どうも尾崎紀世彦さんのボーカルというのは、一度ハマると、しばらく彼のボーカル以外は聴きたくなくなるような魔力を私は感じている。
歌が上手い人はたくさんいる。でも、彼のボーカルの後に他の歌手のボーカルを聴いてしまうと、どうも物足りなく感じてしまうことがあるのだ。
これって何なんだろう。
彼のボーカルは、聴いててまず心地よい。
でも、心地よい歌声の歌手は、他にいくらでもいる。
彼のボーカルは、歌詞がよく伝わってくる。
でも、歌詞がよく伝わってくる歌手は他に多数いる。
彼のボーカルは声量が圧倒的で、よく通る。
でも、声量が凄い歌手は他にもしっかりいる。
彼のボーカルは声質がいい。
でも、声質がいい歌手は彼だけではない。
彼のボーカルは、聴いてて一発でわかる。
でも、個性のある歌手は、他にもいる。
その他もろもろ・・。
でも、彼の歌の後に他の歌手の曲を聴くと、物足りないことがある。
少なくても私にとってはそうだ。
これってホント、なぜなんだろう。
不思議。
そのへんを「なぜ」と考えてみたことがある。
彼の歌声は、声量があるだけでなく、太い。そして暖かい。
特に凄いのは、高音域になっても、声が細くならないこと。
通常、いくら高音域が出ても、高音域になると、声が細くなる人は多い。
でも、彼は違うのだ。
低音域と変わらないぐらい、高音域になっても声が太く、なおかつ暖かいのだ。
こんな人は中々いない。
歌手の歌声には、癒されることも多い。
尾崎さんの歌声にも、聴いてて癒される。
だが、尾崎さんの歌声は、聴いてて癒されながらも、力強さがある。
歌手の歌声による癒しの要素というのは、リスナーに慰めみたいなものを与えてくれる。
尾崎さんの歌声にもそれはあるが、彼の場合、それだけに終わっていない気がする。
癒しの「更にその先」があるように思える。
その先にあるのは何だろう。考えてみた。
癒されてしみじみする時というのは、リスナーとしては心が疲れている状態の時がある。
そんな時に尾崎さんの歌声を聴くと、癒されながらも、その先に希望や光があるように感じてしまうのだ。
そう、心地よさや癒しの更に奥に、希望がある。
それはあの力強さゆえなのかもしれない。
あと、ビブラート。
私は実はビブラートはさほど好きな方ではない。
もちろん素晴らしいビブラートの歌手もいるが、たまに、ビブラートがしつこくてイヤミみたいに感じてしまうこともある。それは以前、アマチュアバンドのコンテストを見た時に、リードボーカリストのビブラートがあまりにしつこいバンドがあったのだが、その時に強く感じたことだった。この場合、多分そのボーカリストにとってはナチュラルビブラートであり、癖のように際限なくビブラートがかかった状態で歌っていたのだと思った。
尾崎さんのボーカルにもビブラートはある。でも、彼のビブラートは全然イヤミではなく、しつこくもなく抑えもきいており、ひたすら心地よい。ビブラートというテクニックの良さを改めて教えてくれる歌唱だ。
ビブラートをかける部分と、かけない部分もよくコントロールされており、ビブラートをかけるパートは、ちゃんと計算されていると思った。
少なくても、際限なくかかるナチュラルビブラートではない。
だからこそ、余計にビブラートの魅力を感じてしまう。
そんな尾崎紀世彦さんのボーカルは、昔あった某音楽番組で、尾崎さんが当時人気があったJ-ポップの曲をカバーした時、その歌唱のけた外れの力量に、尾崎さんのことをよく知らなかったり、「単なる懐メロ歌手」みたいに捉えていたかもしれない当時の若者の度肝を抜いたことがあった。
その動画に寄せられた若者のコメントが凄い。絶賛の嵐。
しかもそのコメントは今の若者からも寄せられて続けているから驚き。
ある若者が尾崎さんの歌声を「(うまい歌手はたくさんいるが)尾崎さんはラスボスだ」と表現したのは、言い得て妙で、ファンとしては嬉しくもあり、その表現に「うまい!」という思いで強く共感してしまった。
ユーチューブで、「尾崎さんのボーカル以外聴きたくない気分」で尾崎さんのボーカルが流れる動画をあれこれ探していたら、またお気に入りの曲を見つけてしまった。
