ある昼下がり

　ウゥーーーンといつ聞いても嫌な音が昼休みに独り会社のベランダで佇むあっしの耳に響いた。
　白バイがサイレンを鳴らして、黒いワンボックスカーを停めていた。


　目障りな光景だ。

　あっしも一度、原付で捕まったときがある。
　あれは大学２年生の秋。その日は大学の学園祭で勾当台公園でボランティアをしてから、大学へ急いで戻っているときに白バイのサイレンに追われた。
　まぁ、６０キロで飛ばしていたら、仕方がなかったけど、近道の小道に入ったときに、捕まってしまった。

　「何キロ出してんの！？」と開口一番で強い口調で言われた。
　しかし、このままではスピード違反になってしまうと思ったあっしはどうにか喋り倒し、白バイに共感を持たせることに成功し、何と、スピード違反ではなく、「一時不停止」にしてもらった。まぁ、違反は違反だけど、払う金を少なく済みました。
　人生初の青キップを切られ、その後、低速で無事大学に着きましたが、銀杏をたくさん踏んでいたらしく、足から強烈な臭いを発していた。室内だったため、皆から非難轟々の雨嵐。そんなやつにはドロップキックをかました。そんな二十歳の秋。　


　
　あっしは深くタメ息をついた。深呼吸のつもりが、肩を落とすタメ息となった。