明治神宮には広大な森がある。
昔私は明治神宮の森は天然の森が残されているのだとばかり思っていたが、後になって、明治神宮の森は人工で植林し、ああいう森になったことが分かった。
山の手線に乗って外の景色を見てると、たいがいは東京らしい町の風景が広がっているが、こと原宿駅は、山手線の外回り方面の風景はあたり一帯が森である。
なにやらそこだけ別空間のようでもある。
近年、駅の改装工事があり、駅の森側には壁が設置され、駅のホームからは、以前より森が隠されてしまったようなのが個人的に残念なのだが・・。
でもその壁が設置される前は、ホームから森が見えていた。
夏などは蝉しぐれがうるさいぐらいだった。
私は東京暮らしでありながら、明治神宮にはそれほど行ってはいない。
いつでも行けると思うと、案外行かないもので。
学生時代、友人と「怖い話大会」みたいなことをやっていた時、友人から明治神宮の森にまつわる怖い話を聞かされたことがあった。
なんでもその怖い話は、元々は昔、ある女優が話していた話らしい。
その話がどんな話であったかは、ここでは書くのはやめておく。
内容は覚えているので、書くことも可能だが、それはまた別の機会にすることにして。
ともかく、その怖い話の登場人物・・・というか登場霊(?)の明治神宮の森の中での登場の仕方がけっこうインパクトあったので、そのイメージが私の心に深く刻まれた。
まあ、その怖い話が事実だったかどうかはともかく。当時の「都市伝説」のひとつの類だったのだろうとは個人的に思っている。
明治神宮の森はかなり濃い。都心にあるからとはいっても、決してスカスカの森ではない。
それだけに、その「怖い話」に出てきた霊が、その独特の登場の仕方で出てきてもおかしくないような雰囲気は感じる。
そんな濃い森が渋谷と新宿の間にある・・というのは、周りの都心の景観を考えると、なにやらちょっと不思議にも思える。
異空間という感じで。
原宿の駅で、ホームから片側を見れば都心らしい風景で建物が立ち並び、ファッションの街らしいオシャレな建物や店は多い。道は賑わっており、道行く人のファッションはカラフルだ。線路と平行して走る道路には、行きかう車は多い。
一方、駅のホームの、町の逆側の壁のむこうは、いきなり深い森だ。
都心でこれほど左右の景観が異なる駅も珍しい。対照的なぐらい。
原宿は、私が若い頃にロックバンドをやっていた時、いつも使ってた練習スタジオがあった。なので、練習のたびに原宿に出かけていたものだった。
練習が終わると、スタジオ近くの居酒屋で「反省会」という口実で毎回飲んでいたものだった。
また代々木公園方面まで行けば、歩行者天国があり、そこでは解放された道路で様々な若者が路上パフォーマンスをしていた。
「イカすバンド天国」というテレビ番組が流行った頃には、歩行者天国には様々なロックバンドが路上ライブをやっていた。
かくいう私のバンドも何度か、その歩行者天国で路上ライブをやったりした。
まさに原宿は流行の発信地みたいな場所でもあった。まあ、それは今でもそうなのだろうが。
だがその一方で、明治神宮の濃い森も共存しているのだ。
考えてみれば、原宿は独特の街だと思う。一般的にはファッションの街というイメージが強いだろう。それは決して間違ってはいない。
でも、その一方で広大な森もあるのだ。
そのへん、実に個性的。
明治神宮の森を見ると、東京が東京と呼ばれていなくて、しかも江戸のにぎわいもなかった大昔の時代には、ああいう風景が各地に普通にあったのかもしれない・・などと思ってしまうことがある。
現に、私が今住んでるエリアの郷土写真集で、明治時代の古写真などを見てみると、のどかなものである。とても同じ場所とは思えないぐらい。
明治時代でもそうなのだから、太古の時代となると、その印象はもっと強いことだろう。
ちなみに明治神宮ができる前のあの辺一帯は、森ではなく、一面に畑が広がる荒れ地だったようだ。その辺少し意外。
明治神宮がある場所にしても、明治神宮ができる前は、多少の雑木林などがある以外は草原や畑のあった場所で、荒れ地のような土地だったらしい。
それが明治神宮ができるにあたって、人工的に植林され、今のような深い人工の森になったらしい。
ちょっと見た感じでは、人口の森であるというのは信じられないぐらいだ。
元々ああいう森があって、神域ということもあって乱開発されずに維持されてきたのか・・と思っても不思議ではないくらい。
だが、たとえ人工の森であっても、都心の・・しかも原宿みたいな流行の最先端にあるような街にああいう森があるという事実は嬉しいことではある。
今では都心のオアシス的な存在だと思えるし、別世界な空間がそこにある。
とりあえず、再開発の波が、将来あの明治神宮の森にまで及ばないことを願うのみ。
どうも私は、再開発という言葉に、あまり良いイメージを持てないでいる。
もちろん、中には本当に必要なものもあるのだが。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます