命のカウントダウン2(健康余命849日)

以前のブログ「命のカウントダウン」にユーザーとしてアクセス不能。今しばし、こちらに引越します。以前のブログも見てね!

キヤノンのレンズ群も魅力的でございました

2024-08-18 00:35:51 | 在宅医療
Nikonだけを紹介したのではいけないなと思って、キヤノンの交換レンズ群を見てみました。

私、カメラ自体には大した興味ありません。ミラーレスになることによってフランジパックが短くなって、レンズの設計の自由度が増したことに興味が大ありなのです。
フランジパックが短い優位性は、焦点距離が短いレンズほど大きいのです。ですから、私は新たに購入したいレンズは、広角系ばかりです。望遠系には全く興味ないです。
これらのレンズ、凄いですよね。お値段も凄いですが・・・
望遠系にはあまり興味ないのですが、良いレンズは良いので・・・・
まあ、こんな持ち運びにも難渋するようなレンズを購入することはないと思います。でも、ヨンニッパ、魅力的ですねぇ!!
面白い表現が出来そうですが、重いので私は要りませんです。皆さん、頑張って使ってくださいませ!!!!

久しぶりのベクルリー(レムデシビル)

2024-08-08 22:08:42 | 在宅医療
今日は木曜で休診日。何処に遊びに行こうか、それにしても暑すぎて外に出る気になれないな などとベッド上で考えていた午前9時過ぎ。携帯が鳴りました。訪問看護師からでした。「〇〇さんが38.5℃の発熱、サチュレーションは96%、血圧は・・・・」肺炎ではなさそうです。肺炎でない発熱、全身状態にも問題はなく、緊急性はなさそう。昼前後に往診しますと伝えました。
のろのろ起き上がり、素麵を湯がいて食べました。配偶者は五色が原付近に出張中です。一人飯は侘しいですね。

 ところで、侘び寂びという言葉の中では「侘び」という言葉はプラスイメージなのに、侘しいと形容詞になると、もの悲しさを感じさせるマイナスイメージの言葉になっちゃいますよね。そういえば、寂びもそうですね。寂びは古びた美しさを愛でるプラスの言葉、寂しいはマイナスの言葉ですよね。日本語って難しい というか、日本人の感性は繊細かつ微妙なバランスの上に成り立っているのですね。

閑話休題、昼過ぎちゃいましたが、患家に行きました。採血と点滴をしようとしましたが、その前にこれ確かめておかないと と、SARS-CoV-2抗原検査を施行。寝たきりの患者さんで、感染の可能性は低いと思いましたが、念のため。

何と、直ぐに陽性のラインが出てきました。あららららー。コロナじゃないですか!!

私、あろうことか、油断しておりました。マスクすら付けていなかったのです。大慌てで車に戻ってN95マスクを装着しました。患者さん、熱は38度台後半と高いのですが、呼吸音には異状なく、動脈の酸素飽和度も97%と良好でした。しかし、88歳の高齢者であり、複数の疾患をお持ちの寝た切り患者さん。重症化する可能性は相当高いと思われます。食欲が低下していて飲水もできにくくなっているとの事でしたので、主介護者の娘さんに入院加療を強くお勧めしました。ご本人は認知症が進んでいて、そこまでの判断能力はありません。意思の疎通は可能ですが、そのレベルは高くはないです。

娘さんの返事は ”No” でした。半年ほど前に重症肺炎で入院していただいたのですが、その時に認知症が相当進んだのだそうです。その上、本人が入院を強く嫌がっているとの事でした。

それで、腎機能などの内臓機能、服用中の薬を確認したうえで、パキロビッドパックを使うことにして患家を辞しました。

医院に戻って、パキロビッドパックの処方箋をFAXで志都美薬局に送ったのですが、それを追う様に患者さんの娘さんから電話がありました。「食べません、飲めません。薬も飲めない様に思います。点滴してください。」

結局、入院したらするであろうと思われる治療を、患家でそっくりそのまま行うことになりました(内容を決めたのは私ですけどね。)



24時間の持続点滴で1500mlの3号輸液を入れ、側管から抗コロナ薬のレムデシビルを1日1回30分以上かけて滴下する。

レムデシビルなんて高価な薬(1本6万3千円 3日分4本で25万2千円)持っている薬局あるのか?それが一番の問題だなと思ったのですが・・・・志都美薬局 やはり、何とも頼りになります。奈良県が誇る2つの薬局、志都美薬局とさなえ薬局。志都美には國廣英一 薬剤師 さなえには二十軒栄亮 薬剤師 二人とも緩和ケア医療にとても長けていて、麻薬などの調剤の面では医師の上を行くスーパー薬剤師です。

レムデシビル使いたいのだけれど、在庫ありますか?
ありますよ!

