アリ@チャピ堂 お気楽本のブログ

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ディック、油ののったSF長編

2010-09-29 21:12:00 | フィリップ・K・ディック
「アルファ系衛星の氏族たち」 “油”がのるのか、“脂”がのるのか?


「アルファ系衛星の氏族たち」“Clans of the Alphane Moon” 1964年作品
友枝康子訳 サンリオSF文庫 1986年初版

また、サンリオ版のカバー裏作品紹介を使わせていただく
理由は二つ
編集者(なのかサンリオのキティちゃん営業から配置変えできた誰かなのか?)の苦労がしのばれる惹句であること
そして、のるのは“油”か“脂”どちらなのか・・

「『火星のタイムスリップ』『最後から二番めの真実』『シミュラクラ』などと
同年に発表された、油ののったSF長編。」(ママ)

創元SF文庫のカバー裏は
「・・著者が精神疾患への関心をもとに取りくんだ名編。」と書いている

「すごい傑作ではない」けれど買って読んでねと誘っているのだ

しかし、この作品の設定はディックならではだろう
「夫婦の破局をむかえたマリッジ・カウンセラー」というアイロニー
そして、最近訳された「未来医師」にも登場するが「氏族」(部族)という人集まりを社会の単位としている
インディアンも「油ののった」この時期の作品のそここに登場するが
西洋文明を象徴する「市民社会」
理性により互いに平等であることを強要され、存在意義が純化され
個別に動機づけできなくなってしまったために希薄になるアイデンティティ
そうしたものへのアンチテーゼとなるのだろうか


「アルファ系衛星の氏族たち」
友枝康子訳 創元SF文庫 1992年版

 油ののった名作である

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