命のカウントダウン2(健康余命768日)

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子供さんのマイコプラズマ

2024-11-28 00:41:19 | 外来診療
このところ、小児の咳の強い患者さんが1日に何人も来院されます。我が奈良県中部田原本町の坂根医院は、小児科を標榜していないので、子供の患者さんはあまり来られないのですが、このところ状況が変化しています。

マイコプラズマ感染症が流行っていて、近所で呼吸器内科を標榜している開業医が少ないので、うちに来られることもあると思いますが、何よりも、近所の盛業小児科医さんが最近休診されているのです。その関係で小児患者さんが坂根医院に流入してきているのだと思われます。

マイコプラズマ感染症は、ネット検索していただければわかると思いますが、若い方に多く(14歳以下が7割)、普通に使う事の多い抗生物質では全く効かないちょっと変わった感染症なのです。ファーストチョイスの抗菌剤はマクロライド系と呼ばれるクラリス、クラリスロマイシン、ジスロマック、エリスロマイシンなどなのですが、それらの抗菌剤が効きにくいマクロライド耐性菌が5割以上に増えてしまっています。ミノマイシンというテトラサイクリン系の薬だとほぼ効くのですが、ミノマイシンは8歳以下には「歯の着色」という副作用があって使えません。中年女性にも、めまいを来しやすいという欠点があり、とても良い安い薬なのですが、使いにくいところもある薬です。

今日、来院されたマイコプラズマ感染症を疑った10歳、12歳の患者さんに対しては、トスフロキサシン(オゼックス) という抗菌剤を使いました。この薬、イチゴ味で美味しいのですが、値段が高いのが欠点です。そして、切り札的な存在ですので、あまり使いたくはないとは思っているのです・・・ですが、本日来院されたお二人は、前医でマクロライドを処方されているにもかかわらず症状が改善していないとの事でしたので、マクロライド耐性と判断して使用しました。

マイコプラズマ感染症、数十年ぶりの流行だそうで、診断キットが品不足で手に入りません。私、もともと、診断キットの感度が5割程度と悪いので、私は最近使っておりませんでした。症状や周囲の状況などで判断しているので、診断キットなくても困っておりません。

比較的若い方(30歳以下特に小中学生)で、熱が下がったのに乾いた咳が出続ける、特に夜になると、スイッチが入ったかのように咳が続く方、マイコプラズマ感染症かもしれません。医療機関受診をお勧めします。放置しても多くは治りますが、1か月程度ひどい咳に悩まされることが多いです。市販の咳止めも効きにくいので・・・・

大空と大地の中で/松山千春LIVE(Oozora to Daichi no Nakade [In the sky and on the earth] / Chiharu Matsuyama)

マイコプラズマ感染症が増えています。

2024-10-10 19:29:32 | 外来診療
これまでにも何度か伝えてきましたが、マイコプラズマ感染症が未だ増えています。
マイコプラズマ感染症、しつこい咳が特徴です。普通は発熱が先行することが多いですが、年少者の場合、発熱の自覚なく、咳だけを主訴に来院されることも多いです。
マイコプラズマ感染症患者の8割が14歳以下で、残りの2割も20代以下の方が多いです。10代前半の方は症状軽い方が多く、年齢が上がるにしたがって肺炎など重症の方が増えるようです。

マイコプラズマ感染症は咳などの飛沫感染や接触感染でヒト~ヒト感染するのですが、潜伏期間が2,3週間と長いので、感染経路が分かりにくいのも特徴です。マスクで飛沫感染の多くを防ぐことが出来ます。マスク着用率の高かったコロナ騒ぎの間、マイコプラズマ、インフルエンザなどの呼吸器感染症は抑制された状態が続いていました。それで、抗体保有率が下がった事が、この度のマイコプラズマ流行に繋がっているのだと思われます。今シーズン、インフルエンザの抗体保有率も下がっています。インフルエンザワクチン、可能なら接種お願いします。2歳から18歳までの方にはフルミストという注射ではない鼻腔内噴霧型のワクチンも今年から使えるようになりました。注射の苦手なお子様などには考慮されてもいいかと思います。

なお、マイコプラズマ感染症にワクチンは存在していません。熱が出た後、しつこい空咳が続く場合など、(特に周囲にそんな方が過去におられた場合)小児科、内科、呼吸器内科受診をお勧めします。