ほどなく、國廣薬剤師自ずから3日分4本を医院まで持ってきてくれました。院内で点滴回路、調剤を済ませました。患家での滞在時間を出来るだけ短くするためです。

患家では10分程度で持続点滴用のプラスチックチューブの針を上腕の静脈に何とか挿入、24時間点滴及び側管からのベクルリーをセットし終えました。

明日からは、訪問看護師が点滴の管理をしてくれるそうです。

私、新型コロナに感染してしまったかもしれません。明日からはN95マスク着用で仕事に当たることにします。感染したとすれば、自分が油断していたからで、自業自得、それは仕方ないけれど、今日1日を振り返ると、信頼できる院外処方薬局、訪問看護ステーションと良いチームワークで仕事が出来、患者さん、患者さん家族の要望を満たすことが出来た気持ち良い1日でした。帰り道、王将で冷麺と餃子を食べて、生餃子を息子の土産に買って帰って・・・今、ブログ打ち込んでいます。気分は良好!いまのところはね!!

点滴しないという選択(長文です)

2024-07-08 23:25:47 | 在宅医療
末期の医療において、点滴をしないと言う選択肢を選ぶのはなかなかに困難です。

患者さんそしてご家族の多くが点滴幻想を持たれています。点滴すれば病気は良くなる、病状は改善するという幻想です。通常の急性期医療の場合、必要な薬剤や、水分、塩分などを血管から直接体内に入れる点滴治療は非常に有効です。その印象が強いので、点滴すれば何でもかんでも良くなると思っておられる方が多くおられます。

しかし、末期医療においては全く状況が異なります。何しろ、有効な医療が既に無くなった状態なのですから。そこで点滴をすると、折角枯れて死を受け入れようとしている「体の中の自然」に逆らう事になります。それで、患者さんに苦痛を負わせてしまうことが多いのです。

亡くなる直前の点滴は、弱り切った体に余計な負荷をかけ、心不全、呼吸不全を悪化させることが多くあります。
自然に近い形で穏やかに亡くなったご遺体は軽いのに、病院で苦しんで亡くなった方のご遺体は重いと葬儀関係者の方に聞いたことがあります。
苦しまれた分だけ重みが増しているのではないかとも感じる私です。

私達、在宅末期医療を扱う医療関係者の間では、末期の点滴は施行しても500mlまで。許されるならゼロにしたい。というのが本音です。

私達、患者さんの苦痛の除去には熱心ですが、点滴は出来たらしたくないのです。

先日、そんな私たちの方向性を具現化した在宅看取りを経験しました。突発性間質性肺炎の患者さんでした。年齢は私と同世代の男性。

昨年夏まで海外を飛び回っておられた超エリートエンジニア。自立心の強い方で、肉体的な苦痛には我慢強いのに、入院加療の様に行動を縛られることが大いに苦手な方でした。自由を制限されることが苦手なのは私も人後に落ちない自信があります。私は肉体的苦痛にも弱いですけれどね。

その方の病気は、突発性間質性肺炎という難病の中でも急速進行性の特に質の悪いものでした。最初に坂根医院に来られたのが今年春だったのですが、これは手に負えない、と、その日のうちに病院に紹介しました。それなのに、患者さん、2つの病院を経由した挙句、約一か月後に戻って来られました。何故?と聞くと、病院は検査ばかりで何もしてくれなかったとの事でした。強引に退院してこられた事と、2つ目の病院は当院からの紹介では無かったので、診療情報も何もありませんでした。仕方なく、ありあわせの情報で難病の申請をし、在宅酸素療法を開始、病状が急速に悪化してきたのでステロイド治療も開始しました。

