投資家の目線

投資家の目線923(政権交代の続く欧州)

 NATO加盟を控えたフィンランドの議会選挙でマリン首相率いる社会民主党が43議席の第3党に転落し、政権交代へ向かう。48議席を獲得した第1党の国民連合に続く46議席の第2党のフィン人党はNATO加盟には賛成だが、EUには懐疑的だ(「フィンランド政権交代へ NATO加盟後に待つ難路」 2023/4/3 日本経済新聞電子版)。NATOの強化とEU懐疑は両立できるのだろうか?ロシアと協力するハンガリー、両てんびんにかけるトルコ、ドイツに戦時賠償請求するポーランドなど、NATOは加盟国数こそ増えたが、団結とは程遠い。モンテネグロでも、EU加盟の方針は両者共通するものの、現職大統領が敗北し新大統領が誕生した(「モンテネグロの新大統領にミラトビッチ氏 元エコノミスト、現職下す」 2023/4/3 時事通信)。ブルガリアは中道右派の「欧州発展のためのブルガリア市民(GERB)」が昨年10月の選挙と同様に第1党となったが過半数を確保するには遠く及ばなかった(「中道右派が第1党 ブルガリア総選挙 政局混乱の収拾見通せず」 2023/4/6 時事通信)。今回の選挙はGERBが組閣に失敗したためなので(「ブルガリア、組閣失敗で総選挙 2年で5回目」 2023/4/3 時事通信)、今回も組閣に失敗する可能性は捨てきれない。ブルガリアのラデフ大統領は「我々は、ブルガリアのパートナーおよび同盟国のみに供与され、ウクライナには渡らない弾薬にしか責任を持たない」と述べるなど(「ブルガリアはウクライナに渡らないとの条件でしか武器売却しない=大統領」 2023/3/24 SPUTNIK)、反ロシアではない。5月にはギリシャで総選挙が、トルコで大統領選挙がある。ギリシャでは列車事故に対する政権批判が高まり(「ギリシャ、5月21日に総選挙 列車事故が投票行動に影響も」 2023/3/28 ロイター)、トルコでは経済不振がひどい状況だ。ただし、エルドアン大統領は民主左翼党と連立しており(”Erdogan Adds Fringe Left Party to Alliance in Every-Vote-Counts Election” 2023/4/7 Bloomberg)、日本で報じられているほど不利とは言えない状況にある。

 

 ハンガリー外務省はウクライナ軍による乱暴な少数民族の動員に関し、同じ問題を抱えるルーマニアと共同で欧州評議会ベニス委員会(「法による民主主義のための欧州委員会」)に抗議した(「ウクライナ軍が西部で少数民族を多数動員、欧州評議会に抗議=ハンガリー外務省」 2023/4/5 SPUTNIK)。第2次大戦時に、ウクライナ民族主義者は異民族を虐殺した前科がある。対ロシア戦を利用したウクライナ政府による民族浄化を周辺諸国が警戒するのは当然だろう。モルドバ議会は公用語をモルドバ語からルーマニア語に変更することを、国民投票を求める野党の要求を押し切り、与党などの賛成多数で可決した(『公用語の表記「ルーマニア語」に モルドバ議会が可決』 2023/3/17 日本経済新聞電子版)。これでウクライナ国内にモルドバ系ウクライナ人は存在しなくなりルーマニア系ウクライナ人に一本化される。ハンガリーのオルバン首相はウクライナへの平和維持軍派遣を主張していた(『EU ウクライナへの「平和維持軍」派遣を検討か=ハンガリー首相』 2023/3/31 SPUTNIK)。これでルーマニアはハンガリーとともに、同じ民族系の保護を理由に平和維持軍としてウクライナへ進駐することができる。ウクライナではポーランドとの国家統合を目指す動きも報じられている(「NATO加盟目指すウクライナ、ポーランドとの国家統合を検討」 2023/4/6 SPUTNIK)。ウクライナ問題はポーランド、ハンガリー、ルーマニア、ロシアで分割されて解決するのではないだろうか?

 

 ウォールストリートジャーナル(WSJ)は、ロシア産石油を上限価格を超えて購入し、ロシア制裁の足並みを乱していると日本を非難した(「【焦点】ロシア産石油を上限超えで購入 足並み乱す日本」 2023/4/4 ダウ・ジョーンズ配信)。その後、米国エネルギー省の副長官が日本の上限を超えた価格での輸入は了承済みであったことを表明した(「日本による上限価格超えの露産原油輸入は米国の了承済み=米エネルギー省」 2023/4/5 SPUTNIK)。4月4日(日本時間5日)、林外相がブリュッセルで約1兆円の支援を継続的に行うことをウクライナの外相に伝達した(「ウクライナへ継続的に1兆円支援 林外相、クレバ外相に伝達」 2023/4/5 東京新聞 TOKYO Web、共同通信)。WSJは日本に確実にカネを出させるためにあんな記事を書いたのだろうか?

 

 ニューヨークタイムズが、米国防総省がウクライナ軍に関する機密文書がSNS上に公開されたことについて調査を行っていると報じている(「米・NATOの軍事機密文書ネット流出か 米報道」 2023/4/7 日本経済新聞電子版)。米軍内部にはバイデン政権が発表したアフガニスタン撤退の報告書に不満が上がっているようだが、何か関係するのだろうか?また、エアフォース・タイムズ紙はF35戦闘機がロシアの地対空ミサイルシステムS300を識別できないケースがあったことを報じている(「米国のパイロット、ロシア製S-300が自分たちにつくり出す問題について語る」 2023/4/2 SPUTNIK(英語メディアでは、Businessinsiderなどが同様に伝えている))。岸田政権は防衛費を増額するというが、スペックは高くても実戦には役に立たない高額な兵器を購入するのはカネの無駄である。

 

 米軍内部には弛緩が見られ、米国製兵器にも問題が発生している。問題の多い欧米諸国に盲目的にすり寄るしか能がない岸田政権には、統一地方選や国政の補選でNOを突きつける必要がある。

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