ファミコンという家庭用ゲーム機を買った当時、私はRPG(ロール・プレイング・ゲーム)というジャンルのゲームの存在は知らなかった。
私が初めて買ったゲームソフトは「ファミリースタジアム(野球ゲーム)」「スターフォース(シューティングゲーム)」だった。
この両者は、イメージ通りの、いかにもテレビゲームという感じのゲームだった。
しばらくはこの2本だけで遊んでいたのだが、その当時はファミコンにそんなに熱中しなかった。
ファミスタは一試合やれば区切りがつくし、スターフォースは何機か持ちコマがやられてしまえばゲームオーバー。
だからそんなに長時間ゲームをやることはなかった。
やがて、この2本だけじゃ飽きて来て。他のゲームソフトを買うようになった。
「鉄腕アトム」のゲームソフトは横スクロールのアクションゲームだった。
で、これまた何回かミスるとゲームオーバー。
だから、このゲームでもそんなに長時間ファミコンをやることはなかった。
ところが、ある日。
あるキャラクターゲームを買ってからというもの、私のゲーム観は変わってしまった。
そのゲームとは「ゲゲゲの鬼太郎2」というゲームだった。
スーパーマリオみたいなアクションゲームかと思って買ったゲームだったのだが・・・・いざ始めてみると、どうもそれまでに私が知ってたゲームとは勝手が違う。
プレイヤーは主人公の鬼太郎を動かしてゲームを進めて行くのだが、どんどん進んでいくと、やがて敵キャラによってやられてしまいゲームオーバーになる。
ここまではそれまでのゲームと一緒なのだが・・・。
敵との戦い方が、それまでのアクションゲームとは違うのだ。反射神経がいらなくて、考えながら戦闘ができる。
また、ある場所に行くと変な呪文みたいなものが表記され、大事にメモしておくように・・とメッセージが出た。
メモするのが面倒くさいので、初めはその呪文・・・つまり「パスワード」を私は無視していた。
だが、モノは試し・・とばかりに、ある時そのパスワードをメモってみた。
で、ゲームオーバーになった時に、メモったパスワードを入力してみた。
すると・・。
なんと、前回やられた所から「続き」が出来るではないか。
進めたストーリーが無駄になっていない。
ビックリした。
私があまりそれまでゲームにハマらなかったのは、キャラがやられると初めからやり直しになったからだった。
せっかくそこまで行ったのに・・・と、それまでの苦労がアワになってしまうのが空しかった。
だが、この「鬼太郎2」は違った。
それまでの苦労が無駄になってないのだ。敵にやられても、その続きから再び始めることができた。
それが分かった瞬間、「自分はこういうゲームがやりたかったんだ!」と思った。
自分はアクションゲームやシューティングみたいなゲームは苦手なのだ。
だから、ゲーセンにあまりハマったことがない。ゲーセンにはRPGなんてなかったからね。シミュレーションゲームもなかったし。
「続き」が出来るということが分かってからは、モロにハマった。ハマりまくった。
初めからやり直し・・ということにならない点がよかった。
RPGというゲームジャンル名を知らなかった私は、こういうシステムの他のゲームもやりたいと思うようになり、探したもんだった。
でも、ジャンル名が分からないんじゃ、探しようがない。
そこで、会社に居たゲーム好きの後輩に聞いてみた。すると、「それはロールプレイングゲームというジャンルです。僕の持ってるロープレのゲームを貸しましょうか?」と言ってくれた。
もちろん貸してもらった。
で、その後輩が貸してくれたゲームこそ、あの高名な「ドラゴンクエスト」だった。
でドラクエの噂は知ってたのだが、それがどういうゲームだか知らなかったので、買わないでいたのだった。
で、ドラクエをやってみると・・・
「おお!これだよ、これだよ!」
めちゃくちゃ面白い。先が気になって、やめられない。強い武器を揃えて、マイキャラを更に強くしたい。謎解きに成功して、先が開けた時の嬉しさといったら、もう! また、戦闘を続けていくとマイキャラが段々強くなっていくのが実感できるのも楽しい。努力が報われる。時間がたつのを忘れた。物語はどんどん進んでいき、更に冒険心が煽られた。
それ以来、RPGは私が一番好きなゲームジャンルになった。
今思い出してみるに、「ドラクエ」に比べると、「鬼太郎2」はしんどいゲームだった。
ゲーム雑誌のレビューなどでもあまり評価は高くなかった。
「最初から苦労しっぱなしのゲーム展開」ってのが一般的な感想らしかった。
確かに、最初から苦労しっぱなしだし、ドラクエみたいな親切設計ではない。
とりあえず何をやっていいのかが分かりにくかったし、マップも分かりづらい。
サクサク進めるゲームでもなかった。
でも・・・RPGというゲームを私に教えてくれたのは、このゲームだった。
その後、たくさんのRPGソフトで遊んだが、「鬼太郎2」は私にとっては忘れられないゲームなのだ。
例え、評価が高くなくても。
最近ではアクションゲームなんかでも、「続き」ができるゲームがあるが、初期の頃のような持ちコマが何度かやられてしまうと、全て初めからやり直し・・そんなゲームだと、一部のゲーム名人しか最後まで進めなかった。
だが、どんな人でも根気よく遊んでいけばラストにたどり着けるというRPGは、私にとっては画期的なゲームに思えた。
まあ、RPGでも、駄作・・いわゆる「クソゲー」はある。
そういうゲームだと、いくらRPGでも、「根気」を持ち続けるのが難しいんだけどね(笑)。
これまでにRPGソフトは数多く発売されてきた。
で、色んなチャレンジもなされてきた。進化もしてきた。
でも、本当に面白いシステムは、もうやりつくされた・・なんて声もある。
進化に行き詰まったら、原点を見つめ直してみるのもいいだろうと思う。
初期の頃のRPGが、なぜあんなに人気爆発したのか、何が良かったのか、何が受けたのか・・・を素直に考えてみれば、なにかの打開策に・・繋がらないかなあ?
その1つは・・例えば、ユーザーが自由に空想できる余地や、自由に遊べる要素をなるべく残しておいてあげることではないだろうか。
そうすれば、ユーザーは自分で工夫して、自分なりの遊び方がしやすくなる部分が増える。
で、そういう「自分なりに工夫した遊び方」って、往々にして、誰かに自慢したくもなる。
すると、口コミにもなっていく。コミュニティなども賑わう。
今の「進化した」ゲームは、ユーザーにストーリーを「与え過ぎ」のような気がしているし、遊び方を指定しすぎているような気がするんだ。
それとも、これって、・・・私のたわごと??
そういや、初代ファミコンのサポート期間が終わり、ファミコンは完全引退ってことになるらしい。
この先、どんなにゲームが進化していっても、初代ファミコンのソフトが持ってた「面白いゲームの基本的な良さ」というものを忘れないでいてもらいたいと思ったりする。
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