国鉄があった時代blog版 鉄道ジャーナリスト加藤好啓

 国鉄当時を知る方に是非思い出話など教えていただければと思っています。
 国会審議議事録を掲載中です。

衆議員運輸委員会-2号 昭和55年10月15日 第3夜

2015-01-30 23:28:21 | 国鉄関連_国会審議
みなさまこんばんは、少し間が開いてしまいましたが、本日も昭和55年国会審議の内容からアップさせていただきたいと思います。
途中の一部は省略させていただきましたが、中馬弘毅氏【元衆議院議員】による質問になります。

> 効率的な投資ということをおっしゃったわけで、これは非常に私たち評価をするわけでございますけれども、その効率的なというところに大事な意味があると思うんですね。効率的といった場合に、いままでは往々にすると供給者の論理といいますか、供給者側の立場での効率的ということがどうも優先しておった。やはり必要なことは、需要者側の論理、ユーザーの立場ということでの効率的でなければならないと思うのですね。これを無視しますと、往々にしてユーザーから大きなしっぺ返しを食らうわけでございまして、これは国鉄がいい例であるわけです。

ここで言おうとしていることは、国鉄が旅客の需要というものを無視して運営者側の論理を優先しているのではないかといった点を指摘しているものであり、実は整備新幹線に関する問題点をこの時点で指摘しているのです。
利便性の高さという点では、新幹線は優れていますが、費用の安さ、利用のし易さという点では自動車に軍配が上がるであろうことは自明の理であり、この時点【35年前の時点】で整備新幹線自体の整備の必要性がほんとうにあるのかという疑問点を提示しています。

> そのような観点から、今後の一つの日本の交通体系といったものを考えたときに、整備新幹線という話も出ておりますけれども、こういうものが果たして現在の時点で要るのか要らないのか、全くむだな投資になる可能性が出てまいっております。それよりも、新幹線というのは大量、高速に意味があるわけで、むしろ少量、高速度ということだけを考えるならば、これは飛行機の方がいいわけですから、地方の、北海道から九州の端まで、ローカル空港をもっと整備拡充することの方が場合によっては大事かもしれないわけです。

本来、鉄道ファンというのは往々にして鉄道大事で考えてしまいますが、こうした視点からも考える必要があるのではないでしょうか。

> いまの国鉄のローカル線がそれに適当かどうかは別といたしまして、新種交通を考えてのことをやっていった方がいいんじゃないか。
>  そのようなことを大臣の方は、今後のかなり長期のレンジで見たときの効率的な投資といった点で考えますと、大臣はどのような御所見をお持ちなのか、ひとつ御見解を承りたいと思います。

ローカル空港を整備するだけでなく、ローカル空港にこそ、鉄道線路を直結させて高速フィーダー輸送を行うことがトータルの所要時間を短縮することとなり、ローカル空港が生きてくるのではないでしょうか。

