「愛と哀しみのボレロ」という映画があって、その映画は音楽が非常に印象的だった。
サントラアルバムをカセットテープで持ってたのだが、その中に1曲、とびきり好きな曲があった。
それが「ママの想い出」という曲だった。
作者はフランシス・レイ。
この曲が映画のどのシーンで流れてたかは、もう覚えていない。
この映画のシーンで覚えてるのは、ボレロを踊るクライマックスシーンくらいだ。
フランシス・レイ独特の上品なメロディが健在で、歌詞の意味は分からないのだが、聴いてると、そのアレンジ、サウンド、そして優しいメロディラインに心を浸していると、切なくなってくる。泣けてくる旋律だ。
「男と女」にも通じるメロディの良い意味での「けだるさ」に、心地よく癒される。
この曲の雰囲気に影響を受けて作った楽曲というのが私にはある。バンドに持ち込んだことがある。
だが、出来上がってみたら、とてもじゃないがフランシス・レイみたいにはならなかった。
まあ、当たり前か。才能が違いすぎるし(笑)。っていうか、天才と、才能のない奴の違いか。
とりあえず、原曲の歌詞の内容は分からないので、自作の曲にはイントロの楽器のフレーズなどに、「ママの想い出」で私が受けた影響を盛り込んだ。
原曲はジャンルでいえば「軽音楽」って感じ。
だが、私が作った曲は、バンドでやったので、ポップスって感じに仕上がった。さすがにロックっぽくはならなかった。
バンドメンバーの中には、「これはちょっとロックから離れ過ぎだよ」とか、「これはロックじゃなくて、ニューミュージックだよ」とか言って、あまり気に入ってくれない人もいた。
反面、「だんぞうさん、この曲って、もしかしてティンパンアレイあたりの路線を狙ってる?」とニヤリとしながら言ってくる人もいた。
私はその時「え?君は、ティンパンアレイを聴くのかい?だとしたら、そう考えてくれたほうがいいかも」と言っておいたっけ(笑)。
その人は、日本のティンパンアレイ系のポップスが好きだったのだが、それまでのバンド経験で、そういう系統の曲をやる機会がなかったようだった。
まあ、フランシス・レイの「ママの想い出」の要素を盛り込んだ曲を作りたかったんだ・・と言っても、知らなかっただろうし。
それにしても、フランシス・レイのメロディは、なんであんなに美しく、品があるのだろう。
出そうとして出せるものではない。
持って生まれた作曲家としての資質ってやつなのかもしれない。
やはり、あの方は屈指のメロディメーカーであり、天才作曲家と呼ぶにふさわしい人。
この「ママの想い出」という曲は、彼の作品としてはあまり知られていない曲ではあるが、しっかりと彼の才能や作風が凝縮されている「隠れた名曲」。
機会があったら、ぜひ聴いてみてください。
ロマンチックで、ノスタルジックで、切なくて、甘くて、けだるくて、癒されて、聴く人を夢の中に連れていってくれるかのようなドリーミーな曲です。
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