投資家の目線

投資家の目線93(先週の話題2題)

 先週20日、中部電力が投資ファンドから期末配当を1株当たり60円とするよう株主提案を受けたことを公表した。少し前の話だが、中部電力では平成16年に中国古陶磁購入に絡み、当時の会長が辞任した。平成11年6月から同14年10月まで計262点、584百万円購入し、457百万円の損害とされた(中部電力HPより)。3年間にわたる買い付け問題が、終わってから2年後にやっと発覚したのである。そして、取締役会や監査役の監督・是正機能不全が問題点として挙げられていた。
 ジェンセンのフリーキャッシュフロー仮説によれば、企業が必要以上のキャッシュを持つと、経営者に過剰投資(正味現在価値(NPV)がマイナスになるような投資)を行うインセンティブが働くことが言われている。古陶磁は本業にはまったく関係なく、そのリターンについても疑問が残る(結果的には損失となった)。そのような投資をするくらいなら投資家に資金を還元するほうが合理的といえ、投資ファンドの主張も理にかなったものになる。少なくとも、今後は好ましくない投資を行わないようにする牽制にはなるように思う。もっとも、外部からの要求を避けるために企業が不祥事を隠蔽する体質になっても困るのだが・・・。
 また19日には、野中ともよ氏が三洋電機会長を辞任した。同社は不正会計問題が浮上しており、野中氏はその徹底解明を主張したが受け入れられず、辞任に至ったとも報道されていた。またこの不正会計は配当絡みとも報道されているが、会社法では配当等で「株主に対して交付する金銭等の帳簿価額の総額は、当該行為がその効力を生ずる日における分配可能額を超えてはならない」とされている。旧経営陣のことを考えると、都合のいいところで収まるのではないかと予想する。
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 東京新聞のネット版に宮内被告の量刑理由要獅ェ掲載されている。そこでは、「企業会計が十分整備されていない投資事業組合を悪用し、脱法を企図したことは明らかで、粉飾の手口は巧妙だ。」とある。脱法とは、法律に触れないような方法で法律で禁止していることを行うことと辞書にある。法律に触れないような方法を企図しているのに、罪にするというのは論理的に矛盾しているように思われるが・・・。
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