金 下 検察・警察編」(第三書館)を読んだ。『五十嵐横浜地検検事正は「年に70回ゴルフコース」と豪語』、「カラオケ狂いの検事総長・北島敬介」、「銀座の高級クラブで頻繁に出入りしていた法務省事務次官・原田明夫」(先日亡くなられた原田明夫氏は北島敬介氏の後任の検事総長で、週刊朝日に検察の不正経理を語った検察首脳も原田氏だという)という検察幹部の実名が並ぶ。検察の裏金の原資は「調査活動費」で、これがトップの「ポケットマネー」になるという。それで足りなければ、カラ出張も原資となる。以前、「検察の裏金告発」の三井環元大阪高検公安部長の講演会で、調査活動費は減っているが法務省予算は削減されておらず、まだ裏ガネ問題は残っているのではないかと聞いた。裏ガネはもちろん不正支出で、行政の腐敗、我々の払った税金の無駄遣いだ。

 関西検察については、土肥孝治元検事総長とともに豪遊ぶりが指摘されていた逢坂貞夫氏は、大阪高検検事長時代有馬温泉に入り浸り、お昼前に出勤していたという三井環氏の証言が載せられている。加納駿亮元福岡高検検事長は、大阪地検検事正時代に「調査活動費」を受け取った直後に芦屋で自宅マンションを購入したと書かれている。三井環氏の裏金告発事件には加納氏が高松高検検事長昇任阻止の側面があった。しかし、この人事について関西検察の抵抗がものすごく、結局、加納氏は福岡高検検事長におさまることになったようだ。

 また、法務省には「アジア刑政財団」という検察幹部OBが理事を務める財団があり、“国策捜査”と言われるものでは、この財団から告発資料が持ち込まれるという。

 警察については、元警察庁長官漆間巌氏が愛知県警本部長時代に、漆間氏本人に捜査費(国費)が支出されたことや、古くは1982年の大阪府警の賭博ゲーム汚職が摘発されたとき、杉原正警察大学校長(首つりにより自殺)が大阪府警本部長から転勤する際に逮捕されたゲーム店経営者から選別を受け取ったことが書かれている。

 この裏金問題で関西にかかわる事件が多かったが、元検事で「闇社会の守護神」こと田中森一著「反転」(幻冬舎)でも、拓銀をつぶした男、五えんやの中岡信栄と親しい政治家として安倍晋太郎、忠コ登、生長の家の玉置和郎、村上正邦(日本会議)、公明党矢野絢也(八尾市出身)などが挙げられている。接待対象としては近畿財務局長、大阪府、府警、国税局で、中央官界では中島義雄元主計局次長や田谷広明元東京税関長と交友関係があり、顧問弁護士は田村彌太郎元仙台高検検事長と書かれている。裏金問題とあわせて、「関西の暗部」というものが感じられる。

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