投資家の目線

投資家の目線353(ガレキ処理とグローバル化)

 静岡県島田市が震災で発生したガレキ処理の受け入れを決議した(植草一秀氏の2012年3月16日のブログによれば島田市の桜井市長は元産廃会社の社長で、現在は親族が経営をしているという)。

 民主党、佐藤知一神奈川県会議員のさとうチャンネル「日刊さとう知一」(2012年3月12日)によれば、ガレキのトン当たりの処理単価は阪神淡路大震災で約22,000円、新潟中越地震で約33,000円なのに対し、東日本大震災では東京都で68,000円(被災地での測定処理費用を含めると100,000円)、島田市も100,000円とのこと。さらに通常の産業廃棄物処理費用はトン当たり2,3万円、特別医療用廃棄物で70,000円程度、平成23年度から26年度末まで1兆700億円が予算化されているそうだ。世間で「デフレ」が言われているなか、何でこんなに処理単価が上がるのだろうか?

 岩手県陸前高田市の戸羽市長の「現行の処理場のキャパシティーを考えれば、全ての瓦礫が片付くまでに3年は鰍ゥる。そこで陸前高田市内に瓦礫処理専門のプラントを作れば、自分達の判断で今の何倍ものスピードで処理が出来る。国と県に相談したら、門前払いで断られました」、同県岩泉町の伊達町長の「現場からは納得出来ない事が多々有る。山にしておいて10年、20年鰍ッて片付けた方が地元に金が落ち、雇用も発生する。元々、使ってない土地が一杯あり、処理されなくても困らないのに、税金を青天井に使って全国に運び出す必要がどこに有るのか?」(いずれも新党日本田中康夫衆議院議員の2012年3月8日のブログ『笑止千万!「みんなの力で瓦礫処理」』)という声を無視して、このような高コストの処理案を採用する理由は何であろうか(しかも県外処理は岩手、宮城分をあわせた全体の約2割だ)?業界利権への配慮でなければ、何らかのリスクに対するリスクプレミアムだと考えるべきではないか。

 グローバル化が言われているのに、こんなことで外国への農産物輸出、外国からの観光客誘致が進むのだろうか。留学生の親御さんは安心して日本に送り出してくれるだろうか。最近、中国(含む台湾)から地方都市への航空路開設が増えている。対韓国も開設が再開している。特に福岡$m川間は1日に8往復までになっている。グローバル化が盛んに言われ、実際に進んでいるのに、ガレキ処理の話になると「国民国家」的なことを言われても、「二枚舌」じゃないかとしか言いようがない。そもそも、直下型地震が懸念されている東京市場に依存しすぎるのは地方都市にとって良くない。一つのかごに卵をすべて入れるようなリスクがあるからだ。取引する市場を分散させることによって、東京直下型地震の影響を減らすことができる。特に東京市場との相関が低そうな外国の市場との交流を増やせば、分散効果により、さらにリスクを減らすことができるだろう。グローバル化の結果、東京は地方都市にとってアジアの一都市圏に過ぎなくなる。

 また、クリントン政権の国家安全保障会議欧州部長だったチャールズ・カプチャン氏は、著書「アメリカ時代の終わり(上)」(坪内淳[訳] NHK Books P87)において、「いまの時代の終わりはアメリカの優位性の終わりだけではなく、産業資本主義、自由民主主義、国民国家といった、一つの歴史的時代の終わりをも意味するであろう」と述べている。グローバル化の時代に、もはや日本がひとつになっても解決できるものなどない。

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民野健治検事に長時間取調べを受けた石川知裕衆議院議員の秘書さんを招いた2012年3月13日の「第2回 民主党議員有志による司法勉強会」の中継を見た。その方の話によれば、検察庁にはICレコーダーなどは持って入れないそうである(陸山会裁判で録音記録が提出された石川議員の取調べは他所で行われたようだ)。「韓国では、検察官作成の供述調書が争われたときは、録画によってその内容が証明されなければ証拠とならない」(『取調べの「全面可視化」をめざして リクルート事件元被告・弁護団の提言』 江副浩正他 中央公論新社)という。取調べられる側に録音、録画装置の持込を認めないのならば、韓国のように検察側に証明の責任を負わせたらどうだろう。
 なお、同日の朝日新聞デジタルは、石川議員を取り調べた田代政弘検事の公判での証言「石川議員の著書で言ってることが記憶にあり、混同した」にある著書が、捜査報告書作成時点では出版されていなかったことを報じている。東京地検特捜部に合掌。

・クラッチ製造のFCCが、竜洋、天竜の2工場を縮小する(「竜洋は海岸から1・5キロメートル、天竜は天竜川沿いにあるうえ、2工場とも中部電力浜岡原子力発電所(御前崎市)から約30キロメートルに位置する。生産移管で津波や原発事故のリスクを軽減する」 2012/3/17日本経済新聞 地方経済面静岡「FCC、内陸・米に移管、沿岸2工場の生産津波対策を強化」)。福島原発事故以降、鳥取、広島、岡山に進出を決めた3社は、原発から遠いことを進出理由の1つに挙げていた。原発付近は原発関連以外の産業が空洞化、ひいては人口減少が進み、原発モノカルチャー経済となり、結局原発依存がひどくなるのではないだろうか?

・朝鮮民主主義人民共和国が再び「ロケット」を打ち上げる模様だ。以前と違い、今度は南側に打ち上げ、大韓民国のロケットのコースと似たものになりそうだ。万一の事故に備えてPAC3を配備という話もあるが、大韓民国の打ち上げのときは配備しなかった。事故が起こる可能性はどちらの場合もあるのにねえ…。
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