モズの眼

動かなくなった「心とからだ」の復活の記録

新緑自転車行 二山を歌ってみましたよ

2013-05-13 | 自然その他

自転車でひたすら山登りしていると、頭が空になりそうに思いますが、時としてとりとめのない妄想が次々に浮かんでくることがあります。

小説風の一場面だったり、俳句や短歌の切れ端だったり。

今回の赤城、榛名をめぐる自転車小旅行は一人旅なので、つれづれに思い浮かんだ拙い短歌を記してみました。

 

 

快晴の早朝に出発しました。少し汗ばんだ頃、新緑を揺らしながら吹き下ろしてきました。

少しでも風圧を避けたい自転車乗り

 

      葉を反す風に我が身をこごめたり  ヒルクライムの汗の涼しさ

 

今シーズン初めて半袖、半ズボンで自転車をこぎました。至福の時です。

 

      衣替え涼しき膝で漕ぎ登る 赤城の山の青空に浮く

 

赤城道路は昔ホテル街として有名でした。今では廃墟と化したラブホテルがたくさんあります。

朝日にはふさわしくない風景ですが、そのミスマッチが嫌いではありません。

寺山修司風に

 

      情念を孕んだごとき廃ホテル 五月の朝の陽に佇めり

 

長い直線が終わり道は次第に九十九折。しかしなかなか楽にしてくれません。それでも頑張れば何時か終着点へ。

売店のボードには、ヒルクライムのタイムを記した色とりどりのポストイットが風にそよいでいます。

今日の私はタイムとは無縁です。のんびりと、青い空を仰ぎながらおいしいソフトクリームを頬張りました。

 

     頂上でソフトクリーム食べにけり 夏の顔して赤城の山は

 

さて、次は榛名へと踵を返したのですが、渋川まで風が強く疲労してしまいました。

少し早い昼食を摂ろうと、お気に入りの「伊勢屋」へ。でも待っている人がいます。裏道を流して「ニコニコ亭」へ。やはり満員。

結局「けむりや」で蕎麦となりました。ここも混んでいて時間がかかりました。

休息もとれたところで伊香保温泉への登りへ取りつきました。普段だとそれほどでもない傾斜も、もう足が残っていません。

 

     我を乗せて登れ自転車亀のごと 届くは天か水底の宮

 

太陽も高くなり、夏日となりました。ああ、夏が来た。

しかし、太陽は徐々に体力を奪ってゆきます。一杯一杯の気持ちを俵万智風に

 

     翼さえつくなら飲むよレッドブル そう簡単では無いと思うが

 

伊香保温泉を過ぎるとワインディングロードとなり、傾斜も弱く登りやすくなります。

ところが、いつもより2~3枚軽いギアを使わないと登ってゆけません。

 

     軽いギアを使い果たして未だ着かず 榛名の山の雲の彼方に

 

途中休み休み息を整えて登ります。

苦しいのは好きではありませんが、どうも登るという行為の単純さは好きなようです。

やっと榛名道路の最高点、ヤセオネ峠につきました。

 

     頂上のマザーツリーに抱かれし 小さな満足我と自転車

 

自転車の到達点と山の頂上は別なのですが、我が足と自転車というとても人間的な道具で成し遂げた満足感は登山と比べても決して小さくありません。

ヤセオネ峠では樅の大木の下の草原で休みました。

その時、何故か「ここに居るべき自分」という感を受け、そう、この木に会うために今日があったのかもしれません。

 

 

コメント (4)
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