投資家の目線

投資家の目線25(IT革命の進展)

 IT革命とは懐かしい言葉であるが、現在確実に進行しつつある。特に恩恵を受けたのは金融取引であろう。株式の委託手数料率の低下や資金決済の低コスト化を促し、有価証券のペーパーレス化も決済の安全性と低コスト化を進める。商品先物取引にいたっては、商品取引所法の改定と相俟って、急激に業績の体質転換を迫っている。
 また、取引報告書等の電子交付ができるようになり、保管振替機構を使ったうえで電子交付を希望すると、委託手数料が割引になったり、保護預り料が不要になったりといったサービスを大和証券やSMBCフレンド証券等が開始した。このように証券会社と投資家が協力することで、さらに低コストで投資ができるようになる。
 11月25日に発表された、郵政公社と三菱UFJ信託銀行の企業向け封入・発送サービスの合弁会社設立は正解である。事務代行会社は郵便物のプリントアウトや封入まではできても、その配達業務は郵政公社の独壇場と考えられる。企業が送るダイレクトメール等の件数は少なくなり、そのような郵便の封入・発送業務を行う企業数の絞込まれてくるだろう。その中で、合弁会社とすることで行き先別に仕分けする郵便局でデータを郵便に直接出力し、そのまま郵送先へ仕分けする機械に直結すれば工程数が減少し、輸送コストが改善され、その分価格競争力が上がるだろう。
 NTT東日本には「アットビリング」(西日本ではMYビリング)というサービスがある。口座振替の顧客が電話料金の領収書等の送付をネット上(含むLモード)のみで行う場合には、基本料金が月100円(税込み105円)割引される。NTT東日本では2005年9月末で88万件を超えている。つまりこれだけで年間1,000万通以上の郵便物が減る計算になる。民営化の決定した郵政公社にとっては郵便物の減少は頭の痛い問題だろう。IT革命は物流革命の側面もある。IT革命は着実に進みつつある。
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