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平凡な日常生活にまつわる拘り情報、写真、並びに体験談等を交えて皆さんとの交流を深めて参りたいと思います。

家内の不自然な仕草に「何故?」

2009-11-10 13:36:34 | Weblog
ごく最近になって今までに見られなかった不自然な家内の仕草に色んな疑問を持ち始めた。

以前はテレビに全く関心を抱いていなかった彼女の毎日は今では一日中ソファーの上でテレビを見ながら過ごしている。 とは言っても決して毎回楽しんで見ているのではない。殆どは寝ている事が多い。 番組の選択には一切文句は言わないで放映されている番組を見ている。 時折笑っている事も有るがドラマやニュース等の内容の殆どは興味を持って見ていないので充分な理解はしていない。 

食事は何時も同じソファーに座った侭で、直ぐ傍まで車の付いた円形のガラスのテーブルを寄せて食べさせている。そんな或る日、食べ残したおかずのお皿の上に漬物を箸で抓んで並べ始めたが一向に食べる様子は無い。 其の内に今度は其の漬物を飲み掛けのお茶のカップの中に入れ始めたので直ちに止めさせて取り除いた。 其処で「何故そんな事をしているのか?」と訊くと唯「I don’t know!」と言う返事だけが返って来た。 又、或る時はスナックのお菓子を食べさせていたが、其の内にお菓子の入れ物から取り出してテーブルの上に重ねる様にして然も綺麗に並べ始めていた。 

そして先週、未だ若かった頃活け花に興味を持ち教授の資格まで取った彼女は花が大好きで、元気だった頃は我が家には花は欠かさなかった彼女に、庭から摘み取って来た3本の薔薇を小さい花瓶に入れてガラスのテーブルの上に持って来て遣った。 彼女は大変喜んで微笑みながら匂いをかんでいたが、暫くすると知らない内に何と,其の薔薇の花びらが総て無残にもぎ取られてテーブルの上に山盛りに積み上げていたのを見てびっくり仰天、と同時に凄く悲しさが込上げて来た。彼女がその様な仕草をしたのは始めての事だった。 言い様の無い憤りと怖さを感じた。私はその時咄嗟に声が出なかった。 彼女の表情は穏やかだった。 私はやっと唯一言「如何して?」と彼女の顔を覗き込む様に見ながら訊ねたら、泣きそうな顔をして唯「I don’t know」の震えた一言を口にして私の顔を見た。 私もそんな彼女が余りにも哀れで泣きそうになり、思わず肩を抱きすくめてやった。 

未だ新鮮な薔薇の花びらはテーブルの上に積み上げた侭で、傍には茎と葉っぱだけが花瓶にささった侭の状態を暫く眺めていた。  テーブルの上に山積みにされていた花びらを見て何か不吉な恐ろしさを覚えたと同時にとても悲しくさえ思ったのだ。 その様な仕草をしでかした家内の異様な不自然な態度が可哀想に思えた。 花が大好きな彼女が何故むしり取る様な行為をしたのか、気でも狂ったのかと思った。

同じ家に居ながら私が彼女の傍を離れてパソコンに取り付くと、彼女は何時ものように私の名を連呼し始めるのだ。 最初は呼ばれる度に返事をしていたが、彼女の応対は無く更に連呼を続けるので、私も彼女の呼びかけには無視する様になった。 其の内ノイローゼ気味になって来る自分を感じる様になった。 彼女に「何故呼び捨てにするのか?」と問いただすと、「何でもないよ」と言うさりげない返事だけ戻って来る。

猶、彼女は未だに失禁状態が続いて居り歩行も困難な上に動作が鈍くなっているので排便の抑制に間に合わないのだ。 彼女は4年半前にアルツハイマー症状と認定されたが、昨年の夏、検診を重ねた結果、正常圧水頭症と言う始めて聞く病名に変更された。 シャントと呼ばれる脳手術が行われた後も定期的に脳脊髄液の調整が施されて来たが、今日に至っても期待された回復の兆しが見られない事からシャント手術の機能が適切に作動されていないのではないかと疑われており再手術が近じか検討されている。

彼女の意識が継続している限り私は何時までも希望を捨てないで前向きに頑張って行くしかないと覚悟をしている。 幾ら頑張っても運命には逆らえない。 今出来る事は何でも躊躇しないで遣り遂げる事を考えている。