以前、バラエティ番組で、ある芸人さんが言っていたことに、笑いながらも妙に納得してしまった。
その芸人さんは
「夢なんかかなわない。夢なんか、持つな。夢がかなうなんて嘘だ。夢がかなうなんて言っている奴は、ほんの一部だ。騙されるな。皆、夢がかなわず、やりたくもないことを我慢してやっていくのが人生だ。」
という主旨のことを言っていた。
まあ、「夢なんかかなわない。夢なんか持つな」
というのは極論ではあるにしろ、言いたいことは全体的には妙に共感してしまった(笑)。
こうして文章で書くと身もフタもない(笑)響きには聞こえるが、単に「夢はかなう」と連呼するだけの人よりも、よほど実感を感じてしまった。
そう、「やりたくもないことをやらなければいけない」というのは、けっこう真実だったりする。
やりたいことだけをやって、大金を稼ぎ、不自由もプレッシャーもない環境で、愛に囲まれ、何も悩みもなく満ち足りた生活を送れている人なんて、どれぐれいいるだろう。
スーパースターであっても、権力者であっても、金持ちであっても。
スーパースターは自分の人気を保つために相当なプレッシャーがあるだろう。
権力者には、アンチもつきまとうだろう。
金持ちには、誰かからのねたみもあるだろう。
天才と呼ばれる人には、自身の才能の枯渇への恐れもあるだろう。
失ったものが何もなく、何もかも得られた・・・という人は、いないのではないか。
例えば、ビートルズのメンバーだって、失ったものはあるはず。
それでも、やりたいことをやれてるなら、幸せではあるだろう。
今の自分を客観視し、少しでも「できてること」「かなっていること」を見つけることができて、そこに幸せ感を感じることができたら、様々な負の感情を平穏にすることもできるのだろう。
それ以外の大きなことが、たとえかなっていなかったとしても。
ただ・・・ハデに成功した人が「夢はかなう」と言っているのは目立つことは目立つので、ついそういう人と自身を比較してしまいがち。そんな時に、現状に物足りなさや失望を感じたりするのだろう。
で、失望が大きくなりすぎていくと、悲劇的な結末に向かってしまう人もいる。
ハデな世界で大成功した人が言う「夢はかなう」という言葉は、それを自分におきかえて聞くと、耳触りがいい。
少なくても、はぶりの悪い人から絶望的なセリフをはいたり、ぐちっていたりするのを聞かされるよりは、はるかに。下手したらそういうのを何度も聞かされたら、こちらまで滅入ってしまったりする。
ハデに成功した人が「夢はかなう」と言っているのは、その人の芸風だと思って聞き流して真に受けず、一方で、状況の悪い人の絶望的なセリフやグチも聞き流し、今の自分の状況の中から「ささやかながら、かなっているもの」を見つけるようにして、心の平衡を保っていけたらいいかなと思う。
やりたいことだけをやって何不自由なく一生を生きていけたら最高だろうけど、大半の人は、やりたくもないこともやっているんだろうと思う。
やりたくもないことをやるのが人生だ・・・そう思えば、少しは気が楽になる(笑)。