マイコプラズマ感染症の診断には、抗原検査、PCR検査などもあるのですが、抗原検査は陽性率が低く(5,6割程度)PCR検査は時間がかかります。その上、現在抗原検査は不足して手に入りにくくなっています。

我が坂根医院では、症状の聞き取り、必要であれば胸部レントゲン検査、抹消血液検査などで総合的に判断しています。レントゲンで肺炎を認めるのに血液検査では大きな異常を認めず、咳以外には大きな問題の無い若い患者さんがこの週末複数来院されました。

今後もしばらくの間、マイコプラズマ感染症、肺炎は増えそうに思われます。人混みでのマスク着用など自己防衛に努め、怪しいと思ったら医療機関を受診してください。マイコプラズマ感染症は分かりにくいので、一度目の受診では分からないかもしれません。薬が効かなくて再受診する場合は、効かなかった薬を持参するなどされることをお勧めします。前回の薬が分からなかったら、同じ薬を処方される可能性もありますから。

まとめ
1,マイコプラズマ感染が数十年ぶりに増えている
2,マイコプラズマ感染症は、しつこい咳が特徴
3,感染者は、20代以下が多い
4,潜伏期間が2,3週間と長く感染源が分かりにくい
5,効かない抗生物質が多く存在する
6,感染予防にマスクは有効
7,抗原検査は陽性率が低く、診断が難しいことも多い
8、薬の効きが悪く、他医受診する場合は、前医の薬を持参する事


Raindrops Keep Falling on my Head

優しくなりたいとは思うのだけれど

2024-08-15 23:27:23 | 外来診療
高齢者の自動車事故が増えています。それは、高齢者自体が増えていることが一番の原因だとは思います。でも、高齢者の事故、とんでもない悲惨な事故も多いことも事実なのです。

先日も東北自動車道路で逆走の末、正面衝突し、運転者2名が死亡、乗車していた二人の子供が重軽症という事故がありました。

逆走の末の正面衝突です。
いきなり、正面に逆走車が迫って来て、避けるスペースが無かったら・・・考えるダニ怖いですね。

少し前に高齢者教習に参加させられたのですが、参加者の中には「教習所以外では出会いたくないな」と思った高齢者、複数おられました。

でも、免許証を返上すると認知症が進行悪化することも事実です。今後、高齢者ドライバーが増え続ける事を考えると、運転システムの補助を強化していくしかないと思っています。

田舎では、免許証を返上すると人権の多くを削ぎ取られるのです。それで、必ず認知症が悪化します。交通事故を起こす可能性はあっても、返納したら生活できない、ヒトとしての生活継続が不能となるのです。正面衝突するかもしれないようになるまで、免許証を返上できないのが現状なのです。

 机上の空論をかざすのは簡単ですが、現実はなかなか難しいのであります。分かっていただきたいと思います。



スマイル / マイケル・ジャクソン


古い奴だとお思いでしょうが・・・

2024-08-14 14:06:00 | 外来診療
「マイコプラズマ肺炎」の全国の患者数が5週連続で増加。
国立感染症研究所によりますと、8月4日までの1週間で全国約500の医療機関から報告された「マイコプラズマ肺炎」の患者は、1医療機関あたり0.95人で5週連続増加しました。

マイコプラズマ肺炎と言うと、オリンピック病とかオリンピック肺炎と思ってしまう・・・古い奴でございます。

その昔、夏季オリンピックが開催される4年おきに流行して、そう呼ばれていたのですが、いつの間にかその周期が崩れて、その呼び名は廃れてしまいました。しかーし、今年は、パリ5輪の年ですよね。ひょっとすると旧名復活?

