投資家の目線

投資家の目線26(黄金株の是非)

 敵対的企業買収の対抗策に絡んで、譲渡制限をつけた黄金株の導入が話題となっている。現在の日本の商法では会社の定款での自治の観点から様々な種類株が発行できるようになっていて、商法上は黄金株や議決権のない完全無議決権株の発行も可能である。
 子会社株式上場の場合にも当てはまるが、もし発行済株式数の過半数を握るなどして、実質的に当該企業が特定勢力に支配されている場合、他の株主にとって名目上議決権はあっても実質的にはなきが如しで、外部投資家による規律付けが効きにくい。その分株式価値最大化の機会が減少し、株価はディスカウントされて流通することになるであろう。
 商法上、そのような株式は発行できるので取引所は上場を完全に拒むことは不可能であろう。しかしそのような差があるのならば、せめてそれ以外の企業との市場を分けるなどして、投資家にとってわかりやすい状態にしてほしい。そうすることで投資家の認識不足が解消され、適正以上の株価で流通する可能性を削減できるのではないだろうか。

P.S.
 ジェイコム株取引に絡んで、東京証券取引所の売買システムの不具合が見つかり、今回の損失に東証も一定の負担が発生するのではないかと懸念されている。東証自身の上場問題にも何らかの影響が出てくるのではないだろうか。また、東証の株式を保有している中小証券の経営戦略にも影響が出てくるのではないだろうか。
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