
この日の宿「百楽荘」のチェックインにはまだ時間があるので、荷物は宿のフロントに預けたまま、私は入り江の方を散策してみることにした。
入り江に向かうには、宿に来る道の途中にあった、枝分かれした小道を入り、すぐに階段が始まる山道ルートを降りていくことに。
この階段を下りている最中、足元にやたらカニが蠢いていた。へたしたら踏んづけてしまいそうだった。それほどたくさんいた。
しゃがんでカニをアップで見ようとすると、奴らはすぐに隠れるか、威嚇してくる。まったく、忙しい奴らだ(笑)。
だったら人間が歩くルートに出てこなければいいのに・・・とも思ったが、そのへんのエリアは本来カニのテリトリーなのかもしれない。
だとしたら、人間こそ「お邪魔虫」ということになる。
さて、海辺に降りてちょっと歩いていくと、海の上を散策路が続いていた。
正式名称は「九十九湾探勝歩道」というそうな。
なんだか、そそられた。これは行くしかない。
↑ 看板によると、その散策路の正式名称は「九十九湾探勝歩道」と呼ぶらしい。
その散策路ときたら、延々と続いていそうな雰囲気。
海の上を延々と歩いてゆくような気分で、面白い。
よし、行こう。さらに先に。
↑ 面白そうで、わくわくしてきた。
それにしても、この九十九湾というエリアは随分複雑な地形になっていると思った。このへんは、リアス式海岸なのだ。
慣れない人が船をこぐと、迷子になってしまいそうな気がした。それほど、入り組んだ地形に思えた。
↑ 歩いてて、楽しい。雨の日は、足を滑らせないように注意。
海の上の散策路をしばし進むと、休憩所が現れ、ベンチもあったので、一服。
そこからは海にポッカリ浮かぶ、おむすびのような山「蓬莱島」が見え、その島ときたら、なにやらカワイイ。
↑ 蓬莱島。
この蓬莱島・・・どうも何かに似ている・・・そう思い、少し自分の頭の中の記憶をたどると、すぐに思い出した島があった。
思い出した島・・・それは、青森の浅虫温泉の海岸のすぐ近くの海に浮かんでいた「湯の島」であった。
なにやら、青森の浅虫温泉の「湯の島」と、奥能登の九十九湾の「蓬莱島」は、縁戚のようにも思え、思わず私の顔はほころんでしまった(笑)。
よく見ると、蓬莱島には鳥居もあった。神域なのだろう。
さて、散策路。最初はちゃんとした木道の道が、まるで湿原にかかる遊歩道のように続いていたのだが、その散策路木道は、やがて「飛び石」の散策路に変わった。
↑ 変化に富む、探勝路。
海の上を「飛び石」のような散策路が続く光景など、そうそう見たことがない。
よく作ったものだ・・としみじみ思った。
足を滑らしたら、当然海の中にボチャン!である。
一定のリズムで歩かなければならない。
まあ、慎重に歩いていけば問題はないのだが、それなりのスリリングさはあって、面白い。何より、新鮮。池などにはたまに見かける「飛び石」のルートだが、海となると、私はあまり見かけたことがなかったから。
↑ 時には、ルートが直角に曲がったり。
↑ 外海が近くなってきた。
この散策路、入り江の中の海は穏やかで安心感があったのだが、ルートを進んでだんだん外海に近づくにつれ、波が荒くなってきた。散策路にうちつける波音も大きくなってきた。なにやら、「飛び石」の高さが心細くなってきた。
満ち潮になったら水没してしまいそうな気分になり、少し怖い。
時には、その飛び石のルートが、妙なコースになっている個所も。そのルート通りに進むと、まさに海の上を歩いているような気分になれるだろう。
↑ なんでこういうルートになってるのかな(笑)。一見ムダなルートのようでいても、遊び心としては面白い。
