明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。
今年は昨年始まったライブドア事件と村上ファンド事件の第一審判決が出る。前者はどのような場合にSPV(Special Purpose Vehicle)を連結に加えるかどうか、後者は公開買付時におけるインサイダー取引に当るのはどういう場合かの新たな法解釈となることが期待される。
昨年暮れに会長、社長の交代に発展した日興コーディアルグループの会計処理はSPV(会社形式の場合はSPC、そのほかに信託形式を取ったり、投資事業組合のような組合形式を取ったりする)をどのような場合に連結対象に含めるかどうかという点でライブドア事件の争点と重なる。
現在でも投資事業組合の会計処理をめぐり、ベンチャーキャピタル間で対応に差があるようだ。企業会計基準委員会が発表した投資事業組合の連結に関する新ルールに解釈の余地が残るためと報道されている(日本経済新聞06/10/25)。また、連結すべき事例が明示されていないため、「ファンドを連結するかどうかは運用実態で判断すべきで、最後は現場の会計士に委ねるしかない」(企業会計基準委の担当者)とも報道されている(日経金融新聞06/11/08)。しかし、ライブドア事件ではその会計士の判断が問われている。
事例を明示するとルールの隙間をつく人物は出てくるだろうが、そのときにはまたルールを追加すればよい。抽象的な規定だけで具体例がなければ、連結の会計処理が適正なのか不適正なのか第三者から見て分かりにくい。分かりにくさによる混乱の方がよほど大きな問題だ。堀江被告が検察側と最後まで争ってくれたおかげで、投資事業組合を連結すべき場合の何らかの要件を裁判所が判断する可能性は高まったように思う。ライブドア事件の判決はベンチャーキャピタルの会計処理に影響を及ぼすのではないだろうか。
合法的な会計操作は許されるべきだろう。現在日本郵政株式会社の西川社長は三井住友銀行を子会社のわかしお銀行を存続会社として合併する合法的な荒業で、実態は変わらないにもかかわらず合併差益を生み出し、大規模な有価証券含み損の処理に当てたのだから。また、ミサワホーム九州の会計処理(売上等の期ずれ問題)もライブドア事件の争点である。
村上ファンド裁判は、2004年11月当時にはライブドアによるニッポン放送買収の実現性は乏しかったようだ。かつて日本でデリバティブ規制が行われたとき、先物の注文がシンガポール市場に流れた。日本での解釈が他国より厳しくなりすぎれば、買収案件の会談が海外で行われるだけになるのではないだろうか?東京地検特捜部の大鶴部長は今月中旬に函館地検の検事正にご栄転だそうだが、裁判の行方はどうなるのか興味深い。
ついでだが、堀江被告が論告求刑前にテレビ出演していた。多く報道が検察側の主張に沿うような部分をつなぎ合わせて書かれていたように感じていたので、堀江被告の生出演でマスコミ全体での報道のバランスが取れたように思う。
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先週は佐田玄一郎衆議院議員(前行革担当大臣)の政治資金の不正会計が大きな問題となった。資金の使途は徹底的に究明してもらいたい。
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