Linの気まぐれトーク

映画と小説の観賞日記

映画『ザリガニの鳴くところ』

2022-11-24 14:33:00 | 映画



じわじわと気になってきた作品でした。
劇場映画は月1本と決めているのに、今月はもう3本目。
観始めるとクセになってしまう、困ったものです。
そのうち飽きるでしようから、気の済むまで観ればいいと、自分を甘やかしてしまうのも、これでいいのやら。

じわじわ来たのは、やはり原作小説のヒットでしょうか。原作がしっかりしている映画は見応えあると勝手に思ってます。
そしてまず、外れることはありません。

映画は青年の変死体の発見から始まります。



容疑者として疑われるのは、〈湿地の女〉と呼ばれる主人公。



そこから彼女の人生が振り返って映像化されていきます。
父の横暴に愛想を尽かし、母も兄弟姉妹も出ていくのですが、幼い主人公は湿地の家に取り残されます。
父親がどうなったのか見逃しましたが、 湿地暮らしの読み書きも出来ないカイア、
やがて思春期となりお決まりのガール・ミーツ・ボーイで、優しい青年と知り合います。



予告の青年の変死体は彼かと思っていましたが、さにあらず。
第二の青年が現れるのですが、これが不実な男で。
変死体はこちらの方なのです。
若い白人男はみんな一緒に見えてしまう私は、後半、どっちがどっちやらわからなくなり苦労しました。

不思議なタイトルの意味も、映画を観ただけでは理解できず、これも検索に頼りました。
自然の声を自然の中で聴く、みたいな意味でしょうか。



カイアの湿地の家は、ちょっと憧れです。
ひたすら左手で自由に絵を描くカイアの姿に、牧野富太郎を重ねてしまいました。
はっきりと自分の生き方を持っている点で、彼女は並みの女ではないのです。
ところで、
沼と池はどこが違うのでしょう。
沼という何となく不気味なイメージは、美しい自然に完全に取って変わられています。
湿地といえば蚊の大群を思い浮かべてしまう私は、とにかく日本的なのでしょう。
欲を言えば、
晩年の2人の生活をもう少し観たかったな。

原作も図書館に予約中。
こちらも楽しみにしましょう。



近況

2022-11-23 13:11:00 | 日記
勤労感謝の日🎌
十数年前、娘の結婚式をこの日に。
ナイトウェディングでした。
その方が安上がりだったのか、
その時間しかなかったのか。
本人たちが勝手に決めたのでわかりません。
そんなふうに自由に(勝手に)長男も次男も結婚し、今は6人の孫の世話に大忙し。
今日はその結婚記念日であると同時に、初孫の誕生日でもあるのです。
娘は小さい(150㎝)ので、自然分娩できるギリギリのところでした。
本人は自然分娩を望みましたが、一晩苦しんでも生まれず、帝王切開に切り替えたのです。
2人目は最初から帝王切開を希望したら、予定日より3週間も早く手術することになり、それはそれで後々まで苦労したのですが。
(まだ過去形じゃありませんが)

この初孫、雨にも関わらずサッカー少年団の試合。下の子はうちでお留守番です。

長男宅にも同い年の女の子がいるので大の仲良し。
長男宅の孫3人も入り乱れ、お昼はちょっとした騒動でした。

裏の黄葉が雨に打たれています。
ささやかな紅葉狩りを、友人と約束していますが、果たして月末まて持つでしょうか。

裏庭の黄葉の落ち葉掃除は半端ないです。





一冬かけてゆっくりやりましょう。

初孫が修学旅行に行き、おみやげを買ってきてくれました。
今も旅先は京都奈良。
でもお小遣いは昔(60年前)の10倍、
プリントクッキー、美味しかったです。

原田ひ香さんの小説

2022-11-22 15:11:00 | 読書
『一橋桐子の犯罪日記』が面白く、原田ひ香さんの本を読んでみます。
世知辛く、近所の図書館の蔵書頼みですが。
ひ香さんは1980年生まれ。
私より28歳若い。
ということは42歳?
そんなことはどうでもいいけど、気になりませんか? 



まずはこれから。
第31回すばる文学賞受賞作、作家デビュー作でもあります。
会社で結婚相手を探しても、いい男はみんな既婚者、ならば既成事実(妊娠)を作って略奪すればいい、なんて。
そんな略奪婚を巡って、男の伯母とその娘、男の元妻を描く救いのない小説でした。

個人的に元妻・佐智子の部屋巡り?に興味。他人の家にピッキングで忍び込み、その飾らない暮らしぶりを眺める。ものは盗らない。眺めるだけ。
でも犯罪です、勝手に忍び込むから。

子供の頃、友だちの家に遊びに行くと、子どもだから油断するのか、散らかったままの室内をみることがありました。
あのドキドキ感、何だったのだろう。
佐智子は警察には捕まらなかったと思いますが、そういう日常の犯罪をさりげなく書いてしまうのが、原田ひ香。



『東京ロンダリング』
32歳で離婚し、着の身着のままで追い出されたりさ子は、すぐに住む家に困る。訳アリの女に物件はなく、ひょんなことからアパートのロンダリングをすることになるのです。
ロンダリングとは「洗濯」、事故物件を賃貸する時、直後の借主には事故の説明をする義務があります。
そこでロンダリングという仕事が生まれるわけ(らしい)です。
1ヶ月ほど彼女が住めば、次の借主に事故物件の説明は不要になるので。

この仕事も面白そうです。
というか堕ちなければ出来ない仕事。
寂しいとか、孤独とか、惨めとか、
そんな感情からも自由になったところに何があるのだろう。
人間、堕ちるところまで堕ちれば、見えてくるものがある?



