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気ままな雑記帳です。話題はあれこれ&あっちこっち、空を飛びます。別ブログ「時代屋小歌(音楽編)(旅編)」も、よろしく。

サンフランシスコ・ベイ・ブルース  by  ジャック・エリオット

2010年12月12日 | 音楽全般

通称ランブリン・ジャック・エリオット。

ランブリン・ジャックと呼ばれることもあれば、ジャック・エリオットと呼ばれることもある。

形容としては「漂泊のシンガー」。この形容には大いなるリスペクトも入っている。

 

ジャックは、例えばボブ・ディランの熱心なファンの方にはお馴染みのシンガーであろう。

ディランの音楽をさかのぼると、ウディ・ガスリーと並んで必ず出てくるシンガーだ。

若い頃ジャックはウディ・ガスリーの熱心なフォロワーだった。

だが、やがて自分なりのスタイルを確立していった。

ディランもまたウディの熱心なファンだったが、ジャックからも相当の影響を受けた。

ディランのデビューアルバムとジャックのアルバムを両方聴いたことがある人は、ディランのデビューアルバムが当時のジャックそっくりである・・と感じた人は多いかもしれない。

私自身、ジャックの初期のアルバムを聴いた時は、初期のディランとそっくりなので、少し驚いた。

もちろん、この場合、ディランがジャックにそっくりだった・・というのが正しい。

特に、その声質、歌い方。

いわば、ジャックは初期のディランの先生みたいなものだったのかもしれない。

そういう感覚でジャックのアルバムを聴くと、非常にしっくりくる。

なので、ディランのデビューアルバムが好きな人は、ジャックのアルバムも好きになるのではないか。

 

この「サンフランシスコ・ベイ・ブルース」は、ジャックの代表的なレパートリーのひとつ。

とはいえ、曲の作者は、ジョセ・フラー(ジェシー・フラーと表記される場合もあり)という黒人シンガーらしい。

ユーチューブでフラーがこの歌を歌う映像があるが、いやはやそのパフォーマンスは目立つ(笑)。

たった一人で歌・ギター・ハモニカ、カズーのほかに、足でドラム・シンバルを同時に演奏しており、それがフラーのスタイルだったようだ。

まるで大道芸のようでもあり、一人バンド状態でもある。

フラーは愛想はなさそう(笑)だが、芸達者なのは間違いない。どこか愛嬌があるジャックとは対照的なキャラ。

 

ジャックは、シンガーソングライターのようなイメージを持つ方が多いかもしれないが、実は彼はむしろ「生粋のシンガー」で、「本来の意味でののフォーク・シンガー」と言ってもいいのではないか。

自作曲はまったくないわけではないらしいが、レパートリーのほとんどが自作曲ではない。

なので、ソングライターとしての側面は希薄である。あくまでも「シンガー」なのである。

世に埋もれている名曲をどこからか見つけてきたり、友人が作った名曲を歌ったり。

それらを完全にジャック流に弾き語りで歌いこなしてしまう。

埋もれている曲の伝道師・・そんな感も個人的には感じる。

 

世に弾き語りをするシンガーは多いけど、弾き語りをする人は、一度はジャックの演奏・歌を聴いておいて損はないと思う。

彼の魅力は、愛すべきキャラクター性と、歌とギターの一体感である。

弾き語りをする人は、ともすればボーカルに比重があったり、あるいはギターに比重があったりすることが多い。

ボーカルに比重があると、ギター演奏は添え物だったり、便宜上弾いてるだけだったりする。

逆に、ギターに比重があると、歌が弱かったりする。

その点、ジャックは、歌とギターが完全に一つになったスタイルで、歌とギター演奏がうまく溶け合って、彼の音楽を聴いてると余計なバック演奏は不要な気がするくらい、弾き語りとしての完成度が高い。

 アルバムまるごと聴いてると、特にそう感じる。

 

この「サンフランシスコベイブルース」は、なんでも、60年代の日本ではフォークシンガーたちによくカバーされてたそうだ。

ディラン経由でジャックに辿り着いた人も多いだろう。

で、初期のディランに惹かれた人は、その先生格のジャックをも好きになり、リスペクトしたのだろう。

私のかすかな記憶では、70年代前半に出た音楽系の雑誌で、友部正人さんがジャックに関する記事を寄稿し、その文の出だしをこんな風に書いていたのを覚えている。

「ジャック・エリオットはひどい近眼だ。だから、いつも電車の窓ごしに景色を見ているようなものだ。」

こんなニュアンスで始まる記事を書いていた。

その記事の詳しい内容は私はもう忘れてしまったが、ジャックに対する敬慕の気持ちがでていた文章だったように思う。

そういえば、友部さんのスタイルもまた、ジャックに通じるものがある。

友部さんも、ディランだけでなくジャックにも影響を受けたのだろう。

 

