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Retro-gaming and so on

菊池俊輔

いや、龍虎氏のブログ記事を読んでたんだけど。

Cametanさんのアニソン(?)作曲家列伝を楽しみにしてます。

そっか〜。楽しみしてくれたか〜。
テキトーに書いてた記事だったのに(笑)。
そして、次の文章を見てハタと困った(笑)。

 次は菊池俊輔だろうな~と思ってたら小林亜星だった!

いや、実は小林亜星で終わるつもりだったんだよ(笑)。
え?とか思う人が多いかもしれんが(笑)。
そして菊池俊輔はとてもやりづらい

往年のアニソン作曲家で、仮に四天王を選べ、って言えば恐らく渡辺宙明、渡辺岳夫、小林亜星、菊地俊輔の四人になるたぁ思う。
でも僕の中だと菊地俊輔って

渡辺宙明「菊地俊輔がやられたようだな…」
渡辺岳夫「ククク…奴はアニソン作曲四天王の中でも最弱…
小林亜星「ニュー・ミュージック連中ごときに負けるとは職業作曲家の面汚しよ…」

ってカンジなんだよな(笑)。
「えええええ?」とか思う人が多いだろう。異論は認める
と言うか、恐らくそんな感想になってる僕のほうが異端だろう。
これをもって僕の耳が信じられない、って言われても、しょーがないだろう。甘んじて受け入れようと思ってる。
大体、作品数で言っちゃうと、特撮・アニメ合わせると最多の作曲家ではあるんだよな、多分。
何でそんな作曲家を四天王最弱扱いしてんのか、と。

いや、悪い作曲家だ、って言ってるわけじゃない。これだけ仕事請けてるんだから、安定性としてはある意味ピカイチだったとは思う。
とりあえず、僕が何故最弱の四天王扱いしてんのか、と言う理由を書く前に龍虎氏の感想を見てみよう。

折角なので菊池俊輔さんの印象を書いてみるか!音楽的なことは全然分からないけど。すべて個人の感想です
  • イントロがカッコよくて豪華
  • 当たり外れが大きい
  • よく出てくるフレーズがなんかダサい
  • 木琴
  • ドラゴンボールのBGMでむちゃくちゃ儲けている
 って感じでしょうか。

いや、当たってんじゃねぇの?
その通りだと思う。

んで、例えば僕も仮面ライダーXとかアマゾンとかストロンガーとか、観てたんだよね。
でも主題歌とか覚えてないんだよ(笑)。あっれー、ってカンジでさ(笑)。
今回、龍虎氏のブログ経由で久々に聴いたんだけど、「あれ、こんなんだったっけ?」とかそんなカンジなの。
なんか時間が経つと印象が薄れる曲のほうが多いんじゃないかなぁ、菊地俊輔作品って。
「セタップ!セタップ!セタップ!」ってフレーズだけ、かね。辛うじて覚えてたのは。

前書いたけど、ちょっと復習しよう。いわゆる「マジンガーシリーズ三部作」とか言われるシリーズがある。「マジンガーZ」(1972年)、「グレートマジンガー」(1974年)、そして「UFOロボ グレンダイザー」(1975年)の三作のシリーズモノだ。
しかし、実態は、グレートマジンガーからグレンダイザーに移る際、スタッフが総入れ替えになっている。グレートマジンガーまで作ったスタッフはグレンダイザーには行かず、鋼鉄ジーグ(1975年)を作ってるんだ。
従って、スタッフの流れで見ると、実はグレートマジンガーの「続編」は鋼鉄ジーグの方なんだ。当然音楽スタッフも総入れ替えで、マジンガーZとグレートマジンガーの音楽を作った渡辺宙明センセは鋼鉄ジーグへと移って、「マジンガーZ」「グレートマジンガー」で作り上げたノウハウを鋼鉄ジーグへ持ち込んで大爆発させる(笑)。
代わりに、グレンダイザーで音楽を担当する事になったのが菊地俊輔氏、だ。当然ここで主題歌のカラーはグレートマジンガーまでの音楽とガラッと変わるんだよ。

