Linの気まぐれトーク

映画と小説の観賞日記

ガリレオ・シリーズ

2021-10-27 19:27:00 | 読書
東野圭吾の最新作『透明な螺旋』を近所の図書館に予約している(現在、7人待ち)
どうやら湯川の秘密が明かされるらしい。
東野作品は新作が出れば必ず読み、一気読み必至の面白さなのに、忘れてしまう。
推理小説でも覚えているものはあるので、それが理由とは思えない。

そこで、もう一度読み直すことにした。
(以下、ネタバレを含みます)
ガリレオシリーズ第一作は、『探偵ガリレオ』
警視庁捜査一課の草薙刑事と、帝都大学理学部の天才物理学者の助教授・湯川が謎を解く短編集だ。
捜査が行き詰まると、草薙刑事は親友の湯川に相談する。
湯川はトリックを天才的頭脳と科学的実験で解明する。

第二作は『予知夢』
これも短編集、作りは第一作を踏襲する。

第三作『容疑者Xの献身』は直木賞受賞作。
これで東野作品は大ブレイクするのだ。
天才数学者で今は私立高で数学を教える石神は、偶然にも湯川の同級生にして好敵手だった。
石神が好意を持った隣人・靖子を守るため、新たな殺人を犯してアリバイを作る石神のトリックを、湯川が苦しくも解明してしまう。

第四作は『聖女の救済』
今度は草薙刑事が恋をする。
被害者の妻が容疑者となるが、このパッチワーク作者は魅力的で、どうしても毒を仕込んだトリックが見破れない。
それもそのはず、毒は既に仕掛けられていた。
夫や来客を殺害しないため、妻はいつも台所の近くにいた。
旅行にも行かず。
それがタイトルの由来だった。

東野作品のトリックはかなり巧妙に仕掛けられてている。
一、二作は、専門知識のないわたしなど、皆目見当もつかない。
これじゃ忘れるはずだ。
理解できていないのだから。
筆致が軽いのも忘れやすい理由かもしれない。
作者としては、読んだことも忘れて何度も買ったり、映画を見たりしてくれれば大変ありがたいはずで、やっぱり東野圭吾の頭の良さは図抜けている。

朝ドラ『おかえりモネ』

2021-10-27 16:41:00 | TVドラマ
視聴率が振るわないとか、現代劇は失敗作が多いとか、面白くないとか、ご都合主義とか…
色々言われてきたけれど、わたしは好きだった。



今までのどんなドラマよりも身近に感じていたかもしれない。
観賞している唯一のドラマということもあるけれど、これを楽しみに生きていた。
朝ドラから1日が始まった。

目新しい試みも多かった。
中でもモネは〈恋愛軸では生きていない〉ということ。
わたし世代の青春時代はロマンチックラブイデオロギー全開で、女の幸せは男で決まるとか、惚れられて一緒になるのが女は幸せとか、まさに白馬の王子様を探すのが人生、というのが一般的だったのだ。

時代は変わった。
あのディズニー映画でさえアナ雪では王子は悪役、姉妹愛を歌い上げたのだ。
『おかえりモネ』でも菅波先生やりょうちんとの関わりは本当に淡白だった。
周りの森林組合のおじさんおばさんや、視聴者ばかりがヤキモキしていた。
このまま最終回に突入すれば、このドラマでも恋愛よりも姉妹愛、家族愛となりそうだ。
お互いの仕事を尊重し合い、男女としてよりも人間として高め合いたいと思う関係の新鮮さ。



69年の人生でここまで価値観変わるとは。
やっぱり長生きするものですね。

映画『人魚の眠る家』

2021-10-18 17:07:00 | 映画
2018年製作。
堤幸彦監督 
篠原涼子、西島秀俊、坂口健太郎 出演



もちろん原作は2015年に読んでいるはず。
いやあ、こんなに重い話だったか。
ミステリとは言いながら、殺人も推理もなく、
脳死は人の死か、という重いテーマだけがあった。

今観ると、身につまされて客観視するのが難しい。
わたしだったらどうする? と刃物を突き付けられた気分だ。
クライマックスシーンから涙が止まらなかったが、映画に泣かされたというより、身につまされて泣いた。
涙と共に観た人はきっと同じ気持ちだと思う。

