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先日、ひょんなことから焼津に泊まる機会を得た。
ひょんなこととは、吉田拓郎とかぐや姫の「つま恋コンサート」だ。
コンサートが開催された「つま恋」の最寄り駅は掛川駅。
このコンサートを堪能するためには、その周辺に宿をとらねばならなかった。
ところが、掛川駅周辺の宿はどこもその当日は空いていなかった。
皆、考えることは同じなんだね。
多分、つま恋コンサートに参加する人で掛川の宿は全部埋まってしまったのだろう。
掛川に宿をとることを諦めた私たちだったが、掛川周辺の駅にまで範囲を広げて宿探しをしたら、運良く・・というか、やっとの思いで焼津に宿をとることができた。
まあ、こんないきさつで、私の焼津泊まりは実現した。
焼津。
実は、私にとって焼津とは、昔からちょっと気になっていた場所だった。
なぜか?
それは、古い時代劇に理由がある。
それは大昔放送された、近衛十四郎と品川隆二主演によるテレビ時代劇で「素浪人 月影兵庫」「素浪人 花山大吉」というシリーズだ。
もちろん主役は近衛十四郎演じる月影兵庫と花山大吉なのだが、コンビで登場する品川隆二がやたら存在感があり、主役の近衛と対等に渡り合っていた。
この作品は、近衛と品川のご両人の絶妙のコンビネーションで持っていた・・と言ってもいいだろう。事実上、旦那と半次の2人が主役であった。
この品川隆二が演じる人物は、いっぽんどっこの旅ガラスで、おっちょこちょいだが憎めない三枚目で、人情にもろく、気が短くケンカに強い。だが、チャンバラシーンで、敵が本格的な剣豪だったりするとかなわない。まあ、そんな時は、月影、もしくは花山の旦那が出てきて相手をやっつけてしまうのだが。
まあ、そんな人物だった。本当に愛すべき人物。
で、その人物の名前こそ「焼津の半次」であった。
そう、品川隆二が演じる「焼津の半次」。
私は、この半次が大好きだったのだ。
好きだと、相手のことを色々知りたくなるよね。
この半次の故郷である焼津も、なんとなく私の心に刷り込まれていた。
だから、いつか機会があったら訪れてみたいな・・とは漠然と考えてた。
そう思い始めてから何年たったろう。
結局、何十年もたってから、思いがけないことがきっかけで、焼津に泊まる機会が転がりこんできた・・ってわけだ。
しかし、つま恋コンサートが終わって宿に着いたのは夜中。
おまけに疲れもドッと出たし、その疲れは翌日になっても消えなかった。
できれば焼津を散策でもしてみたかったが、そんな体力的な余裕はあろうはずもなく、翌日はそそくさと駅にむかい、新幹線に乗って東京に帰ってしまった。
宿から駅に向かう道の途中、静かな町並みを見ながら、
「かつて焼津の半次という 焼津生まれの人気キャラクターが居たということなど、焼津に住む人の中には知らない人が 今はもう多いんだろうな」
と、少し寂しい思いを持ちながら私は歩いていたのだった。
単に「立ち寄った」だけで終わってしまった「私の焼津」。
宿から駅にむかう途中で何気に道路沿いの家々を眺めてみたが、なんてことはない普通の街。
今時は、新幹線の停まる駅がある街なんて、どこもあまり大差ないのだろう。
駅前にはロータリーがあるのだが、そこもまた何の変哲もない普通の街風景。
私が居た時は、さほど人の姿もなく、ちょっと寂れているような気もした。
まあ、日曜日だったから、街はひっそりしてたのかもしれないが。
そういえば、朝起きて窓から外を眺めたら、遠く向こうの方に海が見えた。
焼津は漁港で栄えてきた街なのだろう。
なんでも焼津の漁港は全国有数の遠洋漁業基地なんだそうだ。
焼津を「感じる」ためには、港へ出て、あわよくば海へ出てみなければ焼津の良さは分からないのかもしれない。少なくても漁港くらいは見ておかねばいけないのかもしれない。
駅の向こうにある、海方面とは逆の方向を見てみれば、のどかな山の姿があった。
結局、立ち寄っただけで終わってしまった、私にとっての焼津。
また来る事はあるのだろうか・・・。
よほど何かのきっかけがないと、来る事はないかもしれない。
そのへん、ちょっと心残り。
半次兄さん、どうやら私はあなたの故郷の良さをあまり発見できないまま帰ってしまったよ。
この情けない私を許してやってくれ。
あんなに好きだったあんたの、生まれ故郷だっていうのにサ。
半次は蜘蛛が苦手だった。
でも、焼津の空は晴れて、雲が浮かんでいた。
♪む~こ~う~い~きな~ら~ 焼津のは~んじ~~
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