渡辺宙明センセは「人造人間キカイダー」の主題歌を作った時にはまだ「子供向け番組でどう書けばいいのか」を手探り中だったんだよな。一応「ロックを意識した」とは言ってるけど、後のサウンドを考えると明らかにまだ「習作」ってカンジだ(ただし、むしろ劇伴・・・つまりBGMの方が「さすが」って言う程カッコいい・・・要は「歌モノ」をどうすればいいのか、まだ掴みきれてなかったんだろう)。
明らかにターニングポイントはマジンガーZだ。亡くなった水木一郎氏がしょっちゅう歌ってた事もあって、皆この曲は知ってるだろうが復習の為に聴いてみよう。


この曲、実は短調なんだけど、一般的に「短調は物悲しい」と言われるが、全然そう聞こえなくって、むしろ勇ましい。結構コードワークが見事なんだよね。宙明センセ独特のヴォイシング、っつーか、それが出てきた傑作だ。ここでは紹介しないけど、「人造人間キカイダー」主題歌の素直過ぎたヴォイシングとは決別してる。宙明センセ独特の「ひねり」が出てきてて、それはむしろ人造人間キカイダーのBGMの方の音を受け継いてる、って言っていいと思う。
なお、ここではこれも紹介しないが、マジンガーZのED曲もメチャクチャ良い。

次がグレートマジンガーだ。


「喋らない筈のロボットが歌ってる」と言うとんでもない設定の曲(笑)。後の宙明サウンドの特徴とも言える「スキャット」が出てきてる。
話に依ると「ダダッダー」とかは元々の詩には全く無くって、宙明センセが勝手に付け足した模様。これはそういう、いわゆる「宙明サウンド」のプロトタイプだ。
曲の構成は、短調と長調の入れ替わりが実はかなり激しい曲で、マジンガーZの方が有名曲ではあるんだけど、こっちは宙明センセがかなり「自由にやり始めた」曲だとは思うんだ。

とまぁ、マジンガーシリーズこそが「宙明サウンド」が育った土壌なんだよね。ここが苗代だった、と。
しかし、繰り返すが宙明サウンドはここで打ち止め。グレンダイザーは菊地俊輔氏に手渡される。


さて、どうだろう。作曲者が変わったから当然だが、それでもサウンドがガラっと変わりすぎてビックリ、だろう(笑)。当時の視聴者も今までのマジンガーシリーズの「音」と変わりすぎて面食らった事と思う(含俺・笑)。
かと言って、「メロディが悪い」って事はないんだよ。むしろ「良いメロディ」だ・・・・・・と言うより「キレイ過ぎる」メロディなんだよな。
結果、宙明センセが持ってるような「フックがない」ってのも事実なんだわ。宙明センセは明らかに「汚さ」とか「歪み」があるんだけど、それがフックになってる。
一方、菊地俊輔氏は「お手本」って言って良いくらい「キレイ」ってのが、逆にネックだと思うんだ。
そこが僕には「引っかからない」んだ。

ちなみに、「キレイな」菊地俊輔氏は、(確か当時の)フジテレビ日曜7時台のアニメのサウンドを担っていく。永井豪原作モノから松本零士原作モノへと変わった「惑星ロボ ダンガードA」(1977年)「SF西遊記スタージンガー」(1978年・※1)でも音楽を担当している。
結果、東映動画がこの枠を取ってた際には、日曜夜7時の家族団らんで眺めるテレビアニメで「正しい」菊地俊輔サウンドが鳴り響くわけだ。

そう、菊地俊輔サウンドは「正しい」んだ。「正しすぎる」って言って良い。
上で往年のアニメ作曲家四天王、とか言ってたけど、他の三人に比べると圧倒的に菊地俊輔氏の作る音楽は「クラシック」だ。
ここで言う「クラシック」ってのは、もちろん「クラシック音楽的」って意味もあるんだけど、「正規性」とか「規範的」って意味を兼ねてる。特に「子供に聴かせて正しい曲」って意味だ。