あらすじをざっと辿ると、
従姉妹とその弟を、祖母(松坂慶子)がプールで遊ばせる。
もうこの時点で、祖母の気持ちがわかり過ぎて苦しい。

篠原の娘がプールで溺れ、脳死状態になってしまう。
そして、駆けつけた両親は残酷な宣告を医師にされる。
「こんな時に何ですが、臓器提供について娘さんはどうお考えでしたか?」と。
「娘は6歳ですよ。そんな話、するはずないじゃないですか」

篠原はわずかな希望に縋り、目を覚さない子を家に連れ帰る。
彼女の夫、西島はIT機器会社の社長。
金に糸目をつけず娘を介護し、自社の社員(坂口)を使って娘を動かす機器まで駆使する。
この辺りから、ホラーになる。
篠原の笑顔は怖い。

しかし、普通の家庭なら脳死を受け入れるしかなかったはず。
不和になっていた夫を経済的理由で引き止め、植物状態の娘に付きっきりになれる境遇に、普通はない。
現実離れした設定だ。
が、親子の情愛は説得力があるし、
脳死は人の死かという問題は未だ正解はないので、身につまされずに観る人はいないだろう。

その意味でとても重かった。
二度と観ることはないだろうし、原作を読み返したいとも思わない。
東野作品、小説は忘れたが映画は忘れられないかも。

小説『燃えよ剣』

2021-10-17 16:14:00 | 読書
言わずとしれた司馬遼太郎・作。
新撰組副長の土方歳三を描いた長編、いや司馬作品の中では長編とは言わないか。
原田真人監督の新作映画が気になるものの、時代劇、特にチャンバラ物は好きになれない。
が、岡田准一主演と聞けば見たい。
新撰組は大河ドラマで唯一観た題材でもある。
気になる。
不思議と誰もが知る存在でありながら、その業績はいまいちわからない新撰組。
たった6年、時代の流れに逆らって生きた最後の武士、といったところか。
それにしては近藤勇、土方歳三、沖田総司、斎藤一、芹沢鴨、と私でもわかるビッグネームが並んでいる。
やっぱり気になる。

映画はシルバー料金といえども1,200円は高い。
図書館で原作を読み、納得できたら見ることにしようか、ということて借りきた。
原田真人監督の解説まであるから、映画化を意識した新装版か。
古臭い全集よりは、よほど読書欲をそそられるが、それでも読了するのに1週間かかってしまった。
司馬作品にしては読みやすいのだろうが、基本は男のロマン。
やっぱり夢中にはなれないかなあ。
映画観賞は見送りか。
DVDになったら観ようかな。

女装について思うこと

2021-10-17 14:18:00 | 映画



『リリーのすべて』は、2015年、アメリカ、ドイツ、イギリス制作。トム・フーパー監督。
2016年のアカデミー助演女優賞を受賞しているらしいが、そんな大作を観る思いはさらさらなく、観賞の動機は女装男性の気持ちを知りたかったから。
実話をベースにしており、原作は1920年代のデンマークのようだ。

2人ともプロの画家。
妻は人物を、夫は風景を描く。
同業者にありがちな妬みはなく、お互いをリスペクトし、愛し合っている理想的な夫婦だ。
ある日、モデルが間に合わなかったことから、夫を女装させてモデルにすると、彼に不思議な気持ちが芽生え始める。
夫は自身の中の女性的な部分に目覚めたのだ。
それからは恋愛の対象も男性になり、妻の献身的な愛とは裏腹に、彼女とは別の道を歩き始める悲劇を生んでしまうのだが…

もう1ヶ月以上も前に一度だけDVD観賞し、これはダメ、受け入れられないと感想を書くことも2度見することもスルーしていたが、逆に書かないことで記憶にこびりつくのかもしれないので日記にする。
観なかったことにはできない。

知り合いが女装ブログを始めた。
動機はLGBTとかではなく、女性が好きだからもっと気持ちを知りたくてと、本人は言うが。
それを観てときめく女性はいないだろうから、対象は男性ということになる。
今まで私はその人の何を見ていたのだろう。
それが〈新しい自分の発見〉なのだろうか。

この映画でも、次第に女性化していく夫(リリー)に、アイナー(夫)を返して、と嘆くシーンがあった。

人間関係って、役割に過ぎないのか。
それを超えたものがあると思いたい。

いや、それを描いたのが『リリーのすべて』だったはず。
その人とはこんなことがあって普通の付き合いは出来なくなってしまった。
秘め事は秘め事のままでいいのではないか。
カミングアウトする必要はあったのだろうか、とふと思う。