こちらも不倫して離婚、職も家もなくして実家に戻れば、男にだらしない母、がめつい祖母、介護に明け暮れる隣人・美代子などがいる。
それだけでも絶望的な状況なのに、犯罪まで絡んでくるのです。
惹句は「堕ちていく女の果ての果て」

けれど、悪は感じません。
クライムノベルかも知れないけれど、
誉田哲也とか貫井徳郎とは全く違う。
貧しいから、法を犯してでも生き抜くしかない女たち。
一橋桐子がムショ活したのと基本的に変わらないのです。


こちらは読み終えたばかり。
バブル期に青春時代を過ごし、モテてモテていい思いしかしてこなかったミチルが40半ばになり〈おばさん〉を自覚する話。

バブル期は子育て期だった私に、その時代のいい思い出は殆どなく、へぇ、そんな時も日本にあったのだとしみじみ。

今は団塊の世代も高齢者、世の中にもう活気はなく。
それでも生きていかねばならない私たち。
はあ、そんな感想をため息と共に。

まだまだ本は続きます。
原田ひ香さん、読みやすいのをいいことに、夢中になってます。






配信『シャーロック・ホームズの冒険』

2022-11-19 10:27:00 | 映画
懐かしい。
このドラマ、NHKの日曜午後11時、海外ドラマ枠で放送されていたのはいつだったでしょう。(検索すれば)1984年から94年にかけてのようです。(日本放映は1年後)

NHKの海外ドラマは基本、吹替でした。
ホームズ役は露口茂さんじゃなかった?
が、今回のGYAO!配信は字幕。
ジェレミー・ブレットの生声を聴けるのは嬉しいけど、ワトスンの吹替、長田裕之と知れば、ちょっと残念。

霧のロンドン、ベイカー街221。
行き交う四輪馬車、馬の蹄が石畳にたてる音。
2階の窓から眺めるホームズ。
テーマ音楽。

でも、放映当時は戸惑ったのを覚えています。
中学生の頃夢中になったホームズはもちろん小説で、勝手に想像を膨らませていたわけなんですが、もっと私好みの秀才顔だった。

(初恋の人だったかも知れません。とにかく、頭の切れる人がカッコよかったのです。今なら、怪盗ルパンに魅力を感じるかも。頭の良さより人間味に惹かれます)

いやいや、ジェレミー・ブレットのホームズは、原作に最も近い、生き写しと言われる程だとか、私の想像の方が間違っていたんです。
コカイン中毒。
紳士である反面、感情の起伏が激しい。
まさにそれがホームズだった。

でも30代の私は想像と違うとばかり、観るのを辞めてしまったのです。

それから40年
今は古き良きものに出会った思いで観ています。
ジェレミー・ブレットは亡くなってしまいました。
いろいろあったのですね。

『シャーロック・ホームズはなぜ外見だけで人を見抜けるのか』(斉藤勇 宝島社新書)も、借りて読みました。
ノンバーバル・コミュニケーションのあれこれ、昔は興味あったかも知れませんが、もう人の思いはいいです。


そのドラマ、毎日配信されるので観ても観ても追いつかず、放映終了までに見終えるられるか、今はそんなことが心配なのです。



映画『すずめの戸締まり』

2022-11-17 19:53:00 | 映画
椅子はどうして三番足なんだろう

新海誠監督の『すずめの戸締まり』



近所のシネコン、東宝シネマズのスクリーンを9つも使って上映する作品は滅多にあるものではなく、
それだけ世間の期待を背負っているのだと思えば、
人気者の宿命のようなものすら感じる新海誠監督。
若いのに(50歳は私より若い)
童顔なのに、しぶとい。嬉しい。

アニメは漫画、なんて言う世代もあるでしょうが、
別の言い方をすれば、その分若い人の支持を受けやすいわけで、市場価値は高い。

さて、作品ですが、
『天気の子』や『君の名は。』では、生活シーンでの細部描写に私はグッときたわけですが、(例えば自販機の喫茶店とか、マックの夕食とか、ラブホの夜とか)、今回はスッキリしている分、無駄がないというか遊びに欠けるというか、主人公の生活描写に時間が割かれていないのは、ちょっと不満ではありますが。
ストーリー的には分かりやすく、厚みに欠けるのは否めない、
けれど、
それを差し引いても、
着想が面白かったんです。
原作はないのですから、ゼロからの発想ですよね。

主人公の名は、すずめ。
地下のエネルギーは、ミミズ。
災害をもたらす〈後ろ戸〉
イケメンの仮の姿は3本脚の椅子。

この椅子は、すずめの母の手作りの椅子。脚はどこで無くしたんだろう。
(たぶん)東日本大地震で一度は津波に飲み込まれ、母を亡くしたように、片脚をなくして椅子は戻ってきた。
その〈欠落〉?

誰も挑戦者の頃が1番いい。
新海誠監督の頂点がここだとするなら…
わかってはいても、これも順番。
かつて宮崎駿監督が映画の世界を席巻したように、今は新海旋風。
でもいつかは終る。


椅子の謎は、生涯の宿題。

かな。