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「メアリと巨人」 ディック初期の「普通小説」

2010-11-03 20:00:32 | フィリップ・K・ディック
「普通小説」「主流小説」とは何なのか


「メアリと巨人」“Mary and the Giant” 1987年作品
菊池誠訳 筑摩書房 1992年発行

ディックは生涯で十数編の長編「普通小説」を書いたが、残っている原稿は9編で
生前発行されたのは「戦争が終わり、世界の終わりが始まった」だけ
(ただし「テヒモシー・アーチャーの転生」は「普通小説」とされていないよう)
その中で、猛烈な勢いで短編を執筆していた1954年頃に書かれたのがこの小説らしい

「普通小説」「主流小説」という分類に意味があるのだろうか
村上春樹などほとんどSF作家ではないのか(羊シリーズも世界の終り・・1Q84も)
安部公房だって世界SF全集に収められている
ディックがこだわりを持ったのは原稿料や出版社のせい?
生前に出版されなかったということだけではなく
ディックの本領は錯綜する世界や意識によって
現実を幾つもの視点で我々に見せ
人間を丸裸にし、再構成する手法にこそ真骨頂がある
とにかく「普通小説」「主流小説」という呼称に意味はないだろうと思う

  「普通の小説」

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