投資家の目線

投資家の目線66(今ひとつあいまいなライブドア事件)

 ライブドア元社長の堀江被告の公判が進行中である。しかし、新聞報道からは今ひとつわかりにくい。新聞記事では堀江被告が粉飾を了承したと報道されているが、正確には粉飾決算の嫌疑をかけられている取引を了承したというところであろう。
 自社株式を、投資事業組合を経由して売却した件では、バリューリンク社社長の証言が出ていたが、本来大切なのはエイチ・エス証券子会社の投資会社の役割のはずである。そこについては報道では見えてこない。もし、バリューリンク社の投資事業組合が実質ライブドア社の傘下にあったとするのならば、それらエイチ・エス証券系の投資会社(親会社のエイチ・エス証券と異なり、両社は投資顧問業登録をしていない)は名義を貸したに過ぎないのではないかという疑問がわいてくる。この件では宮内・熊谷両被告等も犯意を否定しているようだ。そもそもこのような取引に関して、実質的に傘下にあるとはどういう状態か等という厳密な会計ルールがなかったのではなかろうか?
 子会社化予定企業との取引の件も、決算対策の域を出ないように思われる。報道されていたスーパーのダイエーの将来仕入れに対するリベートによる決算対策に比べれば、金額ははるかに少ないようだ。金額面からいうと大掛かりな決算対策を行っていた企業の上場を継続させ、それより少ない企業を上場廃止にした取引所の決定は説得力に乏しい。
 現在、ライブドア事件の新聞報道は新聞社の解釈による断片的なことしか記述されていない。また、本年3月に発覚したNEC子会社の架空取引の件を見ても、部下が不正会計を行っていたからといって、直ちに経営トップが法的責任を問われるわけではない。雪印食品の牛肉偽装事件でも共謀を認める証拠がないとして、実行した元幹部社員は有罪となったが、元役員は無罪の判決を受けた。法廷でのすべてのやり取りがわからないと、事件の全体像はつかみづらい。

(参考)
有価証券に係る投資顧問業の規制等に関する法律
(昭和六十一年五月二十七日法律第七十四号)
(名義貸しの禁止)
第十二条  投資顧問業者は、自己の名義をもつて、他人に投資顧問業を営ませてはならない。

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1. 9月11日のMy News Japanで毎日新聞の「押し紙」の記事が出ていた。新聞の特殊指定の定めには押し紙行為の禁止があった。新聞社が押し紙を続けているのであれば特殊指定を継続する必要はないのでは?
2. 中日新聞社の記者(当時)が無免許で酒気帯び運転したとして3月に起訴されていたことが9月2日に明らかになった。最近、公務員の酒気帯び運転が実名で報道され、処分の厳罰化が検討されているが、この元記者は実名報道されず、停職3ヵ月の懲戒処分と異動で済んでいる。役所に比べて新聞社の処分は甘いものである。
3. 9月28日に、産経新聞社が公募社債で150億円資金調達をすることにした。公募増資だから同社の財務諸表が明らかになるはずである。どのような数値なのか興味深い。
4. 竹中大臣が参議院議員を辞職するそうである。通信と放送の融合に関する問題が中途半端な決着になりそうな中、退任するのは残念である。

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