またたび

どこかに住んでいる太っちょのオジサンが見るためのブログ

妄想銀行

2007-09-24 22:15:19 | 
 あっしの小説の原点は星新一のショート・ショートでございやす。
短編の中に喜怒哀楽が混在し、少しシュールで思わずゾッとするような話やユーモア溢れる作風で、その先のことや行間を考えさせる作品が多い。人間が一瞬一瞬考えては消える妄想に似た思いを忘れずにメモにしたため、言葉に置き換えて発表している。そんな作品に思えてくる。
 その中でも「妄想銀行」に収録されている「鍵」は傑作と言えるだろう。内容は何も生きがいを感じないまま生きてきた男がある晩、不思議な鍵を拾うところから、話が始まる。展開されるドラマはいつもの星新一と少しかけ離れていて、しかし期待を裏切らないラストが待っている。

 この話を読み終えたときに、まるで自己啓発の本を読んでいた気持ちになったのを覚えている。中学時代かそこらで、多感な時期に頭の中で色んなものが巡った記憶がこの表紙を見るたびに思い出してしまいます。

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