ふきの指定席

終生 のほほんな生き様かと思いきや
人生の終盤にきて
ところがどっこいの日々

とても静かなクリスマスの夜

2014-12-20 17:34:36 | のほほんの記
私は無神論者なので 特定の宗教を信じることもなく クリスマスと言えども淡々としている
子供達が小さい時は 巷の人々と同じように クリスマスを楽しみ 祝いもしたが 子供達が大きくなればそんなこととも無縁の 毎年淡々とした日々に変わりはない
ただこの時季になると 孤独な旅人であった私を招き 慈しんでくれた彼の国の人を必ず思い出す 心の疼きと共に鮮明な時間が蘇る
35年前 私はただあてもなく ヨーロッパ各地を一人旅していた
街はクリスマス一色で 人々の心も 幸せな安らぎで 浮き足立って見えた
そうか 世の中はクリスマスなんだ
人々は 家に 愛する人のもとに 集うのか 
自分の孤独が 身につまされ 旅をしていて 初めて寂しさを感じていた
私は何をしているんだろう
スイスの片田舎の街で 宿も見つけることができず 不覚にも涙ぐみ
夜行列車で イタリアでも行こうと 夜空を見上げていたら
そそとした 綺麗なご婦人が私に話しかけてきた

「どうしたの」
「私 ヨーロッパを一人旅しているんですが クリスマスであることに気がつかず 宿がどこも閉まっていてどうしようかと・・・」
「私の家に来なさい」

スイス人のご家庭に招待されたのです
そのご婦人は その年に日本旅行を経験し 
そんな 心のご縁が 私を 招いて下さったのです
実は 私はそれから後の出来事が 夢のようで その地名も そのご婦人のお名前も記憶していません

ご家族の会話はドイツ語だったので その地はドイツ語圏だったと思います
街に街灯があったかどうか 記憶していませんが
外は漆黒の世界 深々と降る雪は 家々からこもれる蝋燭のあかりに ほのかに色づいています 
教会の鐘の音と共に 家々の窓が開け放たれ 蝋燭だけの 明かりのなかで 教会の鐘の音に 心合わせる人々
街の人々の心が一つになっているよう
とても 厳粛な光景で 部外者の私も 静かに心あわせ 世界の平和を祈りました
クリスマスディナーもとても シンプルな一品だけでした
40㎝ぐらいの 大きなチーズの塊の切り口を ストーブであたため 溶けたチーズをゆでたジャガイモにからめ食するだけなのです とても美味しかった
ご家族は ご婦人のお母さん お兄さん夫婦 
ご婦人は 一人暮らしで 実家に合流し クリスマスを祝う感じなのです
挨拶をしたあとは ほとんど会話なしの家族 
私に興味を特に持つこともなく 黙々とクリスマスの夜と対峙しているご家族
なのに 居心地の悪さは全く感じませんでした
無の空間が とても 心安らぎ 人間の尊厳を 思い知る時間でした
こんな時間を 経験してしまった私に クリスマスは二度と現実ではなくなりました

彼の地では 今も 変わらずの クリスマスなのでしょうか
質実剛健なスイスの人たち とても人間として成熟し 大きな存在で 
尊敬に値する素敵な人たち
私の心に大きく 深く刻まれています
そんな夜は もうすぐですね ちょっと早めの メリークリスマス
せまいニャァ~  読んで頂きありがとうございます
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