お盆休みは昼寝と読書。
古処誠二さんの『生き残り』を読んだ。
古処さんは、航空自衛隊には在籍していたものの、戦争を体験していない。
調査をもとに戦争を描いている。
地味な作家だな、とずっと思ってきた。けれど忘れられない作家。
近作には、ミステリー要素を取り入れ、支持層が拡大しているようだ。
『生き残り』も同様。
北ビルマ戦線において、傷病に罹患した「兵隊」に降りかかる想像を絶する苦難。
その中で人間の存在にかかる「事件」が起きる。
構成と謎解きは読んでいただきたいのだが、読後感は軽くはない。
読後、久々に開高健の『輝ける闇』が読みたくなった。
『輝ける闇』は、開高健が実際にベトナム戦争に記者として従軍した体験をベースにしていると言われている。
自身の所属した部隊がほぼ全滅し、開高健はかろうじて生き残ったのだ。
両書とも陰惨な戦争を扱っている。
戦場において、人間の根源に触れようとしているのだが、『輝ける闇』の印象は、『生き残り』よりも遥かに明るい。
開高健の、華麗な文体がそのようにさせるのか。
『輝ける闇』は、折に触れて幾度も読み返している。
また読み返そうと書棚を探った。
ところが、いくら探しても見つからない。新たに購入するか。
その途端に見つかるのだろうな、きっと・・・・。
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