いや、もちろん、渡辺宙明センセ、渡辺岳夫氏、小林亜星氏も「子供に良い音楽を」って思ってたと思う。
ただ、若干意味が違うんだ。前、渡辺宙明センセは「子供に容赦しない」って書いたが、実は渡辺岳夫氏も小林亜星氏もそうだと思う。「子供に本物の音楽を届けたい」とは思ったろうが、一方「子供向けの音楽を作ろう」たぁ、思ってなかった、と言う意味だ。
「良いモノは大人相手だろうと子供相手だろうと変わらない」って思ってた筈なんだよ。
上にも書いたけど、宙明センセの習作、「人造人間キカイダー」では(宙明センセ解釈に於ける)「ロック」をやろうとした。しかし分かるだろ?当時まだ「不良の音楽」って思われてたロックを「子供向け」だから止める、なんて判断を宙明センセはしない。要は「不健全」だろうと「いいものは子供にも良い筈だ」ってある種の信念が見えるんだよ。アレンジも「ジャズっぽいコードのヴォイシング」を「子供向け」だから、と止めたりしない。
渡辺岳夫氏でもそうでしょ。不健全のシンボル(笑)、山本リンダを意識する、っつっても「子供向けだから」ってそれを止めない。山本リンダでも良ければ「子供が聴いても大丈夫」って思ってるわけだ。当然大人も同時に楽しめる、と。
小林亜星氏だってそうでしょ。大人向け、子供向け、ってぇんで「作り方」を変えてないと思う。魔法使いサリーだって、恐らくまずはアメリカのテレビドラマっぽいイメージを最初に念頭に置いてただろうから(※2)あれほど「オシャレ」なんだ。
「ひみつのアッコちゃん」なんかも凄い。ロマンティシズムの権化のような曲で、過剰なロマンティシズムで涙腺を攻撃する(笑)。小林亜星氏も相手が子供だから、って容赦しない(笑)。しばき倒す勢いだ(笑)。
「ドロロンえん魔くん」だってサビは同じ繰り返しを2回、だけどコードが下降していってとにかくカッコいい。大人が聴いても痺れるだろう。「子供向けだから」こーしました、なんて遠慮が全く見えないんだ。
三者とも「子供へおもねる」ってのが全く無い、んだ。
逆に言うと、菊地俊輔、って作曲家は恐らく「大人向け」と「子供向け」ってキッチリ分けてた人なんじゃないかな、って思う。そういう意味では彼が作曲したアニソンとかは「童謡」なんだよ。いや、童謡がいいか悪いか、ってのは別にして。ただ、明らかに彼の作曲した曲の「正しさ」ってのは「子供向け番組の」と言う冠に縛られてる、と思うんだ。
だから「昔聴いた事がある」ってのは曲としては「懐メロ」ではあるんだけど、同時にある種の「気恥ずかしさ」を伴うんだよね。何か菊地俊輔氏作曲の曲、って、ガキの頃は夢中で観てた番組で聴いてて好きだった筈なのに、あとになって、思春期とか?あるいは大人になってから鑑みると「ちと恥ずかしい」分類になっちまう。
あるいはそう感じるのは俺だけかもしれんけど。
いずれにせよ、僕が菊地俊輔氏を「四天王最弱」と評する理由。それは彼が「子供向け番組」前提になると、子供に手加減して、途端に「チューリップ」を書いちゃう人、だからなんだ。

いや、だから子供向けで「正しい」「童謡」作家、として考えると、「ドラえもん」とか「Dr.スランプ」とか、菊地俊輔って作曲家が「良くハマってる」ってのが分かると思うんだよ。幼年向け、とか小学校低学年向けのか?全く「毒を感じさせない」曲、となると彼の出番、と。
今は本数が少なくなった、っつーか「殆どない」っつってイイと思うんだけど、かつてのアニメだとやっぱ「低年齢層向け」っつーのが主な主戦場であって、そうなると菊地俊輔、って作曲家は凄く使いやすいんだよな。言っちゃえば「ウルさいママ」を黙らせられるような曲を書くじゃない(笑)。
結果作曲数も増えていく、と。
だってさ、仮に宙明センセが「Dr.スランプ」の主題歌書いたら、とか想像してご覧よ(笑)。

