喫茶店でつい食べたくなるアレ

昔に比べ、今は喫茶店は減ってると思う。
コーヒーショップのチェーン店なら増えてるが。

私が学生時代。学生街には喫茶店が溢れていた。
サークル活動などでは、お気に入りの喫茶店に集まり、時には休憩、時には打ち合わせ、時には食事などで利用した。
中には喫茶店で働く女の子目当てのこともあった。

私が喫茶店に入って１番頼むことが多かったのはコーヒーやアイスコーヒーだった。
だが、小腹が減ってることもあり、そんな時は何か食べ物を注文した。
注文できる食事は軽食だった、
サンドイッチやピラフ、ホットケーキなどを頼むこともできたが、私が頼むのはたいがいスパゲッティだった。
スパゲッティではミートソースやナポリタンなどは定番だったが、私が頼むのはたいがいナポリタンだった。たまに気分転換でミートソースを頼むこともあったが、ナポリタンを頼むことが圧倒的に多かった。

なぜだろう。
どうもその理由は、はっきりしない。
単にスパゲッティを食べたいのなら、レストランなどに行けば頼めたはず。
スパゲッティ専門店などに入れば、喫茶店のナポリタンよりももっと美味しいスパゲッティが食べられたはず。

だが、私は喫茶店で食べるナポリタンが好きだったのだ。
そりゃ専門店のスパゲッティにはかなわない。それはわかっている。
でも、喫茶店のナポリタンは、なんというか、庶民の味に思えたのだ。

庶民的な定食屋に入って庶民的な定食を食べるような感覚で、喫茶店のナポリタンは食べることができた。
こってりしたケチャップの味がまんべんなく麺に染み付いていて、乗ってる具はマッシュルーム、ソーセージの切り身かウインナ、オニオン、ピーマンの切り身などが定番。
決して豪華な具が乗ってるわけではなかったが、私にはそれでよかった。

なんでも、喫茶店のナポリタンを好む人は案外多いらしい。
もちろん専門店などのスパゲッティも好きでも、専門店のスパゲッティとは違った意味で喫茶店のナポリタンも好きという人はいる。
現に私もそうだし。

それは、前述の通り、喫茶店のナポリタンは庶民の味という感じがして、そこが魅力的なんだろう。
日本には庶民向けの大衆食堂があり、そういう店の定食は決して豪華な感じではない。
喫茶店のナポリタンはそれに近いイメージ。
大衆食堂には、定食や一品のおかずはあっても、スパゲッティまではない場合が多い。
もちろん、たまに大衆食堂でもスパゲッティのメニューがある店もあるけど、決して多くはないのは確か。

なんというか、スパゲッティは洋食ということもあるのか、普通の定食よりはちょっとオシャレなイメージはある。
でも喫茶店のスパゲッティなら、あまりオシャレには感じない。
そこがいい。
大衆的なスパゲッティを食べたい時は、喫茶店のナポリタンという感じかな。

そこが喫茶店のナポリタンが好きな個人的な理由ではある。

ナポリタンというのは、スパゲッティの本場イタリアにはない料理らしい。
イタリア人から見たら、ある意味日本のナポリタンは邪道なのかな？

考えてみれば、今や日本の国民食のひとつとも言われるラーメンにしても、元々は中国の料理。
それが今や日本人はラーメンを日本人向けにアレンジして、国民食と呼ばれるまでの存在にした。

そんなことを考えると、ナポリタンがラーメンのように外国でも愛され浸透してゆく日も来るのかな？

その場合、名称はジャパニーズスパゲッティとかとでも外国では呼ばれるようになるのかもしれない。

ナポリタンファンとして、そんな日が来たらちょっと楽しい。