「象牙のナイフ」という曲だ。
この曲は私は知らなかった。
それもそのはず、この曲はあるシングルのB面だったそうな。
そのシングルのA面曲は「哀しみの追跡」という曲なのだが、このシングル、私の中では明らかにB面の「象牙のナイフ」のほうが好き。
なにより、かっこいい。
かつてシングルレコードにはA面とB面があり、A面がヒット狙いの本命曲で、B面はある意味サービス曲的な意味合いのことも多かった。
なので、どうしてもA面曲のクオリティには、B面曲はかなわないことは多かった。
だが、たまにB面の曲がA面と同等に素晴らしいこともあった。
以前私がこのブログで取り上げたことがある、尾崎さんのシングル「さよならをもう一度」のシングルなど、そのB面の「夕焼けの誓い」の素晴らしさはA面にひけをとらなかった。
かと思えば、むしろA面曲よりもB面曲のほうが好きになったこともあった。
例えば吉田拓郎さんのシングル「シンシア」では、A面も私は好きだったが、それ以上にB面の「竜飛崎」のほうが好きになったことがあった。
今回ここで取りあげている「象牙のナイフ」に至っては、私の中ではA面の「哀しみの追跡」を遥かに凌駕してるように思える。
A面曲はちょっと尾崎さんらしからぬ曲調になっているが、多分・・スタッフ側の狙いとしてはA面で尾崎さんの新生面を引き出そうとして作られた曲だったのかもしれない。
譜割などが特に。
だから、「哀しみの追跡」がA面に収められ、B面にはいかにも尾崎さんらしい曲調の曲でまとめられたのかもしれない・・なんて思ったりもしている私。
でも・・やはりこれはB面の「象牙のナイフ」のほうが曲の出来としては勝ってると思うのは、私だけ?
尾崎さんの歌唱の魅力がよく出てるし。
かつて私は尾崎さんのことを「サムライとカウボーイを足して2で割ったような容姿の人」と書いたことがあったが、この曲では更にハードボイルドというか「アウトロー」的な要素も加わっており、曲の疾走感もあって、ひたすら心地よく、かっこいい。。
メロディは全体的に昭和感を感じる曲になっているが、1音符1音符に言葉がひとつづつ乗っており、しかもよく伸び、覚えやすい曲でもある。歌詞もはっきり歌ってるので、歌詞もよく伝わってくる。
まあ、昭和50年の曲だったらしいので、昭和感があるのは当たり前だね(笑)。
でも、好きなものは好き。
メロディの出だしは、やや西部劇を思い起こさせるような出だしメロディーに私は感じた。私は西部劇は好きだったので、この出だしの数小節だけで引き込まれてしまった。
ともかく、1音1音を高い音域で伸ばす時の尾崎さんの歌唱は絶品としか言えない。
声量があるだけではなく、全音域に渡って太く心地よく、さらにその先に希望を感じさせてくれる歌声は、ここでも健在。
ともかく、アウトローっぽさと、疾走感のあるアレンジと曲調が気持ちいい。。
この曲・・・当時ヒットしてほしかったなあ・・。
個人的にはA面を押さえて、B面のこの曲にヒットしてほしかった。
なんか、そのへん・・・今更のように、悔しさすら感じる。
まさに、本物の歌手、ここにあり!
お金を払うのが心地よい歌手なんて、そうそういるもんではない。
「象牙のナイフ」初めて聴きました。
作詞阿久悠、作曲井上忠夫さん、なのですね。
井上さんのサウンドらしく、どこかお洒落
とても素敵な曲ですね~(^^♪
尾崎紀世彦さんの風貌にもあってますね。
A面の「哀しみの追跡」も知らない曲でした。
でもかなり好きな曲です。
アウトローっぽいイメージがあります。
尾崎さんの新たな魅力を引き出してたと思います。
A面の「哀しみの追跡」も聴いてみましたが、あまり良いとは思えませんでした。B面の「象牙のナイフ」の方が圧倒的に勝ってると思います。
A面とB面を逆にしたほうが良かったのに・・なんて思ってしまいます。
『洋楽倶楽部 ボブ・ディラン シャドウ・キングダム』
NHK BSプレミアム4K 2024年3月21日(木)午前0:00 ~ 午前0:50 (50分)
どうぞよかったら。
ありがとうございます。
チェックしてみますね。
問題は寝落ちするかとうかです・・(笑)。
寝落ちしたくないなあ。