で、「サンフランシスコ・ベイ・ブルース」に話を戻せば、この曲は日本以外でも多くのミュージシャンがこの曲を取り上げている。

有名どころでは、エリック・クラプトン。MTVでのライブ盤にも収録されていた。

また、若き日のポール・マッカートニーも、ジャックのバージョンでのこの曲に惚れこんでいたらしい。

ソロになってから、ライブでこの曲をカバーしたりしていることからも、窺い知れる。

PPMも、得意の絶妙なコーラスでカバーしている。

 この名曲をカバーしてるミュージシャンは、その他にもそうそうたる顔ぶれがいる。

大物ミュージシャンは、心なしかリラックスしてこの曲をカバーしてる映像がユーチューブには多かったが、個人的には、やはり若き日のジャックの歌ったこの曲のバージョンが一番好きかなあ。特にセカンドアルバムでのバージョンが。

声に張りが合って、パワフルで、乗りも緊張感もあって。そのテンションが実にゴキゲン。

 

もしもジャックのこの歌のバージョンを聴いたことが無い方は、日本でのジャックのライブ盤のテイクも悪くないけど、やはりセカンドアルバムのバージョンから入ってみてほしい・・と個人的には思う。

セカンドアルバムのタイトルは、そのままズバリ! 「ランブリン・ジャック・エリオット」である。

 この記事で紹介している写真が、そのアルバムのジャケット。

 

 

ジャックにはシングルヒットがない。

また、ヒットチャートに登ってくるようなタイプのスタイルでもない。

自分で名曲をたくさん作る・・ってほどでもない。

知名度も高くない。

 

 

でも、自らも歌を志す人の何かを刺激する、漂泊のシンガー。

特に弾き語りをするシンガーには、ぜひ聴いてもらいたいシンガー。

流行音楽の競争の外にいて、変わらぬポリシーを持ち続けるシンガー。

自分で詩を書くより、とりまく周りの人に詩の題材にされてしまいそうなシンガー。

人生を旅の中で生きて、旅の中で歌うシンガー。

私にとって、ジャック・エリオットはそんな「旅するシンガー」である。

 

なんだか・・・カッコイイ。   とっても。

 

1931年生まれ・・ということだから、もうけっこうな年齢になる。

こんなお爺ちゃんが自分の周りにいたら、最高だろうなあ。

 

そんな「ランブリン・ジャック・エリオット」の代表的ナンバーにして、私自身大好きなバージョン。

「サンフランシスコ・ベイ・ブルース」 by ジャック・エリオット。 聴いてみますか?

若かりしジャックのこのテンションが大好きです。なにやらチャーミングでもあり、暖かいお人柄が伝わってくるような気がします。↓

 http://www.youtube.com/watch?v=aXWLceA5TSA&feature=related  

 

・・・と思ったら、削除されてたようです。残念。

ジャックの最近のバージョンによる映像ならまだ見つかりますが、やはり若い頃のバージョンを最初に聴いてもらいたいなあ・・。

最近のバージョンは、枯れた味わいで、それもまた味はありますが、やはり若い頃のエネルギーに満ち溢れたパフォーマンスは最高です。

 機会があったら、ぜひジャックの若かりし頃のバージョンによる「サンフランシスコ・ベイ・ブルース」を聴いてみてください。

 

ならば、この曲の、他のシンガーのバージョンを聴いてみますか?

本家、ジェシー・フラーのバージョンは、こちら 。↓ いやはや、圧巻です。ただ、忙しそうではある(笑)。 これぞ「芸」ですね~。

 http://www.youtube.com/watch?v=LKumuirtwbo&feature=related

 

エリック・クラプトンのMTVバージョン。↓ アルバムが売れましたし、けっこう有名なテイクでしょう。洗練されていますね。

http://www.youtube.com/watch?v=BwcSM3MeI8o&feature=related

 

ポール・マッカートニーのバージョン。↓ ポール、楽しそうです。この曲、大好きなんでしょうね!わかるよ、ポール!←ナレナレシイ。 これまた洗練されてます。

http://www.youtube.com/watch?v=XN9vdliZymQ&feature=related

 

PPMのバージョン。 ↓ エンタテインメント性やメリハリが抜群で、楽しくゴキゲンです。リスナーの「こりゃいいわ!」という声が聞こえてきそうです。

http://www.youtube.com/watch?v=iGMezOTcDDg&feature=related

 


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