命のカウントダウン2(健康余命849日)

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名神高速道路大渋滞

2024-01-24 23:38:08 | 
今シーズン一番の大寒波で日本各地で交通機関が影響を受け、特に名神高速道路の岐阜県関ケ原周辺では12時間にも及ぶ渋滞が発生している(まだ一部解消していない)との事です。

何日も前から、今回の寒波が大きいであろうことは予想されていました。そしてJPCZの影響が関ケ原周辺に大きいことも予想されていました。

それなのに、何故、NEXCO中日本は通行制限を効果的に行わなかったのか。ノーマルタイヤで動けなくなった車にも大いに責任はあると思いますが、多くの車は冬タイヤや、チェーンを装備していたと思われます。いくら自分が冬タイヤやチェーンを装備していても、前の車が動かなくなったら、止まらざるを得ません。高速道路の運営会社は、侵入してくる車の装備を確認し、装備していても対応できない様な危険な降雪が予測されたら通行止めにする責任があります。現在のところ、今回の大渋滞では「渋滞関連死」は報告されていませんが、発生してからでは遅いのです。東名・名神高速道路は、日本の大動脈ですから、止めにくいのも分かるのですが・・・・今回の積雪量が予測を超えるものであったことも分かるのですが・・・・
自衛隊に救護を要請するようなことは、大いに恥じてもらわないといけません。国民を危機に追い込んだ証拠ですから。


雪が少しでも積もっていたら(日陰や橋の上だけ積もっていることも大いにあります)、冬タイヤ、チェーンなどの装備が無ければ車を出さないでください。装備があっても急ブレーキ、急ハンドルなどは禁物です。穏やかな運転を心がけてください。そして、もし運転中に雪に振り込められることがありましたら、下記を参考にして下さい。その様な可能性があるなら、水や食料、スコップ、毛布などを用意しておきましょう。というか・・・そのような状況は避けるのが無難ですよね。ということで、明日も出来たら運転は避けましょう!




新型コロナ奮戦記

2024-01-24 01:00:19 | 新型コロナ
 奈良県中部、磯城郡田原本町で1998年から内科で開業させていただいている医療法人坂根医院の坂根俊輔です。今年古希を迎えます。1年前に中等症以上の脊柱管狭窄症と診断されました。腰痛、両下肢痛・痺れに悩まされながら日々の診療にあたっています。65歳で引退、30ftのクルーザーを購入、シングルハンドで(配偶者は付き合ってくれない)南太平洋周遊の旅に出、やがて海の藻屑となって消え失せるのだ!などと本気で夢見ていた事もあったのですが、諸事情ございまして、ジクトルテープ、タリージェ、トラムセットを頼りにしながら、日常業務をこなし続けているのが現実です。
今回、私が新型コロナ感染症と如何に対峙してきたかをご報告したいと考えました。と言うのは、周囲を見回しても私の如く原始的に体力勝負で向き合って来た診療所は無いのではと感じたからです。体力勝負言っても、腰痛に悩むロートルの私(昭和の死語?)にそんな体力があるわけはなくて、ただ単純にCOVID-19という化け物と頭脳でではなく労力(老力?)で対峙し続けてきたと言った方が正しいのかもしれません。今年古稀を迎える肉体労働派のの新型コロナ奮戦記、ご笑覧いただければ幸いです。

2019年暮れにCOVID-19騒動が始まりました。年が明け2020年となってから、中国人旅行者の肺炎などが国内でも話題になってはいましたが、まだ他人事でした。しかし、運命の1月25日。日本初のヒトヒト間感染が何と奈良県の我が中和保健所管轄内で見いだされました。対岸の火事と思っていた事象を、いきなり目の前に突き付けられ、驚きました。そして、当時の「新型コロナ感染症を疑う条件」に当てはまらない症例を見事喝破された飯岡弘伊先生に対し、改めて畏敬の念を抱きました。
それから1年2か月が経過した2021年3月になって漸く、坂根医院でのCOVID-19第一例目を報告しました。下のグラフは、2021年3月から2023年12月までに我が坂根医院で診断した新規COVID-19患者数を月別にプロットしたものです。年単位で見ると、2021年:30名 2022年:1474名 2023年:748名 累計:2252名 月別の最多は2022年8月の450名、1日最多は2022年8月15日の63名でした。その日、他院は盆休みの所が多かったので患者さんが集中しました。私、断るのが苦手な性格でして、請われたら全員診る!と職員に宣言しておりました。猛暑日でした。酷暑の中、防護衣を着て走り回り、熱中症にならない様に大量の水分を摂取、防護衣の両袖に大量の汗が溜まって、袖口を開放すると大量の汗で足許に二つの水たまりが出来たのを覚えています。


