ライブドア事件で元社長の堀江貴文被告に対する判決が出た。大変都合のいい判決であった。堀江被告が有罪となったことで、東京証券取引所がライブドアを上場廃止し、今のところ役員が刑事罰に問われていない日興コーディアルグループを上場廃止にしなかった理由がつけられる。東証の西室社長の顔も立つというものだ。
法人・個人を問わず、ライブドアに対して賠償を求める動きがあるが、これにも有利に働く。昨年NECは子会社の架空取引が発覚し、5期合計で売上高363億円、営業利益93億円の影響があった。また、日興コーディアルグループの不正会計事件に関して言えば、事件の舞台となった日興プリンシパルインベストメンツの平野会長は日興コーディアルグループの取締役でもあった。しかし、金子前会長や有村前社長の関与が「グレー」となれば、上場維持と相俟って不正発覚による株価下落過程で売却した株主が賠償を得るのも難しいかもしれず、ライブドアのケースと切り分けることもできる。どのような段階で不正会計があった場合に、賠償を求められるのか否かを整理しておく必要があろう。
また、裁判において株式交換による企業買収と株価の動きに関する検証が行われていないように見え、それも残念に思う。
2007年3月16日の日本経済新聞夕刊において、ファンドについて「投資の自主判断はなかった」としている。ということはエイチ・エス証券系の業務執行組合員エイチ・エスインベストメントなども投資の自主判断をしていないという風にとれる。エイチ・エス証券は投資顧問業登録をしているが、その国内子会社が投資の自主判断をせずに業務執行を行うことは適切なことなのだろうか?そういうところも、もっと議論になってよいのではないだろうか?
またこの件とは別だが、会計の問題に関して言えば、所有権移転外ファイナンスリースの賃貸借処理の廃止も前倒しで行われるべきだと思う(2006/10/23分参照)。この処理のため実質的な負債が見えにくくなっていて問題だと思う。
NIKKEI.NETの宋文州氏のコラム「納豆データと経理データ、捏造は同列だ」を読むと、関西テレビが系列であるテレビ局は買収事件以降、ライブドアに瑕疵はないか嗅ぎ回っていたようである。フジ・サンケイグループの内幕を描いた「メディアの支配者」(中川一徳著(株)講談社)を読むと、瑕疵を基に相手を追い込んでいく様は、鹿内議長解任劇を髣髴とさせる。今回も現フジ・サンケイグループ経営陣の勝ちというところか。
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そう言えば、三洋電機の過年度決算訂正はいつ出るのだろう?
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