投資家の目線

投資家の目線671(企業の不正とFTA交渉)

 5月3日、ウィンターコルン元VW会長が排ガス不正問題で米国司法省に提訴された。VW社は車両の買い戻し費用などで、米国で250億ドル(約2兆7000億円)を支払っている(「米当局、元VW会長起訴 排ガス不正問題で」 SANSPO.COM  2018年5月4日)。VWの排ガス不正問題では、ドイツの検察も捜査していた(「ドイツ検察:VWの前CEOも捜査対象-排ガス不正問題」 Bloomberg 2017年1月30日)。

 神戸製鋼所の鉄鋼・アルミのデータ改ざん問題でも米国司法省が関連書類の提出を要求をしていた(「神戸製鋼、米司法省が調査 悪質と判断されれば捜査も」朝日新聞デジタル 2017年10月17日)。東京地検と警察庁も捜査に乗り出したが(『神鋼データ改ざん 捜査の焦点は「虚偽の認識」』 日本経済新聞電子版 2018年4月25日)、VWの例からいえば当然だろう。

 日本では、三菱マテリアル子会社、東レ子会社、スバルなどでデータ不正が見つかった。特に日米通商問題で大きいのは自動車関連である。実質的な日米FTA交渉を早く進めなければ、不正を起こした企業は交渉の「人質」なるのではないだろうか?以前、安倍政権は日米経済対話という名の結論の先送り策をとった(『対日圧力再び、輸入制限発動、トランプ氏「もうだまされない」、FTA交渉にらむ。』 2018年3月24日 日本経済新聞 朝刊)。日本に再び先送りをさせないための当然の策だろう。日本側が完全に納得できる結果にはならないとしても、対象業種などのポイントが絞れれば、何らかの形で対策の立てようはある。

 神戸製鋼所のデータ不正事件ではトヨタも米国の消費者から損害賠償請求訴訟を起こされている(「神鋼・トヨタに損害賠償請求、データ改ざん問題で米消費者ら」 ロイター 2018年3月7日)。スバルも訴訟を起こされるのではないかと思う。

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