時間の外  ~since 2006~

気ままな雑記帳です。話題はあれこれ&あっちこっち、空を飛びます。別ブログ「時代屋小歌(音楽編)(旅編)」も、よろしく。

アルバムだからこそ楽しめる曲

2010年09月25日 | 音楽全般
某大手CDショップが閉店・・・・というニュースを先日テレビで伝えていた。

CDが売れない時代、今。
もはやCDの時代ではないのかもしれない。

昔、LPというものがCDにとって代わられた時、非常に抵抗感を覚えた私であるが、かつてLPをやっつけた(?)CDが今度はダウンロードなどの手法に倒される。
複雑な気分だ。

いまどき3000円もだしてCDアルバムを買う時代じゃない・・という意見も聞く。
聴きたい曲だけをダウンロードすればいい・・そういう意見も聞く。
だとしたら・・もう、アルバムの時代じゃないのだろう。

アルバムとしては、オムニバス、もしくはせいぜいグレイテストヒットだけしか存在できなくなっていくのだろうか。


ミュージシャンにとって、アルバムとはなんぞや。

ヒットソングばかりを集めるのがアルバムではない・・・ということを、例えばビートルズはリボルバーやサージェントペパーズなどで証明した。
ビーチボーイズはペットサウンズで証明した。

また、アルバムだからこそ超大作曲・・特に長い曲を発表できるということを、ボブ・ディランや一連のプログレミュージシャンなどは証明した。

アルバムだからこそ、色んな傾向の曲をアーティストはリスナーに聴いてもらうこともできた。
一度聴いただけでは良さが分からない曲も、アルバム全体の流れとして何度も聴くと、最初良さが分からなかった曲もリスナーはその曲の良さが分かるようになる場合もあった。



普通のシングルではできないようなことを、ミュージシャンはアルバムの中の曲でやることができた。
冒険、挑戦、実験など。
そして、そういう経験が、後のシングルヒット曲、大名曲につながることもあった。

また、ひとつのストーリーやテーマを設けて、1枚のアルバムとして完成させることもできた。
その場合、曲順、選曲、曲間のつなぎの間、エフェクト、リフレイン(リプライズ)、ジャケットデザイン、ジャケの紙質、アルバムタイトル、その他・・などを総合して制作されたりする。

時には、アルバムについてくる解説書に掲載されてることがある、ミュージシャンからのメッセージ、評論家などの解説、洋楽なら訳詞。
そして、クレジットされてるバックミュージシャンのメンバーの名前、プロデューサーの名前もまた、アルバムを買う時の参考になった。

また、全然知らない曲をアルバムで知ることができることもあった。

それと・・CDショップなどで、アルバムの棚をゴソゴソあさって、思わぬ音楽やアルバムを見つけて購入することもあった。



だが、ダウンロードで、それができるだろうか。


今後ミュージシャンにとっては、実験、冒険、遊び・・などの試みはしにくくなっていくのではないだろうか。

となると、作る曲はどれも保守的になっていくのではないだろうか。

それは・・衰退につながっていかないだろうか。

遊び的な曲にしても、ファンにとっては「アルバムだからこその楽しみ」として味わうこともできた。


もはやアルバムというものは、オムニバスやベストヒットしか生きる道はないのだろうか。


だとしたら・・・

もう、


例えばビートルズの「ハー・マジェスティ」「マギーメイ」のような曲なんて録音されないかもしれない。

それらはアルバムだからこそ楽しめた曲だった。



先人たちが築き上げてきたロックやポップスの音楽表現の場が、一気に崩壊・・もしくは縮小されていくような危機感を感じてしまうのは私だけだろうか。




先人たちが冒険し、挑戦し、試行錯誤し、追求してきて、進化してきて、開拓した上に今の音楽があるんだとしたら、その進化が止まってしまわないだろうか。

まあ、ダウンロード中心の「聴かれ方」の中では、それにそった進化というものもあるのだろうが、手段の一つとしてアルバムというものが衰退していくのは、怖い気がする。


アルバムは、1曲という単位で聴くものではなく、盤全体という尺で聴くものだった。
1曲という単位で聴くのはシングルであり、アルバムとシングルではそれぞれ別の意味合いがあった。
音楽で自分を表現するミュージシャンにとっては、シングルとアルバムでは意義が違った。

私は、ロックに目覚めてからは、音楽はアルバム単位で聴いてきた。
そこには、シングルでは味わえない、ミュージシャンの深みや様々な側面や挑戦や遊び精神などが詰め込まれていた。
シングルではできないことが、てんこ盛りだったりもした。
そのいい例がビートルズのホワイトアルバムだった。

アルバムという媒体で音楽を聴いて育った私としては、アルバムが衰退していってしまうのは、寂しくて仕方ない。

そして・・ちょっと心配でもある。


これが私の杞憂に終わることを願うばかりだ。

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