「海洋ふれあいセンター」の看板までたどり着いた地点で、私は宿に引き返すことにした。
散策ルートも、ここまでのようだった。
↑ ふれあいセンターには、時間的にちょっと行けなかった。
↑ 九十九湾海域公園・・・と書かれている。
さて、宿に戻ってみれば、チェックインの時間も過ぎ、やっとチェックイン。
宿は海に面した崖の上に建っていて、部屋からも風呂からも眼下に海の入り江を見下ろすことができ、贅沢感が高い。
海はどうやらここでも複雑に入りくんで陸地内に浸食してきているようだった。
部屋の窓からは、さきほど歩いた「海の遊歩道」が遠く見えた。
海沿いに見える遊歩道・・・さっき、あのルートを歩いたのだ・・。
この宿の最大の売りは、洞窟風呂。この風呂に続くコースが何とも素晴らしい。
エレベーターで地下2階まで降り、エレベーターを降りると目の前に左右の2ルートに別れた洞窟が現れた。
右に進むと、お食事処「乙姫荘」。
左に進むと、噂の洞窟風呂。
↑ エレベーターのドアが開くと、目の前にいきなりこんな看板が。インパクト、あり。ちなみに「乙姫荘」で、宿の夕飯と朝飯を食べた。
洞窟はどちらの方角にもしばらく続く。洞窟の中は明かりで照らされ、なんともいえないムード。
探検気分で歩いていくと、風呂の入り口に出た。
↑ 右に、風呂の入り口の暖簾が見えている。
洞窟風呂に向かうルート自体が洞窟だったが、実際の洞窟風呂の浴槽がまた、まさに洞窟の中にある風呂で、湯の中にあるブルーのライトが、演出効果を一層高めていた。
これは・・・さすがに風情がある。さすが、この宿の目玉。
↑ 湯に浸かっていると、なにやら少し神秘的だった。
↓ よく見ると、脱衣所の天井にはリリーフが。
ちなみに、洞窟風呂は、男女入れ替え制になっていた。時間帯によって、男女が入れ替わる。
ということは、もう1種類の風呂もあるということ。
もう1種類の風呂は、展望風呂。私の案内された部屋から見える景色とさほど変わらない展望が楽しめた。
この百楽荘には、この洞窟風呂以外にもお楽しみがあった。
それは宿から直で行ける(それこそサンダルや浴衣姿で行ける)桟橋から出る遊覧船である。
遊覧船乗り場の近くには、釣り場もあり、連泊するお客さんは、ゆったり釣りを楽しめるというわけだ。
遊覧船は、一日に2便だった。
この宿に着いた日は、あいにくの雨だったので、夕方の遊覧船は欠航。
なので、翌日の朝の便に私は望みをかけた。
で、翌日、なんとか天気がもち、桟橋で待っていると、無事に遊覧船がやってくるのが見えた。
そして、乗りこんで、出港。
船からは、昨日歩いた「海の遊歩道」が見えた。
それにしても・・あれほどの遊歩道、よく作ったものだ・・。
九十九湾の景観を楽しみながら乗る遊覧船は、この宿に泊った特権かもしれない。
中には、宿の浴衣姿のまま船に乗り込んできている客もいた。
この船に乗っていると、変化に飛んだ九十九湾の景観を楽しめる。
やがて船が桟橋に戻ってくると、桟橋の上の方に百楽荘の建物が見えていた。
あの宿に昨夜泊まったのだ。
よく見ると、桟橋付近で、宿の浴衣姿で立っている人がいる。きっと、連泊の客なのであろう。
こうして、今回の私の旅の二日目は、この遊覧船から始まった。
遊覧船に乗る前に一足早く私は宿に清算はすましておいたので、遊覧船を降りた後は、宿に呼んであった観光タクシーにて、奥能登半島巡りに出かけた。
奥能登半島は昨日歩いた「九十九湾探勝歩道」ですでに奥能登の自然景観を私に見せてくれていたが、この後の奥能登は更に様々な風景で私を出迎えてくれることになった。
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