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トラベルギター、マーチン バックパッカーが出た頃
マーチンから、バックパッカーなるトラベルギターが発売された時は、驚いた。
それは1992年のことだった。
まずは、そのデザイン。そしてコンセプト。更にはその値段。
ギターというより、ちょっと見では扇みたいなデザインで、「これ、アコースティックギターなの?」と思った。
旅に気軽に持ち運びできるギターというコンセプトは、音楽と旅行が好きな私にはピッタリに思えた。
さらに、新品で3万円台でマーチンギターが買えるなんて・・とも思った。
いてもたってもいられなくなり、当時バックパッカーを入手しようと、あちこちの楽器屋を巡った。でも、どこにも売ってなかった・・・というか、どこでも売り切れだった。
当時、それほど売れていたのだ。
仕方ないので、お茶の水の某楽器屋で、次に入荷した時の予約をした。
待つことしばし、やっと入手できた時は嬉しかった。
専用のソフトケースは、片側の肩にかけるタイプ。かけてみたら、サイズも小さいし、軽いし、ギターを背負っているという感覚はなかった。
「なるほど、これは持ち運びは楽だな」「ギターを持ち運んでいる気がしない」と思いながら家に持ち帰り、さっそくケースから出して弾いてみた。
これはストラップが付属されており、ストラップを使って弾くことを前提に作られたギターだと思った。
ストラップをしていないと、正直弾きづらかったから。
このギターを写真で見た時、いくらマーチンでも、このデザインと値段だと、おもちゃみたいなものなのではないか・・・と思ったが、実際に弾いてみると、それなりにちゃんとギターしていた。
サイズ的にさすがに低音は全くでなかったが、高音にはマーチンらしい響きが継承されている気はした。
もちろん、レギュラーサイズのギターと同等のものを求めるのは、はっきり言って「ヤボ」というもの。
あくまでも、持ち運びが気軽にでき、かさばらなくて、持ち運んだ場所でも一応ギターとして楽しむことができるもの・・・そういうコンセプトのトラベルギターなのだ。
このバックパッカーが発売された頃、これに触発されたかのように、色んなメーカーからトラベルギターが発売された。
その後、色んな淘汰があり、今では新品としてはすでにあまり見かけなくなったトラベルギターもある。
その一方で、トラベルギターというコンセプトをある程度受け継ぎながらも、ややレギュラーギターに近づいた感覚で弾けるミニギターというものも続々登場してくるようになった。
おおむね値段は安いが、中にはレギュラーギターと遜色ない値段のものも出てくるようになった。
今ではミニギターというものもそれなりに市民権を得ているのか、ネットで調べると、かなりのメーカーがそういうのを作っている。
小ぶりなギターというのは昔からあるが、トラベルギター的な感覚も併せ持つミニギター市場の原点になったのは、バックパッカーである・・・私にはそんな印象がある。
そういう意味では、マーチンはバックパッカーでギターに新しい可能性を開拓したといえるのだろう。
マーチンを持っていない人にとっては、新品で3~4万円ぐらいから、ボディに「Martin」のロゴが入ったギターが買えることになる。
あ、ただ、初めてギターを買う人にとっては、いくらバックパッカーにマーチンのロゴがあったとしても、そのお金で、他のメーカーのレギュラーサイズのギターを買うことをお勧めする。
そう、まずはレギュラーサイズギターを買ったほうがいい。
あくまでもバックパッカーは、すでにレギュラーサイズのギターを持っている人が、バリエーションとして買うギターだと私は思うから。
ちなみに、バックパッカーを実際に外出する時に私が持ち出したのは、はっきり覚えているのは2回ほど。
1回は、バックパッカーを買ったばかりのころ、昼間大掃除をした大晦日の夜に家を出て、片道1時間半かけて、当時よく飲みに行ってた音楽パブに持っていった時。
「こんなの、買ったよ」と紹介したかったのだと思う。
でも、店には普通のレギュラーサイズのギターもあったので、あまりバックパッカーには出番はなかった(笑)。
で、もう1回は、当時親が住んでた田舎に、バックパッカーを持って行った時。
親はギターは弾かないので、当然実家にはギターはない。
泊まるのは親の家だからして、宿のようなチェックインもチェックアウトもない。つまり時間的な制約はない。まわりにこれといった遊び場もない。知り合いもいない。近くに店らしきものもない。昼間、やることもなく、部屋の窓の外に広がる自然風景を見て、なごむだけだった。まあ、ぼんやりとのんびりするにはちょうどよかった。
そんな時、持って行ったバックパッカーは真価を発揮した。
あの時ほど、バックパッカーを買ってよかった、持ってきてよかった・・と思ったことは他になかった。
部屋の中でポロンポロンとバックパッカーを弾きながら、窓の外の自然風景を眺めるのは、最高の贅沢に思えた。
これがレギュラーサイズのギターだったら、持っていかなかったはず。かさばりすぎるから。
軽くて、しかも片側の肩にかけることができ、その結果両手が空くバックパッカーだからこそ持って行ったのだった。
そういえば近年、折りたためるギターも登場したっけ。
私が雑誌で見たのはアコギだったが、他に「折りたためるエレキ」もあるらしい。
アコギとエレキ、両方作っているのが、「ボヤージュ・エアー・ギター」というブランド。
それの更に上を行くような折りたたみギターが「ブルーズ・ウォーカー」というブランド。ブルーズ・ウォーカーは本当に「折りたたみ」という感じがして、凄い。ここまで来たか・・という感じだ。
このへんのギターを実際に持っているプレイヤーからの評価はどうなんだろう。
音。弾きやすさ。耐久性。値段との兼ね合い。・・などの面で。
一度弾いてみたい、気になる存在ではある。
ともあれ私は、マーチンのバックパッカーの登場が、ここまで繋がっている気がしている。
でも、めったに現物は見ないですね。
私も楽器店で取り寄せる方が確実なのでしょうが、店で現物を見つけて、棚から外して会計に持っていくことが最も理想的なのです(笑)
だんぞうさんも、おっしゃる通り、トラベルギターはギター入門者が最初に入手する物ではありませんね。
ビートルズ入門者が、最初から彼らのアウトテイク・アルバムを聴くようなものです。
私も、釣りに行く度に、トラベルギターと同行したり、軽い散歩にも持参したいですね。
だんぞうさんも、これからもトラベルギターを活躍させてくださいね♪
トラベルギターは、安いのが多いので、買いやすいと思います。
バリエーションには、もってこいです。
ただ、メインギターにするギターではないと思います。
音にはあまり多くのことは望めないから、買うならエレアコタイプのものが良いと思います。
持ち運びは、確かに楽です。
肩にかけて持ち運びできるのが良いです。
ただ、最近は家ではあまり弾いてないかも、、、。
いざという時のギターですね。
僕は当時バックパッカーにするかと迷いに迷ってクロサワ楽器オリジナルのギグパッカーを買いました。
細長いけどギターのシェイプをギリギリ保ったトラベルギターでした。で、やはり持ち出した記憶は2回ほど(^^)
また、お邪魔します。
時間の外に、ようこそ。
ギグパッカー、知ってます!
私のまわりでは持ってる人もいました。
そうそう、ギグパッカーは、ギターの形を残しており、ギターらしさがありましたよね。
マーチンのバックパッカーは、その形から言って、ギターというより、別の楽器みたいに見えました。
なんか、どこかの民族楽器みたいで。
私は、そんなところが気に入ってました。
ただ、ギターらしさを残したギグパッカーも気にはなってました。
拙いブログですが、またいつでもお越しください。