それでも、病状悪化は止まりませんでした。そこで、何か出来る治療はありませんか?抗線維化薬、免疫抑制剤、ステロイドパルス治療など、出来ることがあれば施行していただけませんかとの紹介状を書いてN医大を受診していただきました。病院受診に気の進まない患者さんご家族の背中を強く推して受診していただいたのですが・・・

入院されたと聞いてホッと一息ついていたのに・・・・2週間ほどしたら、明後日退院してこられますとの話が・・・・退院日に訪問看護師とご自宅に伺ったのですが、退院時の診療情報がありません。N医大に問い合わせてどうなっているのか聞くと、退院後もこちらに通院していただくことになっているので、紹介状はありませんとの事でした。在宅酸素の業者も変えられています。

患者さん、ご家族に聞いても、そんな希望はさらさら無くて、主治医に何度も「退院後は坂根先生に在宅医療してほしい」と念を押されていたそうです。

ご家族に「私に向かってなので、そう言われているわけでは無いですよね。」と、失礼ながら念押しの確認をしてから、N医大に文句の電話を入れました。「病院医と在宅医の間でトラブルが発生している。そんなトラブルは、何処に相談したらいいのか」と地域連携室に聞きました。そんな部署はありませんとの答えでした。無いのなら、作らないと、今後もこのようなトラブルは発生し続けますよ。とても重要な問題ですよ!と、脅しました。多分、その話が上の方にまで届いたのだと思います。とても驚いたことに、一開業医の文句が通りました。翌日には診療情報がFAXで届きましたし、2日後には病院の主治医本人から謝意の電話が直接ありました。

まあ、そんな大事件とはお構いなしに、患者さんの病状悪化は続きます。医大でも、積極的な治療は出来ないと言われたのだそうです。確かに線維化は完成しているので薬は効きにくいだろうとは思えました。しかし、何か出来る事はないかと考えました。
抗線維化剤や免疫抑制剤は在宅では扱いにくかった(保険治療でカバーできないものもある)ので、ステロイドパルス療法をご本人、ご家族承諾の上で1クール施行しました。最初の1投目した日だけ症状改善したかに思えたのですが、翌日からは元に戻ってしまい、1クール終わった時点では正に元の木阿弥でした。話し合いのうえ、維持量のステロイドを残して積極的治療は終了することにしました。

上の装置はエイミーPCAポンプと言う最新の微量薬液注入システム(患者さんがコントロール出来る機能付き)です。
これを2台使って塩酸モルヒネとミタゾラムという2種の薬の連続皮下注を開始しました。
いずれも患者さんの苦痛を取り去るのが目的です。10年前なら、そのような薬剤を在宅の非がん患者さんに使うことは想像できませんでした。こんな優秀なポンプも存在していませんでしたし。
一日の注入量は1つの装置で2.4ml、2つで5ml以下の注入量です。普通の点滴と全く量が違う事をご理解ください。


こんな最新の薬液ポンプを2台も使いながら、普通の点滴治療はしませんでした。患者さん本人の希望に沿わないからです。

下がこのポンプを使用し始めた時の血液ガスの結果です。酸素は経鼻で1.5l/minでした。
分かる人にはわかってもらえると思いますが・・・・
完全な負け戦
PaO2:64mmHgに対し
PaCO2:117.9mmHg とんでもないダブルスコアに近い大逆転(二酸化炭素濃度が酸素濃度を上回ってしまう状態)です。
それでも、話しかけると返事は帰ってきました。早く楽にして欲しい。殺してほしいとまで言われたのですが、これらのポンプを使う事で楽になられたのでしょう。傾眠ではありましたが、微笑みを浮かべられることもありました。
ポンプを使用して3日目、患者さんは自宅のベッドで大勢のご家族に見守られる中、静かに息を引き取られました。死亡確認をしたのはご家族、そして訪問看護師でした。在宅医師の私がお宅にお邪魔したのは翌朝早く、訪問看護師からの電話で知らされてでした。

ご本人、苦痛を感じない良い顔をしておられました。そして見送られたご家族の皆も涙の混じった笑顔で私を迎えてくださいました。

理想的な最後やんか と、私思ったのですが、いかがでしょうか?
長文、お付き合いありがとうございました。


今日も在宅医療についての話です

2024-07-02 22:03:16 | 在宅医療
今夜も在宅医療についての考察です。
これまで、
1,私自身は在宅医療が好きで、
2,在宅医療は患者さんの人権を守ることに長けた医療で、
3,在宅医療では患者さんが主役になれる
と書いてきました。

