これは、世界のギター職人を探訪し、取材した本である。
今となっては、ちょっと古い本ではある。
よく、ギター制作家のことを「ビルダー」と読んだり、「ルシアー」と読んだりするが、ビルダーとルシアーの違いについて調べてみたところ、ビルダーは広義で「作る人」のことで、ギターに限らず何かを作る人のことらしい。
だから「ハウスビルダー(家を作る人)」と呼んだり、「ボディビルダー(筋肉を作る人?)」「ギタービルダー」と呼んだりする。つまり「ビルダー」という言葉の前に、何を作る人なのかを表示する。
一方、ルシアーというのは、主に弦楽器製作家のことを指すらしい。
ルシアーという名称のほうが、楽器制作に特化した呼び方・・ということだろう。
さて、この本。
世界の何人ものルシアーが取材され、紹介されており、ルシアーへのインタビュー、ギター製作工程の写真、完成したギターの紹介などが掲載されている。
紹介されているギターは、主にジャズなどでよく使われる「アーチトップギター」が多い。本の後半ではエレキベースも紹介されている。
アーチトップタイプのギターは、私はエレキを1本、アコを1本持っている。
エレキのほうはギブソンのコピーモデルで国産メーカーのもの。学生時代にエレキバンドを組んでた時は、メインギターだった。
アコのほうは、正直言うと今の自分がライブでやる音楽傾向にはさほど合ってはいない気がして、ユニットやライブでは出番は・・・今のところない。でも、ライブではやらない曲でも、自作曲の中にはこういうギターが似合う曲もあり、たまに家で弾いたりはしている。
アーチトップギターは、通常のフラットトップギターとは傾向が違うギターである。
とはいえ、私はアーチトップギターの高級モデルは弾いたことがないので、単純に比較はできないかもしれないが。
そんな私が思うアーチトップギターの魅力は、まずなんといってもそのルックス。
この本に掲載されてるアーチトップギターは、名のあるルシアーの傑作モデルなので、どれも芸術品のようなルックスである。ルックスを見ただけで、一度でいいから抱えてみたくなるギターばかりだ。
ただ、名のあるルシアーの作品なので、値段の方も相当なものだろう。値段のほうははっきりとは明記されていないが、たとえ明記されていたとしても、・・私には手が出ないだろうなとは思う。
そう思うと、最初からあきらめはついており(笑)、ただ単に眺めているだけでも楽しい。まあ、どれも一度でいいから弾いてみたいとは思うけれどね。
できれば、こういう本で紹介された一流ルシアーの芸術品のような高級ギターばかりを集めた展示会みたいなものでもあれば・・・とは思う。
なにせ、この本に掲載されてるギターは、現物を見る機会は・・・ほとんどないものなあ。
少なくても、この本で紹介されてる多数の高級ギターが一堂に会する機会なんて、そうそうあるもんじゃない。
だからこそ、なおさら。
この本を読んだり見たりしてると、つくづくそう思わされる。
私の周りでも、マーチンやギブソンなどの高級モデルを持っている人はいても、この本で紹介されてるようなアーチトップの超高級品を持ってる人は・・・思い当たらない。
ましてや、アーチトップの超高級品をライブで弾いてる光景は・・・まず見かけない。
そうおいそれと買えるシロモノじゃないし、さすがに持っていない人が大半なのだろう。
楽器フェアかなにかで、この本に掲載されてるような、世界の名ルシアー製作による芸術品のようなアーチトップギターばかりを集めた展示会をやってくれないかなあ。
そんな気にさせられる1冊ではある。
昔・・・何かのギター雑誌で、世界的なギターコレクターの持ってるギターコレクションが特集されていたりしたが、そのコレクターの持ってるギターはアーチトップギターが多く、どれも芸術品のような超高級品ばかりだった。
そういうコレクターは、相当な億万長者なんだろうな。
じゃないと、そう何十本も、そういうギターを集められるものではないだろうし。
また、そういう大金持ちを刺激してやまない魅力や魔力が、高級アーチトップギターにはあるのだろう。
ともかく、見ててため息ばかり出る、罪つくりな1冊。
とりあえず確かなのは・・・・万一、私が宝くじを買って、それが大当たりして、こういう超高級アーチトップギターを何本も買ったとしても・・・
宝の持ち腐れになりそうだ・・・ということだ(笑)。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます