5月28日土曜日。
朝日午前6時半に家を出て、自転車でJR穂積駅まで45分。案の定早く着き過ぎて一本早い電車に。
豊橋で浜松行に乗換、二駅先の新所原、そこで天竜浜名湖鉄道で気賀まで。
到着は10時10分。
駅舎で車で来た姉が待っていてくれた。
今日は母の祥月命日、墓参りでしか会わない姉妹だが、会えばほっとする。
姉に会いたいから行くのだと思う。が、いつまでもそれではお互いに負担になるかと、今回は二川宿のひとり散策を計画する。蔵カフェでひとりランチの予定なのだ。
新所原の駅までは順調だったが、豊橋行の電車を待つJRホームで突然後ろからの突風に襲われた。
あっという間の出来事。
帽子を飛ばされ、あれよという間もなく線路に落下。
何だか視界がボヤける。
メガネも飛ばされている!
視力は両目で0.1ないのだ。
これじゃ自転車で帰れない!と慌てる。
見えない目で駅員さんを探すが、田舎のホームには人影もない。
改札口に階段上って戻ったが、そこもカーテンが引かれて無人。
ああ、電車が来てしまった。
帽子とメガネの上を電車が…
もう二川宿どころじゃない、電車の乗務員さんに「線路に帽子とメガネを落としてしまったんです。駅員さんはどこにもいないんですけど、どうしたらいいですか」と、情けなく聞いた。
「インターホンで駅の人を呼んで下さい」と言われて、今は昼休の時間帯だと気づく。
1人勤務なのか昼食中は窓口も閉鎖するのだ。
改札口に戻り、インターホンで呼び出す。
やっと出てくれたが、声が小さくて聞こえない。どうやらそこで待て、と言われたようだ。
待つ時間は長い。やっと駅員さんが現れた。
「すぐには来れない時もありますから」
はい、すみません。
「破損していても責任は取れませんから」
はい、わかっています。
慣れない旅をするから、こういうことになる。
年寄りの冷水。
ホームに戻り、帽子を確認。
すると駅員さんは携帯電話を取り出し、「下りホームでお客さまの帽子が線路に落下したので、これから作業します」と確認。
刺股のような器具でヒョイと帽子を引き上げた。
が、一緒に落とされたはずのメガネがない。
そういうと駅員さんは線路の間に落ちているそれを発見、何なく引き上げてくれた。
メガネに殆ど損傷はなく、やれやれ。
線路の間に落ちたのが良かった。
こんな時、ひとりは本当に心細い。
駅員さんには本当に迷惑をかけてしまった。(つづく)