これ、間違っていません。
現在、在宅医療は引く手あまたな状態です。
と言うのは、需要と供給のバランスが取れていないからです
需要は多いのに供給が追い付きません。
在宅医療を要望される患者さんは増える一方なのに、在宅医療に関わる医師、看護師の数が足りないのです。
そんな状況なので、ただでさえ時間外労働の多くなりやすい在宅医や在宅看護師の労働環境はブラックになっています。

普通、ブラック企業というと、欲の深い企業主にブラックな環境で安い報酬で残業を余儀なくされる様なイメージを抱かれるかもしれません。
でも、在宅医療関係者はそうではありません。医者は企業主であることが多く、誰に命令されることなく自分の医師でブラックな環境に身を委ねています。そして看護師もほぼ同様です。彼女たちも引く手あまたの有資格者なので、職場を代わりたければいくらでも変わることは可能です。

在宅医療に関わる医療関係者は、自分の医師で現在はブラックな環境にある職場をあえて選んでいます。それは、私達が在宅医療が否定しがたく好きだからだと思います。在宅医療が好きな医療関係者は、患者さんが日常生活を継続しておられる状況の中で医療行為を続けることに大きな意義を感じているからだと思っています。私は日常生活こそが人生だと思っています。多分、他の関係者も同様ではないかと推察しています。




在宅医療は人権侵害から少しだけですが縁遠い

2024-07-01 22:07:56 | 在宅医療
私は、医者になって5,6年経って,1人前になったかなと思えたころから在宅医療に関わるようになりました。以来30年以上、在宅医療に普通の開業医よりは強くかかわっていると思います。でも、ご存じの様に、釣りにもスキー旅行にも、山にキャンピングカーで遠征したりもして、在宅医療で生活を犠牲にしてはいません。何とか両立させようと努力しております。それには何よりも訪問看護ステーションの看護師の協力が圧倒的な力になってくれますし、それで足りない場合には、友人の在宅協力医の力を借りることもあります。日常生活を犠牲にして在宅医療に人生を捧げたいなどと言う思いは無くて、何とか好きなことを全部並立実現させていけないかなと思っております。滅私奉公なんて思いは微塵もありません。働いたら対価は欲しいと思っています。ケチではないと思ってはいますが・・・どうなのでしょうか

私は仕事も遊びも日常生活も大好きなので、好きなものすべてを並立させたいと思っているのです。だから、結構綱渡り的に忙しいことも多いですが、今のところ、人並み以上に毎日を楽しめていると思っています。そうそう、在宅医療も大好きなのですよ。

昨日、医療と人権について私見を述べてみたのですが、書いているうちに表現したいことが次々に出てきて、一旦アップした原稿を、昨夜も今日も何度も何度も(10回以上)是正更新しました。初めの頃に読まれた方、現在の記事を読み直していただいたら、随分内容が違うと思われると思います。色々意見を継ぎ足しもしたので、当初の1.5倍くらい長くなってもいます。

今夜は、昨夜ほど支離滅裂にはなりたくないので、出来るだけ簡素にしますね。言いたいことは、「私は、在宅医療が大好きです」「それは、多分ですが、在宅医療が人権を守りやすい医療だと感じているから。」です。

病室に鍵をかけることはできませんが、自宅だったら何重にも施錠可能です。端的に言えば、その違いです。 嫌なことを拒絶できる医療、逃げられる医療。私はそんな在宅医療を愛しています。分かるかなぁ???

表現を代えてみましょう。病院医療の主役は、医者ですよね。医療ドラマのほとんどで主役は医者です。でも、在宅医療の主役は、患者さん本人なのですよ。主役を取り戻すことのできる在宅医療。貴方の人生の主役は、何といってもあなた自身なのですから!!

貴方は、人生の主役を譲るつもりなのでしょうか?

在宅医療は、笑顔の医療です!笑顔のあなたが主役でしかありえないです!!

あーあ、今夜も当初アップした内容から5割ほど長くなってしまいました。訴えたいことが多いのですよ!お許しください!