アトリエ 籠れ美

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平成27(2015)年5月4日より

溶き油事情

2015-06-24 06:58:46 | 画材、技法、芸術論、美術書全般、美術番組
 クサカベのマスチックバニスが入手困難になっているのに(事実上生産中止状態)、あまり騒いでいないのは皆これを使っていないからなのかなあ。
 世界堂新宿本店に行ったら、たまたまクサカベの営業の人が来ていて自社商品の補充をしていたので訊いてみたら「良質のマスチックが手に入らないからだと聞いています」と教えてくれました。
 うーん、無くなると困るんだけどなあ。マスチックは年々高騰しているとか。まだ家にまる3本あるから当面は大丈夫なんですが。
 美術教室に通っていた頃は市販のペインティングオイルを使っていました。別にそれで何も困っていなかったのですが、教室をやめて独りで油絵を描き始めて数年後に、たまたま教室で描いた油絵を引っ張り出して見てみたら、全く艶のない画面になっていました。とても驚き、違和感を覚えました。それから溶き油は自分で調合するようになりました。別にタブローをかければいいじゃん、と言われればそうかもしれませんが、それでは何か違うのではないかと思ったのも事実です。
 私は好きで調合しているわけでもないのです。仕方なくやっているのが実情です。上手な配合比率は難しく、理想的には伸びととろみの両方が欲しい。自分の場合、乾性油の上限は4割、天然樹脂分は乾性油比1割以内で調合しています。仮に調合溶き油を乾性油分4割で作るなら「乾性油40%、天然樹脂4%、揮発性油56%」になります。
 別に難しくはなく、リンシードとマスチックバニス、テレピンがあれば、まず最初にリンシードとマスチックバニスを4:1で混ぜ、次にそれをテレピンと等分に混ぜればよい。あるいはリンシード4:マスチックバニス1:テレピン5でもできる。簡単なのです。
 私自身は市販のカンバス、市販の油絵具、市販の調合溶き油で済むのが一番良いと思っています。それで良い絵が描けるならそれに越したことはありません。でもなかなかそうは行かないんですね、やっぱり。


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