2015年に入り、NHK大河は「花燃ゆ」が放送されている。
ふと思い立ったので、このへんで去年2014年の大河「軍師勘兵衛」について触れておこうと思った。
番組が終了して、しばし経過したし、番組を最初から最後まで見終わって、まだ印象が残っているうちに。
以前にも書いたが、「軍師勘兵衛」は私にとって、面白い作品だった。
個人的には「龍馬伝」以来の、好きな作品になった。
なんといっても、黒田勘兵衛が主人公であるというのがよかった。
秀吉の軍師として名前は有名だっし、優れた人物であった・・ということはそれなりに知ってはいたが、勘兵衛が秀吉の軍師になるまでのことは、私はよく知らなかった。なので、このドラマは、私が知らなかった部分を知るきっかけになった。
私はもともと「軍師」ものは好きなのだが、それは私が三国志の軍師たちが好きだからかもしれない。
役者もよかった。
主人公を演じた岡田さんは、その目力もあって、他の大物役者にも食われることなく、最後まで演じ切ったと思う。
個人的には、単なる善玉だけではない、ダークな面も出ていたのがよかった。
戦国時代、きれいごとだけで生き残ることなどできなかったはずだから。
秀吉を演じた竹中さんは、大河で秀吉を演じるのは2回目なので、当初「新鮮味」という点でどうかな・・とも思ったが、そこはさすが竹中さん、前回の秀吉像をうまく引き継ぎながらも、特に晩年の秀吉の狂気じみた面の演じ方に凄みがあり、見ごたえ十分だった。
前回このブログでこのドラマを取りあげた時、私は母里太兵衛についても触れたが、その太兵衛に関する酒飲みのエピソードがそれなりにドラマにも反映されていた点など、個人的にニヤリとした。
役者さんたちのことを1人1人ここで取りあげていたらスペースが足りなくなるし、恐ろしく長くなりそうなので、このへんでやめておくが、皆よかった。
全体的に、私は黒田勘兵衛という人物をあらかじめ知っていたし、元々興味もあったし、関心をもっていて、もっと知りたいと常々思っていた人物であったことが、大きかった。
あまり良く知らない人物が主人公であっても、ドラマによってその人物を知ることができて、相応の楽しさはあるのだが、あらかじめ知っていて自分も関心を持っていた人物が主人公だと、やはり入りこみやすさは違う。
そんな点も、私が「黒田勘兵衛」を楽しめた理由の一つであるのは間違いない。
黒田勘兵衛は、これまでの時代劇ドラマでは、秀吉が主人公で、秀吉の片腕として登場してくる作品が多かった。
大河「軍師勘兵衛」では主役になり、その結果、秀吉に出会うまでの勘兵衛、秀吉と二人三脚で邁進していった勘兵衛、秀吉がだんだん横暴になり、秀吉に仕える苦労や、距離感なども生じていった勘兵衛、そして秀吉死後の世の中での勘兵衛も描かれ、個人的に新鮮だった。
ハイライトは・・・やはり本能寺の変の後に、秀吉に向かって「殿のご武運が開けました」と言ってのけたあたりの、あの数回の放送分で、あのあたりの放送は毎週楽しみで仕方なかった。
勘兵衛の安国寺恵瓊との密談、小早川隆景との関係なども、わくわくした。
できれば、中国大返しの過程や、その後の明智光秀との戦いなども、もう少し細かく描いてほしかったかな。個人的に最も熱く見ていた局面だったので、余計にそう思うのかもしれない。
なんか、ドラマの中で明智光秀はずいぶんあっけなくやられてしまった感があったし。
まあ、勘兵衛の密度の濃い人生を描くには、1年のスパンでも足りないぐらいなのかもしれないが。
このドラマを最後まで見届け、ひとつ思ったことがある。
歴史に「IF」を持ちこむのは、無駄でもあると同時に、色々想像力が刺激され面白いのだが、このドラマの最後で私が心の中で思った「IF」は・・
もしも、竹中半兵衛が長生きして、勘兵衛と共に秀吉の晩年まで軍師を務めたとしたら、どうなったであろう・・・ということだ。
晩年の秀吉の狂気を含んだ横暴さのもとで、勘兵衛と共に半兵衛もいたら?
半兵衛は昔斎藤家に仕えていた時に、君主をいさめるためだけのためにクーデターを起こしたことがあるだけに、なおさら(もっとも、それはフィクションであるという説もあるけど)。
もしかしたら勘兵衛と組んで、秀吉をいさめるためにクーデターを起こしたかもしれないし、あるいは勘兵衛と対立して、そこに石田光成がつけこんで半兵衛に取り入ったかもしれない。
あるいは、秀吉が天下をとった後は、中国の「項羽と劉邦」の中の張良のように隠棲したかもしれない。
あのドラマの中での秀吉の晩年は、ブレーンの意見を取り入れるような人物ではなかった。
だから、半兵衛が勘兵衛と組んで秀吉を諫めても、聞き入れられなかっただろう。特に朝鮮出兵の時など。
半兵衛が生きてたら、きっと勘兵衛と同様に、それに反対したと思う。
勘兵衛と半兵衛が組んで秀吉を諫めるために動いたら?
いや待てよ・・・勘兵衛は石田光成と対立してたが、半兵衛ならどうだっただろうか。半兵衛がもしも光成を押さえることができたなら?
それ以前に・・・軍事を勘兵衛が引き受け、内政を半兵衛が引き受けていたら、そもそも光成があそこまでの立場になれなかったかもしれない可能性もある・・。
光成がああいう位置にいなくて、光成の位置にいたのが半兵衛だったら??
光成は、朝鮮出兵に反対はしなかったが、半兵衛なら?
内政を司っていたのが半兵衛なら、光成のようには嫌われなかったかもしれない。
そうしたら、関ヶ原の合戦で徳川が負けた可能性もある・・というか、関ヶ原の戦いが起きなかった可能性もある。
いや、でもやはり半兵衛は内政よりも軍略が得意そうだから、光成の台頭はあったかもしれない。その場合、勘兵衛&半兵衛タッグ対石田光成ということにもしもなったら、光成は対立は避けたかもしれない。
とまあ、色々なシチュエーションが考えられ、けっこう面白い。
ともかく、「軍師勘兵衛」というドラマを見て、そんな色んなIFを妄想させられてしまった。
それは最後まで見たからこそだと思う。
そういう意味でも、私にとっては楽しめたドラマだった。
スタッフの皆さん、そしてキャストの皆さん、お疲れさまでした。
「軍師勘兵衛」というドラマ、私は好きでした。これまで私が見てきた大河の中でも、お気に入り作品の一つになりました。
大河の主役にできそうな軍師的人物というと、あとは誰かなあ。
山本勘助や直江兼続はもうやってしまったし・・。
片倉小十郎とか、立花道雪、本多正信、太原雪斎、鍋島直茂・・あたり??
立花道雪や太原雪斎あたりなどをメインにしたら、大河としてはかなり新鮮ではあるね。
片倉は伊達政宗で出てきてるし、本多は徳川家康つながりで出てきてるし(共に主役ではないけど)。
個人的には立花道雪主役の大河は見てみたい。
他には・・
あ・・
いっそ、竹中半兵衛??
魅力的だし、ぜひやってほしいけど、早死にが惜しすぎるんだよなあ。本能寺の変も、秀吉の天下も、関ヶ原の戦いも徳川の天下も知らないで、早めに亡くなってしまったからなあ。