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Retro-gaming and so on

MacVenture

Apple Macintoshと言うパソコンは、衝撃的なデビューを飾ったが実用性と言う意味ではクズだった。
エンターテイメントマシンと言う点で見ても、値段が高いだけで殆ど大したゲームは無かった。
時折思い出したように革新的なゲームが出るが、それも長くは続かなかったのである。

さて、Macintosh。まずはそのインターフェースは登場時は衝撃的だった。マウスだな。
ところが基本的に、ゲームとマウスは相性が悪い。グラディウスをマウスでプレイするトコ想像すると頭が痛くなるだろ。それだ。
そんな中でマウス操作とほぼ唯一と言って良い相性の良さを表したのが「アドベンチャーゲーム」の類である。
アドベンチャーゲームと言うのは、それまで、基本、「テキストだけ」のゲームだった。80年代前半時、グラフィックアドベンチャーなるジャンルもチラホラ出始めたが、他のゲームと違ってジョイスティック操作と相性が良くない。



そういう「既存のゲームインターフェースと相性が悪い」ゲームジャンルと、「ゲームと相性の悪い」インターフェースのマリアージュは思いの外上手く行ったんだな。不思議な事に(笑)。

そういうわけで、ICOMと言う会社からMacintosh + Adventure gameと言うコンセプトで、それこそMacVentureと言うシリーズが発足する。マウスで遊ぶアドベンチャーゲーム、と言う、今では「当たり前」のスタイルは当時は凄く珍しかった。

ところで。
コトブキシステムと言う会社がある。
多分「ケムコ」と言うブランドの方が通りがいいだろう。なんかナムコのパクリみたいだが(笑)、この会社、ファミコン市場なんかでは全般的に評判があまり良く無かった。
しかし、これは別に開発力がどーの、って言う問題ではなく、実はこの会社、結構な確率で洋ゲーのファミコン移植を主に行っていたのだ。当然洋ゲーは難しいので、ファミコンキッズには太刀打ちが出来ないケースが頻出するわけ、だな。従ってソフトの評価が下がる。
それはさておき、このケムコ。1985年に始まったMacVentureのシリーズをその3年後の1988年からファミコン向けに移植し始める。このシリーズの殆どはPC-9801を始めとする国産PCにも移植されていないので、何と言うか、快挙と言えば快挙である。
とんがったマウス操作のアドベンチャーゲームをファミコンコントローラ前提の移植(笑)。わはははは(笑)。これだけで操作性にちょっと難が出るのは想像に難くない。
しかし、このケムコはエライ。通常こういう企画って途中で売れないだ何だってんで、頓挫する例が多いんだけど、なんと、ケムコはこのMacVentureシリーズ全4本を任天堂のハード向けに完全移植やってのけたんだな。権利押さえてばっかで色々と頓挫してきた「大企業」ポニーキャニオン等とは大違いである(笑)。小粒ながらに意外とキチンと仕事をする会社で、また、どういうわけか海外の「尖った」ゲームに関する嗅覚も鋭い。まぁ、そのせいで「クソゲーメーカー」的な不名誉な呼ばれ方をされたりもするんだけど、どっちかっつーとホント洋ゲーマニアが会社経営してんじゃねーの?って方が真実に近いんじゃないだろうか。知らんけど。

1. ディジャブ I & II (ゲームボーイカラー: 1999年)

Deja Vu(1985年)とDeja Vu II(1988年)、両者の移植のカップリング。前者はファミコンでも出てるが、どーせなら2本で1本お買い得、の方が良いだろう。
推理アドベンチャーで、MacVentureシリーズの第1作と第4作である。



2. 悪魔の招待状 (ファミコン: 1989年)

MacVenture第2作、Uninvited(1986年)の移植。なお、Uninvitedとは英語で「招かれざる客」の意味だが、それを「悪魔の招待状」と「招待しちまう」ケムコの言語センスが光る。やっぱ相当英語堪能な洋ゲーマニアがいるんだろうなぁ。
ジャンルはホラー、と言うか現在で言うと「脱出ゲーム」の一種だろう。
即死ゲームとしても有名な本作だが、これも別に、ケムコがクソゲーメーカーで意地悪なんじゃなくって、洋ゲーデフォルトの難易度なだけ、である。



3. シャドウゲイト (ファミコン: 1989年)

MacVenture第3作、Shadowgate(1987年)の移植。ホラー風味だけど、今回は比較的オーソドックスなファンタジー世界の冒険である。
かつて流行った「ゲームブック」をMacのマウスを使うゲームとして実装したらこうなった・・・って事なんだろう。



まぁ、これらがまずは「Macのゲームが」一時代を築いた最初期のモノだろう・・・もっとも、すぐ、カラーでマウスが使えて、しかも安かったATARI STやCommodore Amigaがこの辺の「マウス使用ゲーム」の分野ではまたたく間に市場を席捲しちまって、Macintoshがこの辺を「我が世の春」と謳歌するのは極めて短い間だったんだけどな。
いずれにせよ、これらの(当時)尖ってたゲームをライセンシーとしてファミコンに持ち込んだケムコも、クソゲーメーカーと言うよりはやっぱ「尖ったメーカーだった」ってのが本質だったんじゃないだろうか。

なお、ここに紹介した4本は、英語で良ければ現在はSteamで購入出来る。・・・残念ながらMac版ではない、と思うんだけどね。

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