投資家の目線

投資家の目線655(トヨタとマツダの米国現地生産)

 トヨタとマツダが共同で、米国アラバマ州で現地生産することが発表された。トランプ政権が重視する対日貿易赤字の緩和に役立つだろう。安倍政権も米国のインフラ投資にカネを出す気がないのなら、民間投資の金額も含めてもらえばいいのに。

 週刊エコノミスト2017年7月25日号土方細秩子氏の記事によれば、米国カリフォルニア州ロサンゼルス郡で2LDKを借りて生活するために最低必要な時給は30ドルだという。米国の平均労働時間は年間1783時間(2016年 OECDデータ)なので、年収にすると5万3490ドル(1ドル=110円で換算すると約588万円)になる。2016年の米国中間層の所得が約650万円と過去最高になったと報じられたが(「米中間層の所得、過去最高を記録 2016年」2017/9/13 日本経済新聞)、ロサンゼルス郡で2LDKを借りて生活するにはそれほど余裕がある水準の所得ではない。もし何かあればすぐにホームレスに転落しかねないだろう。より時給の高い企業が米国に増えることは米国人民にとって利益になる。

 日本は、どこでも作れるような製品の輸出で稼ぐことはますます難しくなるだろう。そのため、政府が、日本でしか取れない農産物の輸出や観光に力を入れようとするのは理にはかなっている。神奈川県横須賀市を舞台(母港)とするアニメ「ハイスクール・フリート」と横須賀の昨年12月9日のコラボイベント「明乃とましろのハイスクールフリートラジオ 横須賀市×ハイスクール・フリート 福引でハッピー!」(響ラジオステーション 2017年12月29日配信)に、上地横須賀市長とともに登場した小泉進次郎衆議院議員は「これから国も実は、観光を今すごく力を入れているんだけど、新しい分野としてアニメツーリズム、これをすごく力を入れているんで…」と発言していた。サブカルを使って小銭を稼いでいくこともひとつの方法だと思う。佐賀県はストリートファイター2とコラボしたり(『「スト2」とコラボ佐賀PR、県、ゲーム風のサイト開設、銀座にアンテナショップ。』2018/1/15 日経産業新聞)、静岡県沼津市はマンホールをラブライブ!サンシャイン‼仕様にして観光資源化しようとしたりしている(『「ラブライブ」マンホールに 整備資金、2日で目標達成、ソニー系・沼津市、ネットで。』2018/1/19 日本経済新聞 地方経済面 静岡)。墨田区の高木神社には「高木」つながりのためか、今季アニメ化された「からかい上手の高木さん」の立て看板がある。

 ジョン・W・ダワー著「容赦なき戦争 太平洋戦争における人種差別」(平凡社、猿谷要監修、斎藤元一訳 P187~P188)によれば、戦時中ウィリアム・ヘンリー・チェンバレンが『日本の貢献は「取るに足りない文化的業績のいくつか」、たとえば版画、漆塗り、造園、俳句に見出される。しかし日本は、インド、中国に比肩できる偉大な哲学上、宗教上の思想家を一人も生み出していないし、ギリシャ・ローマやヨーロッパの伝統の最上のものに匹敵する文学作品も作り出していない』と小冊子に書いているという。昔から日本は「サブカル」文化については評価されているようだから。

追記:アニメツーリズムについては、石川県の「湯涌温泉」×「花咲くいろは」、富山県「南砺市」×「サクラクエスト」のPA Works(本社は富山県南砺市)作品とのコラボが、2017年11月22日のJETRO Global Eyeで紹介されていた。
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