○小此木委員長 中馬弘毅君。

○中馬委員 きのう新任の大臣が、所信といいますか、あいさつをされたわけですが、その中で、限られた財源での効率的な投資ということをおっしゃったわけで、これは非常に私たち評価をするわけでございますけれども、その効率的なというところに大事な意味があると思うんですね。効率的といった場合に、いままでは往々にすると供給者の論理といいますか、供給者側の立場での効率的ということがどうも優先しておった。やはり必要なことは、需要者側の論理、ユーザーの立場ということでの効率的でなければならないと思うのですね。これを無視しますと、往々にしてユーザーから大きなしっぺ返しを食らうわけでございまして、これは国鉄がいい例であるわけです。
 交通機関をずっと整備していくということは、それだけユーザーに対してのいろいろな選択の幅を広げていくことになるわけで、その選択の幅の中でユーザーはそれぞれ選択するわけです。たとえば、その選択の幅が一番多い一つの例をとりますと、東京と大阪なんですね。その東京と大阪の場合に、これは乗客の場合ですけれども、かなりいろいろな交通機関がございます。飛行機があります。それから新幹線がある。在来線がある。それから乗用車がありますし、それからチャーターバスもありますね。それから国鉄のハイウエーバスもございます。
 これをユーザーの立場から、まず費用負担という点で見てみますと、飛行機は現在一万四千百円ですか、それから新幹線が九千九百円、しかしグリーンだと一万三千九百円。それから在来線が、これは特急料金も入れますと八千百円になるわけですね。それからハイウェーバスで七千四百五十円と、こういうことでございます。しかし、チャーターバス、たとえば三十人ぐらいの団体あるいは五十人ぐらいの団体でバス旅行しようとした場合に、チャーターバスだと一日大体十五万円です。高くて十五万円ですね、これはちゃんと添乗員も乗せて。これを五十人で割りますと三千円ぐらいになるわけです。それから乗用車、最近の方はみんなマイカーをお持ちでございます。マイカーを持っておるわけですから、その減価計算の費用は考えなくていいわけで、追加費用ということでガソリン代だけあればいいわけですね、その人の負担ということで考えるならば。そうすると、ガソリン代は大体一万円か一万二千円あったら東京-大阪間は行けるわけです。これも二人も乗れば、あるいは三人乗ればずっと安くなってしまうわけです。そうすると、費用という点だけで考えるならば、これは少しの団体であればチャーターバスをお使いになるでしょうし、あるいは場合によっては、乗用車を持っておれば乗用車で行くということになるわけですね。
 今度スピードの点で言いますと、これはやはり飛行機が一番早うございます。それから新幹線がその次、それからバス、乗用車、こういったことになってくるわけですけれども、今度もう少し別の観点から、では、いつでも乗れるかといったような利便性の点で考えますと、乗用車の場合だったら、いつでも、どこからでも乗れるわけですね。それから、団体のバス旅行の場合でも、ちゃんとやれば、集合場所に来てくれて、目的地まで連れていってくれる。非常に便利ですね。新幹線は非常に数が多いですけれども、飛行機の場合だと、いまは少し大型化して便数は減っております。ですから、たとえば二時間ぐらい待たなければならないだとか、あるいは夜は飛ばないといったようなこともあります。それから、在来線はもうほとんど走っておりませんから、これは利便性が悪いということになってまいりますね。
 このようなことをずっと並べて考えてまいりますと、費用の点から考えたら確かにバスや乗用車の方に移るのは当然でございますし、あるいはスピードという点からするならば飛行機の方に移ってくる。しかも、今後のことで考えますならば、関西新空港ができ、あるいは成田、羽田が整備されて、もう少し便数でも多くなれば、ますます飛行機の方に移っていくという形になってまいります。そうすると、新幹線というものも、これはやがては閑古鳥が鳴くようなことにならないとも限らないんですね。しかも、運賃が、先ほどの話じゃないけれどもどんどん上がっていくわけですから。そうすると、新幹線すら閑古鳥が鳴くようなことになってこようかと思います。
 そのような観点から、今後の一つの日本の交通体系といったものを考えたときに、整備新幹線という話も出ておりますけれども、こういうものが果たして現在の時点で要るのか要らないのか、全くむだな投資になる可能性が出てまいっております。それよりも、新幹線というのは大量、高速に意味があるわけで、むしろ少量、高速度ということだけを考えるならば、これは飛行機の方がいいわけですから、地方の、北海道から九州の端まで、ローカル空港をもっと整備拡充することの方が場合によっては大事かもしらぬわけですね。そして、近距離の大量輸送といった場合には、いまの国鉄のローカル線がそれに適当かどうかは別といたしまして、新種交通を考えてのことをやっていった方がいいんじゃないか。
 そのようなことを大臣の方は、今後のかなり長期のレンジで見たときの効率的な投資といった点で考えますと、大臣はどのような御所見をお持ちなのか、ひとつ御見解を承りたいと思います。

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