この曲は昔、日本でCMのバックに使われていたことがあるらしい。
そのため、この曲をご存知の方、聞いたことがある方は多いことだろう。ヒット曲でもあるし。
私は残念ながらそのCMは覚えていない。もしかしたら見ていないかもしれない。
私がこの曲を知ったのは、ある飲み屋で、だった。
当時の私がよく行ってた行きつけの店で、アコースティックギターの愛好家がよく集まっていた時期があり、その中の常連の1人から、この曲を教えてもらって、この曲を知った。
この当時の私は、あれこれワールドミュージックを聴きあさっていた頃だったので、この曲との出会いのタイミングは私にとってはピッタリだった。
もう、1回聞いただけで、耳と心に残った。
ボーカルの声質、曲調、アコギのフレーズ、全体的なサウンド、そして幻想的で翳りのある哀愁のメロディ。インテリジェンスと気品。
絶品。
こういう声を得て、こういう楽曲を作り、こういうサウンドを作れたら、どんなに素晴らしいだろうと思った。
マドレデウスは、ポルトガルのユニット。
ポルトガル音楽は、ファドというジャンルで呼ばれる大衆歌謡が有名。
そこで私はマドレデウスをきっかけに、ファドのCDも買って聴いてみた。
聴いてみたといっても、大した数ではないので、あまり詳しいことは書けないのだが、マドレデウスの音楽は単なるファドのくくりで捉えきれるものではない気はした。
それもそのはず、マドレデウスは、単なるポルトガルポップスではとどまらない音楽を目指して結成されたユニットだったらしい。
ベース、アコーディオン、チェロ、キーボード、クラシックギターなどの編成で奏でられるサウンドは独特の気品があり、クラシックにも通じるような知的なサウンドに私には聴こえた。
打楽器が入っていない分、弦楽器の緻密なアンサンブルがより鮮明であり、引き立っている感じ。
また、看板的存在の女性ボーカル、テレーザ・サルゲイロの声が素晴らしい。自然や、あたりの空間を包み込んで、優しくふるわせて、響いていってるようにも聴こえた。
その声だけで、恋焦がれてしまいそうになった(笑)。
特にこの曲「海と旋律」に漂う哀感は特筆ものだ。美しき孤独感・・・そう形容したくなるような雰囲気が醸し出されている。
この曲を聴いてると、曇り空の空の下、ざわざわとさざ波以上高波以下ぐらいの波が浜辺に絶え間なくうちよせる夕方あたりの海の沖合に、心が誘われていくような気分になる。
そしてその海には、海鳥が風にゆられながら何羽も飛んでいる・・そんな絵も見えた。
ゆったりとしたメロディは空間を感じさせ、その空間には時の経過からくる人生の悲哀が込められている気がした。
オリジナル音源も素晴らしいが、ユーチューブで見たライブ映像も素晴らしかった。
間奏でのクラシックギターの音色やフレーズと、他の楽器とのアンサンブルの行きつく先は、時には深海のようでもあり、時には海の沖合の彼方のようでもあり、時には空に浮かび上がっていくようでもあった。
ひところ、何人かの女性ボーカリストに、参考音源として、私の選曲した楽曲をカセットに集めて渡す時に、必ずこの曲も選んでいた覚えが私にはある。
それほど私にとってはこの曲とボーカルは、女性ボーカル曲のスタンダード的な存在であった。
聞けば、マドレデウスはメンバーチェンジがあり、看板のテレーザも、今は固定メンバーという形ではないらしい。
とはいえ、協力関係にはあるそうだから、いつかライブを観れる機会もあるかもしれない。
音響のいいホールみたいな場所で、じっくり味わってみたいユニットであり、楽曲ではある。
マドレデウスの「海と旋律」。
遠くに誘われるような、心に染みいる珠玉の名曲。
今でもたまに、テレビなどでBGMで使われることもあるので、マドレデウスの曲では「おなじみ」の有名曲。
この歌から私が連想した海には・・・・きっと、空想の船が今も浮かんでいるのだろう。
その歌詞にあるように。
そして、この歌もまた、遠くまで航海していくのだろう。
http://www.youtube.com/watch?v=bz_oi7bjRxE
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