初めにぷーつとふきだした者は、すぐぬかされて
また「だるまさん」が始まります。
そして一番おしまひまで残つた者が勝ちなのです。
子供たちはそれを何度もくり返しました。
いく度目かにまたみんなで、「だるまさん、だるまさん」を
やりだした時です。ふいに、頭の上で、空の真ん中で、
わはゝゝゝゝゝと大きな笑ひ声がしました。
おや・・・・・と思って、息をつめたままで、上を見上げますと、
森の上からぬーつと大きな顔がのぞき出して、
それが空いっぱいの大きさになって、
家のやうな大きな眼と鼻と口とで、
わはゝゝゝゝゝと笑つてゐます。
とすぐに、その顔も笑い声も消えてしまつて、
日の光のきらきらとしてる青い空ばかりになつてしまひました。
「何だろう。」
*****
「天狗笑」という物語だけど知ってた?
今、読んでいる「本という不思議」の中に
「わたしにとって忘れられないのは、豊島与志雄の書いた真昼の
世界の話です。それは『天狗笑』という短い物語ですが、
それをわたしは子どものときに読みました。
繰りかえし繰りかえし読んで、すこしも飽きなかった物語です。」
という文章の続きにこの物語が書いてあったんだよね。
物語を読んで、子どものころに読んだ本に天狗が笑っている
挿絵と一緒に、この物語が載っていたことをすぐに思い出して、
とても懐かしく感じたよ。 こんなところで、子どものときに
読んだ物語に再会できるとは思っていなかったもんね。
ホントに本は不思議だよね。
図書館に返してしまったら、二度と『天狗笑』と再会できないかも
知れないので、インターネットで注文したらすぐに届いたよ。
絶版になっているので中古本しか買えないけどね。
素敵な本に巡り合えると幸せな気分になれるよね。
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