時間の外  ~since 2006~

気ままな雑記帳です。話題はあれこれ&あっちこっち、空を飛びます。別ブログ「時代屋小歌(音楽編)(旅編)」も、よろしく。

古本屋の少年

2011年11月23日 | 懐かしい系、あれこれ

今でも古本屋はあるが、私が少年時代は、今以上の古本屋があったように思う。

あ、もちろん、神田の古本屋街は別格で、この際例外。

ここで私が言うのは、そのへんの町の中にポツリとある古本屋のこと。

お小遣いの少ない少年にとって、古本屋は、漫画単行本の貴重な入手先であった。

私がよく行っていたのは、一駅向こうの・・・隣町の古本屋だった。

地元には古本屋はなかったから、電車賃を浮かせるために一駅分歩いて隣町に行き、そこにある古本屋に行ってたのだった。

私のイメージする「町の古本屋」は・・・

●けっして小ぎれいではなく、狭い店内に所せましと本が積み上げられていて、丹念に本を探すとなると、本の山を少しづつどかしたり崩したりしないと探せない。

●そして店内は薄暗く、店の奥に一人用の古びた机があり、そこに店員(主人)が座っている。

●店員は、その場に座ってる場合もあれば、無人の場合もあった。無人の場合は、机の奥にある、住居を兼ねた部屋に引っ込んでいる。

●店員はおばちゃんの場合もあるが、たいがいおじいさん。最近では中年ぐらいの男性店員がいる場合も増えたようだが。

●そのおじいさんは、メガネをかけており、店内を見張っているようでありながら、新聞を読んでたりする。

●店員は、愛想が良くない。でも、接客するために客に近づいてくることがないので、客としても気が楽。

 

・・とまあ、こんなイメージ。

もっとも、このイメージは、私がよく行ってた「隣町の古本屋」のイメージがこうだったからかもしれない。

 

私が古本屋に行くのは、もっぱら安い漫画本を探すためだった。

カムイ伝などの長編作品の単行本を集める時には必須だった。

もっとも・・・お目当ての本が見つかっても、カバーがなかったり、本のページが少し抜けかけていたりもした。

本当ならそんな本は、買ってみても、何度も読んでるうちに、ページがバラバラになったりして抜けおちていったりするので、保存する価値がないのだが、その分激安で買えるので、仕方なくそういう状態の本でも買っていた。

 

あれこれ店内の漫画本コーナーを物色してると、この当時は、私が生まれる前に読まれていた古い年代モノの漫画本が激安の値段で売られていた。

今そういう本が売られていたりしたら、逆にプレミアがついて、かなり高額になっているだろう。

でも、私が古本屋に通っていた少年時代は、そういう年代モノの漫画本の価値は、低かった。

ただの中古でしかなかった。

結局、そういう本をその時私が買うことはなかったのだが、パラパラ中身を見てはいた。

赤の強いカラーで、時代劇で、手塚漫画の前の作品ゆえにコマ割りや構図が、全体像を描いた「舞台調」。

1コマ1コマの変化や構図のバリエーションはあまり無かった。

で、コマ割りは細かく、当時の相場・・・・1ページに12コマ・・を守っていた作品が多かった。

今のコミックの「大きなコマ割り」に慣れてしまった人にとっては、細かくて読みづらいであろう。

 

でも・・・なにか、惹かれるものがあったのは確かだった。

 

ある古い漫画単行本を開いてみたら、出だしのところに、作者から読者のみなさんへのメッセージが書かれていた。

 

覚えてる範囲で書くと、こんなニュアンスだった。

 

「この漫画は、血わき肉踊る、波乱万丈の冒険談で、本当に面白い漫画です。貴方も、主人公たちの活躍にワクワクし、心躍らせるに違いありません。真似をしたくなるでしょう。でも、この漫画に出てくる登場人物の真似は絶対にしないでください。高いところから飛びおりたりしたら、大けがしてしまいます。また、モノを人に投げつけたら、相手にケガを負わせてしまいます。」

こんな感じ。

作者から、こういうメッセージが、ページ内に書かれていたのだ。

誇張した部分が多いだろうが、こういうメッセージを見たら、そりゃ読んでみたくなる(笑)。

 誰かが解説の中で、こういう文を入れるなら分かるが、作者自身がそういうメッセージを、作品冒頭に書き込んでいる・・というのが妙に印象に残っており、今も忘れられない。

あの漫画が、誰の作品で、何というタイトルで、どこの出版社から出ていたのか、まったく分からない。

覚えているのは、前述の通り、時代劇であった・・ということだけ。

 

あの漫画、誰の、何というタイトルの作品だったのだろう・・・。

今思えば・・・・買っておけばよかったかなあ。

 

 

ちなみに・・・その古本屋さんでは、漫画コーナーの近くに、エロ本コーナーもあった(笑)。

行くたびに気にはなっていたのだが、少年だった私には、買う度胸は・・とても無かった。

特に、愛想のないじいさんが店員では。まあ、愛想のないお婆さんが店主だったら、余計にそうだっただろう。

 

当時、あの古本屋に通ってた少年が私の他にもいたとすれば、その男の子たちも、きっと同じだったんじゃないかなあ。

 

女の子のお客さんを、その古本屋さんで見かけたことは一度もなかったが、女の子は古本屋さんには行かなかったのだろうか。

まあ・・・女の子は・・特に一人では、とても入ってゆけるような雰囲気ではなかったから仕方ないか。少なくても、私がよく行ってた古本屋は。

エロ本コーナーが、入口近くにある古本屋もあったしね。

たった一人で古本屋にエロ本を買いに来る少女・・・・そういう少女は、少なくても私の知ってる少女の中には、いなかった(笑)。

いたとしたら、どんな子だったろう。 まさか、父親に「おい、古本屋に行って、安いエロ本買ってきてくれ」と頼まれる少女は・・・あまりいないと思ふ・・・・。

 

まあ、それはいいとして。

なんというか、ジジババが経営する、アヤシイ駄菓子屋に通じる雰囲気が、当時の古本屋にはあった。

 だからこそ・・・私は好きだったのかもしれない。

 

写真は、当時、古本屋で安く買った本の中の一冊で、手塚治虫先生の「化石島」。


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