まぁ、そんなことはどうでも良いのですが、マイコプラズマ肺炎、なかなか厄介なのですよ。まず、薬が効きにくい。副作用が少なくて使いやすいセフェム系と呼ばれる抗生物質、全く効きません。セフェム系の抗生物質は、細菌の細菌壁に作用して細菌を崩すのですが、マイコプラズマには細菌壁が無いので、セフェムは全く効きません。そして、同様の働きをするペニシリン系抗生物質も無効です。

そして、マイコプラズマは気管支壁に沿って炎症が広がり気管支壁を刺激するので、頑固な強い咳が長期間残ります。咳止め薬も効きにくいのです。

そして、マイコプラズマの診断には、臨床症状や胸部レントゲン所見、血液検査所見などから類推することが多いです。マイコプラズマ迅速検査キットもあるにはあるのですが、まだまだ感度が低くて使いにくいです。(オーツカのものはまだましだけど、当院では期間内に使い切ることが出来ません。)感度の良い検査は、検査に日数がかかって実用にならいです。

何しろ、難儀な病気なのですよ。その、しつこい咳を特徴とするマイコプラズマ肺炎が、8年ぶりに流行ってきています。
外来肺炎の中で一番多い肺炎です。肺炎というと呼吸困難などで寝込んでしまう事が多いのですが、マイコプラズマ肺炎は症状が軽いことが多く、歩いて来院される肺炎として有名です。若い方に多い病気ですが、年長者でもなり得ます。右を向いても左を見ても、馬鹿と阿呆の絡み合い。何処に男の夢がある??

薬の効きにくい、しつこい、乾いた頑固な咳が熱が下がったとも続く・・・・
そんな時は、可能であれば呼吸器内科を受診してください。少し厄介な病気なので・・・ベテラン(古い奴)の方が良いのかもしれません!!






鶴田浩二 傷だらけの人生

お盆休みについて

2024-08-07 22:25:17 | 外来診療
来週お盆ですよね。
皆さんはお盆の期間中どのように過ごされるのでしょうか?
一般的に8月13日から16日までの4日間を盆休みとする企業が多い様です。
土日が休みなら、今年は9連休!!
羨ましい限りです。

医療機関でも、開業医=診療所は、その4日間休診にするところが多いです(9連休にするところも結構あります)。ですが、病院特に公立病院は休みません。
病院というのは、病床19床以上あることが条件です。18床以下は病院ではなく診療所(有床診療所または無床診療所)。
病院であれば入院患者がおられるので、外来を休みにしても、入院患者を診なければいけないので、外来を休む意味が低いのかもしれません。18床から1床の有床診療所もありますが・・・・診療所の大多数は無床診療所です。有床診療所は、産婦人科が多いです。

そんな理由もあって、病院は休まないところが多く、診療所やクリニックは盆休みを取るところが多いです。ですが、決まりはありませんので、対応は個々でまちまちです。

我が坂根医院、年末年始、日曜祝日、木曜に加えて、奇数週の火曜日も休診と、普段の休みは多いのですが、平成10年:1998年の開業以来、お盆休みいただいたことないです。従業員からは顰蹙を買っていますが、その分、色々な面で他医療機関よりも待遇を良くしてマイナスを埋めております。そのせいか、ここ15年ほど、70歳以上の年齢が原因で辞めた方、辞めていただいた方はおられますが、それ以外の退職者はゼロです。すみません、一人、50前後で退職された方がおられました・・・癌での死亡退職でした。それだけです。その方以外、70歳以下では辞めた方いません。メンツが変わらないので安心感があると好評です。

話がそれてしまいました。坂根医院はお盆休みは取らないという話でした。勿論、今年もお盆は休みません。いつもの通り診療します。即ち、15日は木曜なので休診ですが、13日、14日、16日、17日(午前中のみ)しっかり診察させていただきます。周囲が休んでいるので混むだろうと思われるかもしれませんが・・・毎年ガラガラです。

盆休みを取ると思われているのでしょう、今週はとても混んでいます。先ほど言ったように、お盆期間中は、他の医療機関が休みなのに、混みません。そして、お盆期間の次の週に「お盆の期間、休日診療所も開いてなくて困りました。」と言われる方が多数来院され混みます。「近隣の病院で盆休みとる病院は無いですし、うちも開いてましたよ。」というと、「えーっつ知らなかった。それなら来ればよかった」と言われます。そんなことが25年間続いております。

お盆だからといって、銀行も公立施設(県庁、市町村庁など)、郵便局休まないじゃないですか。坂根医院も休みません。坂根医院には入院患者はおられませんが、在宅患者が36名おられます。なかなか遠出出来ない理由です。(隙を縫って、遊びに行ってますけどね!!留守番、友人医師たちに頼むこともありますが、何といっても一番頼りにしているのは訪問看護です!!いつもありがとう!!!勿論、訪問看護も盆休みとりませーン!!取れませーン!!)