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サイボーグ009には様々な敵が出てきた。
強敵もいれば、美しい敵もいたが、悲しいキャラもいた。
とても嫌いになれない…どころか、感情移入して好きになれたキャラもいた。
そんなキャラの筆頭は、個人的には何と言っても0013だった。
0013は、このエピソードが後年アニメでリメークされた時に、裏設定としてツトムという名前があったらしい。原作ではそういう設定はなかったが。
00ナンバーサイボーグたちは、世界の各国出身だが、0013はツトムという名前からして多分日本人なのだろう。少なくともリメーク版では。
0013は改造される前の人間時代は、いわゆるいじめられっ子だったようだ。
言葉が不自由らしく、そのせいで普段まわりの人たちからバカにされてるような感もあった。そのせいか友達もいなかった。
ブラックゴースト団によってサイボーグ化された彼だったが、実は彼は本当は心やさしい少年であり、誰かと友達になりたいとも思っていた。
ひょんなことから009と知り合った時、009は彼に優しく接した。
0013はそのことが心底嬉しかったようで、後にやむを得ず009と戦うハメになった時に、追い詰めた009を助けたりした。
サイボーグとしての能力では、0013は009よりも優れていたのだ。だから009を殺すこともできた。だが、それは彼にはできなかった。
彼が後に009にこんなセリフをいうシーンがあった。
「おいらはいつも(まわりのひとたちから)いじめられていた。だからほんのちょっとした親切でも嬉しい」と。
このセリフに共感できる人や理解できる人は、そういう経験をしたことがある人で、他人の心の痛みを理解できる人だと思う。
ブラックゴーストの陰謀により009と戦わざるをえなくなったのは、彼にとっては悲しかったはず。
彼は改造のされかたのせいで、009たちとは仲間になれなかった。
というのも、彼がブラックゴーストを裏切ったら、ブラックゴースト団によって爆破されるように彼は設計されていたからだ。
だが、本来彼は009たちと仲間になれたはずの優しい心を持ったサイボーグだった。
何より0013自身、009と仲間になることを本当は望んでいたはず。
そして、もし0013が009たちの仲間になったら、009たちにとっては心強い仲間になったはず。
それまで周りからいじめられ続け、友達がいなかった彼なら、009たちのような仲間ができたら、それこそ仲間たちのために命をかけて共に戦ってくれただろう。そして、そんな自分を幸せに思っただろう。
いじめられ続けたぶんだけ、人の心の痛みはわかったろう。
0013は009よりも優れた能力を持っていたのだから、大活躍する味方になっただろう。
彼には通常の少年の姿とは別に、もう一つの体があり、それは巨大ロボだった。
彼は巨大ロボと一心同体になることで、巨大ロボの姿で敵と戦うこともできたから、巨大な敵が出てきたら、他の00ナンバーサイボーグたちより大活躍する場面は多かったはず。
もっとも、ルックスでは009には敵わないが(笑)。
彼を009たちの仲間にさせてあげたかったという思いは、この逸話を読んだ多くの読者が感じたことだろう。
それを証明するシーンが、平成の世にテレビアニメでリメークされた009で出てきた。
0013は物語の中では009の仲間になれなかったが、平成のサイボーグ009のアニメのエンディングでは、0013が009たちと同じ戦闘服を着ているシーンが出てきた。009たちと同じ戦闘服を着ているということは、009たちの仲間になったという意味合いだろう。
物語中では、0013が009たちと同じ戦闘服を着るシーンはなかった。まさに架空のシーン。
これなど、アニメ制作スタッフたちが、0013を009たちの仲間にしてあげたかったという思いが、そんなシーンを描かせたのだと思う。
せめてエンディングの中のイメージシーンの中でだけでも、0013を仲間にしてあげよう…そんな印象だった。
彼が死んでゆく時の009とのやりとりのシーンは、実に切なかった。
泣けるシーンだった。
やはり、忘れられないキャラではあった。
誰よりも優しかったがゆえに、敵を殺せず、結局は自分の命を犠牲にすることになってしまった、それが0013。
悲劇のゼロゼロナンバーサイボーグの来世に幸せあれ‥‥と思ってた私だったが、その後彼が作品中に出てくることはなかった。
彼が生きてたら、きっといじめられてる人の味方になってくれただろう。
私がもし漫画家だったら、0013を主人公にしたスピンオフ作品を描いてみたくなったかもしれない。
虐げられてる子供たちや、友達のいない子供の味方として。
かつて浦沢直樹先生が、鉄腕アトムに出てきたプルートゥを主人公にしたスピンオフ作品「プルートゥ」を描いたように。プルートゥも悲しい奴だったものね。
だが、私は、悲しいかな0013の最後は悲しくて描けないかもしれない。
甘くて、スミマセン。
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