これまで、5千人以上の発熱患者を診察し、2千人を超える新型コロナ患者を診断してきたのですが、私自身は未だ新型コロナには罹患しておりません。スタッフに関しては2023年秋に3人の集団発生を初めて経験いたしました。発生場所は薬局の一角、3畳ほどの狭い空間でした。坂根医院の院内は、空気清浄機が10台以上設置してあります。しかし、この一角だけ空気清浄機が無かったのです。その場所にもジアイーノを増設、その後院内感染は発生しておりません。患者さんに「先生はどうしてコロナに掛からないのですか。」と聞かれることがあります。そんなときは「新型コロナが見えるんや。そやから避けて歩いてるねん。」と返します。実際には見える筈などないのですが、3年以上も毎日対峙していると、なんとなく姿が見えてくるような、声も聞こえてきそうな気がしています。例えば、空気のよどんでいるところには新型コロナウィルスがたむろしていますし、俺は盆と正月が大好きだ~などという声まで聞こえてくる始末です。
そんな私が考えた新型コロナ対策です。
1)坂根医院の新型コロナ対策
a)感染(疑い)患者さんはドライブスルー形式で屋外で対応。雨の日には傘をさして作業していましたが、大きな屋根を作れば良いじゃないかと考え、後日大屋根を発注しました。


b)通常外来患者には、インターホンで発熱などの症状が無いことを確認してから入室していただいた。そして、検温、アルコール消毒の上、マスクが無い方にはマスクの貸与をしました。マスクが不足していた頃、医院の入り口にマスク箱を設置、一人一枚に限りマスクを無料で分けていました。マスク供給不足の時だったので、需要が多くて困りましたが、中国本土駐在の方とブログを通じて友人となり、国内では取り合いだったマスクをN95含めて送っていただいて大変助かりました。



 c)院内には多数の空気清浄装置、クリーンパーティションを設置。空気の清浄化を図るとともに、換気にも気を配りました。


クリーンパーティションと名付けられた、HEPAフィルター付きの平板型空気清浄装置です。医師会会長の安藤先生が採用されたと聞いて、安藤先生に直接評価をお聞きし、良さそうだと思ったのですぐに購入しました。診察室と検査室に2セット設置しています。


クリーンパーティションの働きを示した図です。汚染されている可能性のある空気の流れを赤で、清浄化された空気の流れを青で示しています。

そして我が医院の感染予防の主役級のパナソニックのジアイーノ(次亜塩素酸空間洗浄装置)です。

クリーンパーティション、ジアイーノを含めた空間清浄装置は、とても役に立っていると感じています。

 d)PPEは使用法が重要と考え、初期段階から西和医療センターでのPPE研修にスタッフ全員で参加するなど、スタッフの教育に力を注ぎました。
2)即日対応
 e)検査は、スピードが大切だと考えました。PCR検査装置を3台導入。即日検査結果を出すよう努めました。
向かって左側の2台はミズホメディー社のSmart Gene機で、60分でPCRの結果が出ます。右側はアボット社のID-NOW機で、13分でPCR相当の結果が出ます。感度はSmart Gene機の方が高いです。ですが60分は長くて、最近はID-NOWを使うことが多いです。これらの装置は、使用カセットを変えると、インフルエンザやマイコプラズマなどの診断にも使用出来るのですが、それらの診断には現在のところ抗原検査を使用しています。


PCR装置、発熱患者さん用のベッドを設置したプレハブ小屋です。


3)患者さんへの情報提供
 f)COVID-19と診断した時点で患者さんに奈良県のホームページからコピーした情報を主に印刷した冊子をお渡しして情報提供に努めました。
4)院外薬局との連携
 g)抗コロナ経口薬はほぼ全てを院外処方とし、禁忌薬剤の判断を院外薬局に委ね、自分を含めた院内スタッフの負荷軽減に努めました。
5)医療機関との連携
 h)周辺医療機関と連携し、医師やスタッフのCOVID-19発症時には協力し合う事が出来ました。

