墓石クリーニングの女

お墓と向き合うことで『大切なもの』を日々感じながら、あつく生きる女…それが、アタシ。

44歳の死

2010年11月15日 | 仕事
昨日、秩父に行きました。

朝早すぎて眠気と戦いながら、道中の紅葉に少しずつテンション上げられ到着。

とってもきれいな場所で、広いお庭の中での作業だったし、お天気も気持ちイイ。

でも、朝から飛ばしていかないと夜間作業になりそう…

アタシは、300年物の古石塔2本と外柵を担当。いそげいそげ!!!景色に見とれてる暇はないぞ!

10時になると、奥様がお茶を出してくれました。
ご主人も奥様も一緒にお茶の時間です。
他愛もないお話をしていたのだけれど、「お子さんは?」と社長が聞くと…
奥様の目が一瞬にして悲しみに包まれました。

実はそこのお宅は旧家でその地域の総本家。ご主人は19代目だそうです。そして20代目のご長男も大変立派な方で、大阪でお仕事をしていて離れてはいるものの2人のお子さんにも恵まれ、親孝行ないい息子さんだそうで…9月にやっとご実家に戻ってきたのです。

そう、仏さんになって…

お話を聞くと、社長と半年しか違わない44歳。

ガンが発見されてもう手遅れといわれて1年8ヶ月、闘病の末、9月に亡くなったそうです。

世の中にはもっと可哀想な人がたくさんいるでしょう。でも、子供を失った悲しみは味わった人にしか判らないと思うよ…

と、つぶやく奥様。涙が止まらなくなっちまった…

最後のお別れに、大阪に会いに行くことになったけれど、ご主人は行けなかったんだって。足が不自由になり杖をついているご主人。こんな姿をみたら、優しいアイツは「年老いた父を残して逝くのか…」と気にかけ、心配させるに違いないと思い、会いにいけなかった…と、涙を流した。

私の母が亡くなった時に、余命1ヶ月の彼女に会いににおいでといくら声をかけても、頑なに来なかったおじいちゃんと、ご主人が重なってしまった。
奥様、アタシは子供を亡くした親の悲しみを見て、親を亡くす子供の気持ち味わいました。

最後の言葉は、電話で「親父には伝える言葉もないくらいだ…」と、感謝の気持ちを伝えてくれたそうです。

まだ小学生の2人の子供を残し、彼は秩父のその土地に帰ってきました。

今月の49日にそのお墓に入ります。
山の上にあったお墓は、ご主人がお参りしやすい家の庭に移され、立派にリフォームされました。新しい部分と古い部分の差を縮めるため、たけしょう出動です。

泣きすぎてヘロヘロになりながら、少しでもお2人に喜んでいただきたい、亡くなった息子さんのためにも、一生懸命クリーニングをしてきました。
あたし達の仕事って、こんな悲しみの中、せめてお墓をきれいにして入れてあげたいと思う残された人の想いのために、そんな気持ちを汲んで変わって綺麗にすることです。
綺麗になったお墓を見て、これで気持ち良くお墓に入れるね…とつぶやく奥様。

たけしょうの存在価値は、この言葉にすべて集結していると、感じていました。

良かった…この仕事をしてきて。
あたし達しかできない仕事です。




44歳。

まだ若いなんて思っているそこの貴方!

どうか、健康に気をつけて。

死んじゃだめ。

お願いだから、死なないでね。

大切な人のためにも、どうか長生きしてください。

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