ウンチウンチウンウンウウン
とびだせアラレ ウンチアタックだ
ニコちゃん大王ぶっとばせ

とかヒドい曲になってたと思うぜ(笑)?
多分ガキがすぐ真似して歌いだしてPTAで問題になる(笑)。
そういう危険性は、菊地俊輔、って作曲家にはあり得ない、んだ。

いや、以前僕は「人造人間キカイダー」派だった、とか書いてたし?「ライダーよりキカイダーが好き」ってのがあったんで、菊地俊輔氏に対して宙明センセびいきなんじゃ?って疑われてるかもしんない。
いや、どうしてもそういう部分はあるかも。認めよう。
ただし、個人的にはやっぱ仮面ライダーの曲は傑作だと思ってるよ。こればっかは「長年歌われ続けてきてる」って事もあって、余計名作だ、って印象が強いだろう。


この曲には遠慮がない。要は子供におもねっていない。
だからこそ時を超えて生き残ってきてるんだけど、要は、実のことを言うと、最初の企画では仮面ライダーって「大人向け番組企画」だったから、なんじゃないか、って事だ。
ある種有名な話なんだけど、そもそも仮面ライダーって最初は大人向け怪奇番組だったんだよな(笑)。ホント、最初の・・・ええと、確か藤岡弘、が撮影中バイク事故を起こす前の12話程度?を観ればホラーテイストの「今で言う仮面ライダーのイメージ」たぁ全然違う「面白い」ドラマになってっから(笑)。
言い換えると、菊地俊輔って人は、子供番組前提だったらこういう曲は書かない、って思うんだ。

割に辛辣な事を書いてるかもしんない。あるいは怒られるような事を書いてるだろう。
じゃあ、傑作が無いのか、って言われるとある、と答えるよ。
僕が菊地俊輔氏作曲で一番いい、って思ってる曲はこれだ。


そう、バビル2世。この曲こそが、菊地俊輔氏の「流麗なメロディ」と「雄大さを感じるアレンジ」が奇跡的に一致してる傑作曲だと思ってる。個人的には「好きなアニソン」3位くらいかな?
まぁ、「奇跡的に」っつーのは失礼なのかもしれないけど、そもそもバビル2世って原作からして「幼年向け」とか言うコンセプトの漫画じゃねぇのな。「少年チャンピオン掲載」だし。対象年齢は少年ジャンプ想定よか上だし。
つまり改変アリ、にせよ、アニメ版もそこまで低年齢層を意識してなかった。こういう時が、数少ない菊地俊輔氏の「本領発揮」出来るケースなんじゃねーの、とか思うわけ。対象年齢が下がっちゃうと途端に「童謡作家」になっちまうからさ(笑)。

さて、ここんとこ〆は魔法少女モノ、って事になってんで、気が進まないけどやってみようか(笑)。


だから言ったろ(笑)?モロ童謡だ(笑)。ここには魔法使いサリーが持ってた不可思議性、ひみつのアッコちゃんが持ってたセンチメンタリズム、魔女っ子メグちゃんが持ってた色気、魔女っ子チックルが持ってたアイドル性も何もない。
あるのは「子供向け番組」の「正しい音楽」なんだよ(笑)。規範的だ、っつったろ(笑)?
こーゆーのに対して論評は難しい、って思うんだよな。悪いメロディじゃない、むしろ「良い」だろう。ただ、その良いってのが「極端に正しい」を意味してて、はみ出ないんだよな~。
だから菊池俊輔氏の音楽がどーの、って言うのって至極難しくなるんだ。
少なくとも僕はそう思っている。

※1: Wikipediaにも書いてるが、当時、日中は人形劇であるドリフの西遊記モノがあり、夜8時からは伝説化してるマチャアキの西遊記があり、一日中西遊記漬けだった(笑)。

※2: 「魔法使いサリー」は中近東調と言おうか、あるいは無国籍調、バザール調、サーカス的な音楽、とか多様に解釈出来ると思う曲で、音楽的には直接影響はないだろうが、そもそもテレビアニメ的な企画としては(原作はさておいて)、アメリカのテレビドラマ「奥さまは魔女」っぽい事をやりたかったらしい。





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