投資家の目線

投資家の目線953(物流の問題)

 青森県にある、液晶テレビの修理などを行う「TVS REGZA(レグザ)」三沢工場が閉鎖され、その機能は埼玉県の行田市の事業所に移転する方向と報じられた。『運転手の時間外労働が規制強化される「2024年問題」を控え、移動の負担が大きな地方より、物流拠点が多い首都圏に集約を図ることにした。』(「ハイセンスグループのレグザ三沢工場(青森県)閉鎖へ 立地半世紀、テレビ市場縮小で拠点集約」 2023/10/27 東奥日報)という。また、キッコーマンは子会社日本デルモンテの長野工場を閉鎖し機能を群馬工場に集約、現在群馬工場で生産している一部の商品は来年稼働する千葉県野田市の新工場で生産する予定だ(「キッコーマン、デルモンテの長野工場を閉鎖 拠点集約」 2023/10/25 日本経済新聞電子版)。これも消費者の多い関東に生産を移すことで移動の負担を減らすという意図があるのではないだろうか?物流の効率化という意味では、この動きは理にかなっている。しかし自然災害などを考えると生産拠点を集約し、さらに地方の職を奪って人口を関東に一極集中させることはリスクである。北方領土や尖閣諸島などの領土問題にこだわるわりに、日本政府は経済的理由で日本人の生活する生存圏が狭まっていくことには無関心なようだ。

 

 干ばつの影響で、パナマ運河当局は今冬に1日当たりの船舶の通航枠を半分に減らすこととした(「パナマ運河、1日当たり通航枠を半減へ 干ばつ影響」 2023/ 11/02 ダウ・ジョーンズ配信)。日本はパナマ運河経由で米国から大豆や飼料用とうもろこしの多くを輸入している(米国輸出時の穀物輸送経路(小麦) - 農林水産省)。米国からのLNG輸送(拡張パナマ運河の供用開始-米国産LNGなどの対日輸送にも活用-(パナマ) | ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース - ジェトロ 2016/6/29)、LPG輸送(「日本のLPガスの現状と課題」日本LPガス協会 会長 江澤和彦 LPガス国際セミナー2023 2023年3月7日)もパナマ運河経由だ。穀物輸送の代替ルートとしては米西海岸経由などもある。しかし、港湾労働者の労働組合との労使交渉は一段落したものの、窃盗の多い西海岸経由で安全な物中が確保できるだろうか?物流の不全もインフレ要因になる。

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