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気ままな雑記帳です。話題はあれこれ&あっちこっち、空を飛びます。別ブログ「時代屋小歌(音楽編)(旅編)」も、よろしく。

童謡「ひなまつり」の謎

2023年03月02日 | 音楽全般

 

童謡「ひなまつり」といえば、日本人なら誰でも知っている童謡であろう。

私は男性ゆえ、我が家でひなまつりなるものをやったことはない。

だが、この歌のことは普通に知っていた。

そして不思議に思える歌詞があり、それが気になったりしていた。

どの歌詞が気になっていたかというと、2番の「お嫁にいらした」という歌詞であった。

この「いらした」という表現が謎であった。

 

「お嫁にいらした姉さまの」という一節なのだが、この意味がどうも自分の中であいまいで。

「(他家へ)お嫁に行ってしまった姉さま」のことなのか、あるいは「(我が家に)お嫁として来た姉さま」のことなのか。

これだと、同じ「姉さま」でも、主人公との関係に違いが出てしまうことになる。

 

他家へお嫁に行ってしまった姉さま・・・ということなら、その姉さまとは歌の主人公の実際の姉であろう。ということは、もうその姉さんは我が家にはいないことになる。

ならば、歌の主人公の心の中には、「実の姉が我が家からいなくなって寂しい」という気持ちもあろう。

 

だが、我が家にお嫁として来た姉さまなら、歌の主人公にとって義理の姉ということになり、なおかつその義姉さんは今我が家にいることになる。

ということは、その義姉と結婚したのは、歌の主人公のお兄さんであり(主人公の父の再婚相手だとしたら、「継母」ということになるし、姉さまとは呼ばないであろう)、なおかつ主人公は兄夫婦と同じ家に暮らしていることになる。だとすると、主人公の気持ちは寂しいものではなく、明るいものであろう。

 

 

「いらした」という言葉の捉え方がどうも私の中であいまいで、どうもこの歌のこの部分がはぐらかされているように思え、謎だった。

 

そこで調べてみた。

 

すると。

 

 

「いらした」というのは元々は「行った」という言葉の尊敬語のことだそうな。

だとすると「お嫁にいらした」というのは、「(他家へ)お嫁に行ってしまった」ということになる。

当然、我が家にはもういない。

 

 

まぎらわしいのは「いらした」という言葉は近年では「来た」という言葉の尊敬語として使われがちであるということ。

なので、現代人の感覚としては、「(我が家に)お嫁として来た」ということでとらえてしまいがち。

 

この「ひなまつり」という歌が作られたのは1936年らしい。

その当時は「いらした」は「行った」の尊敬語だったのだろう。

 

ただ年月の経過で「いらした」の使われ方が昔と違ってきているから、この歌詞の捉え方が謎に思えているだけなのだろう。

というか、謎に思えたのは、単に「いらした」という言葉の使われ方や感覚が昔と今で違ってきているから・・・ということなのであろう。

 

 

だが、歌の作られた時代に照らし合わせてみると、やはり「姉さま」は他家に行ってしまって、今はもう我が家にいない・・・というのが、この歌の本来の意味ということになる。少なくても、この歌が作られた当時の意味合いとしては。

 

そうなると、主人公にとってはそこに寂しさがあるはず。

 

この歌の旋律には、華やかな中にもどことなく哀愁があるが、歌詞の根底に寂しさがあるから、その寂しさが哀愁のメロディにも反映されているのであろう。

 

言葉というものは、同じ言葉でも時代が変わると意味合いや使われ方がずれてくることがある。

その影響が、現代人のこの歌の捉え方の違いに繋がっていたのだろう。

使われ方がずれてきて、しかもそれが長年続いていくと、いつしかそれははっきりと「まちがい」とは言い切れなくなることがあり、その辺が歌詞にややこしさを与えてしまうことになったりもする・・ということか。

 

とはいえ、この歌の歌詞で「今日は楽しいひなまつり」とか「嬉しいひなまつり」という部分もあることだし、「お嫁にいらした」を「お嫁に来た」と捉えるほうが、意味合いとしては現代っぽいのかもしれない。悲しいとか寂しいとかではなく、楽しいとか嬉しい感情として。

現代では、この歌をそう捉えている人が多くても、それはそれでいいのかも。

 

ちなみにこの歌の作詞をしたサトウハチローさんには、実の姉がいたそうな。

だが、その姉は結婚が決まっていたのに、結核で亡くなってしまったそうな。そんな悲しいいきさつがあったらしい。

もしかしたらそんな過去の出来事も、この歌の奥にこめられていたのかもしれない。だから、、「楽しいひなまつり」の歌ではあっても、奥に哀感を感じてしまうのかもしれない。

 

 

なんとなく以前から意味合いがぼんやりして、時には気になることもあったのだが、いつか調べてみようと思いながら、そのままになってた疑問。

このネタを書くのは、調べる良いきっかけになった。

 

 

 

ところで昔「日本全国酒飲み音頭」という歌がヒットしたことがあり、その中に「3月はひなまつりで酒が飲めるぞ」という歌詞があった。

私はひなまつりに参加したことがないのでよくわからないのだが、ひなまつりでしこたま酔っぱらうオジサンって、いるのだろうか?

ひなまつりで泥酔するオジサンがいたとしたら、どんな状況、どんなオジサン、どんなメンバーなのだろう。

あ、この場合、オジサンにこだわらなくてもいいのか(笑)?

 

 

できれば、「お嫁にいらした姉さま」が、嫁ぎ先で良いひなまつりを過ごせていればいいね。

 

 

 

 

 

 


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