6)キャンピングカーの利用
私はキャンピングカーを避難所として利用していました。キャンピングカーは災害時の個人的な避難所としても利用できます。大容量リチウムイオンバッテリー、ソーラーバッテリーも設置してあり、電源供給減としても使えますので、移動PCR検査所としての使用も十分可能です。


2023年3月に設営した、坂根医院の大屋根です。大きさは12m×25m高さは4mほどです。これが完成して、雨の日のドライブスルー外来がとても楽になりました。設置費用は約1,000万円 設置後第9波は来ましたが、全く元は取れていません。しかし好評でもあり後悔はしていません。

これまで2252人のCOVID-19患者を診てきましたが、存じ上げている死亡者は2名。おひとりは88歳男性のRA、間質性肺炎、肺癌をお持ちでした。2022年6月診断と同時に入院していただきました。入院後レムデジベル点滴等で症状改善し、明日退院予定だった入院7日目に病態急変して亡くなられたそうです。もう一人の方は81歳男性の下肢筋力低下で数年来寝たきりの患者さんでした。2022年12月19日発症、21日に中和保健所から請われて往診に行きそこで陽性確定。保健所を通じて入院依頼するも入院させてもらえず、パキロビッドパック投与。3日目に状態悪化して経口摂取困難となりレムデジビル点滴に切り替えたのですが、4日目に呼吸不全で亡くなられてしまいました。とても悔しい思いをしました。

その、亡くなった患者さんのご家族からいただいた葉書です。これを読んでしまうと、コロナで困っている移動困難な方がおられると、危険を意識しながらも往診に行かざるを得ませんでした。私自身、高齢、高血圧、糖尿病、脂質代謝異常と、重症化因子を複数持っているので、本音ではやはり少し怖いです。

まとめです。
1,坂根医院では、2021年3月から2023年12月31日の間に、5千人以上の発熱患者を診察し、2252人のCOVID-19患者を診断しました。

2,検査は屋外、ドライブスルー形式で施行。当初はフルPPEで施行したが、次第に簡素化し、最近では不織布マスクとフェイスガードだけで施行している。屋外ではフルPPEは不要と考えている。逆に往診では基本的にフルPPE、そして患家への滞在時間は最小限となる様にしています。

3,検温、手指消毒装置、マスクの配布、多数の空気清浄装置の設置をしていましたが、2023年に空気清浄機の無い狭い空間内で職員3人の集団発生が発生しました。対策を取ってから後、院内感染はありません。そして知る限り患者さんへの感染はありません。

4,これまでに400人超に対して経口新型コロナ薬を処方しました。併用薬の確認が面倒なこと、薬価が高いこともあり、処方のほとんどは院外処方としました。下痢・蕁麻疹などの副作用は少数認めましたが、大きな副作用の報告はありませんでした。2023年10月からは薬剤が有料となり投薬率は明確に下がりました。個人的には3種の経口薬のいずれも有効であり、危険度の高い患者さんには服薬してほしいと思っています。

5,5000件程度行った屋外のドライブスルー外来において、私は感染の危険を感じませんでした。しかし、30件程度行ったCOVID-19患者への往診では、感染の危険を大いに感じました。感染の可能性を感じた時は帰宅せず、自分自身でPCR検査施行の上、キャンピングカーにその都度3日間ほど避難し、N95マスクを着用して診察に当たりました。

5、新型コロナで医院の売り上げは伸び、職員の報酬も66%増というプラス面もありましたが、レセプトの点数が高いという理由で集団的個別指導に呼び出されるというマイナスも生じました。個別指導の可能性は未だ残存しており、びくびくしているのが現状です。

6,蛇足です。新型コロナ患者数と職員給与の関係を示したグラフと、昨夏、京都の料亭で開いた医院設立25周年の際の写真を上げさせていただきます。坂根医院の誇りは離職率の低さで。そして悩みは職員の高齢化です。

長文御精読ありがとうございました