自分で描いた絵がその場でスクリーンで動き始めたり、
自分の動きによって花が咲いたり散ったりしたり、
壁に映った文字が自分の手の中に吸い込まれ、美しい絵に変化していったり…
そんな大人も子供も楽しめる展覧会が、お台場の科学未来館ではじまりました。
「チームラボ 踊る!アート展と、 学ぶ!未来の遊園地」@科学未来館。
とても楽しみだったので、開幕初日にいってきました。
■"デジタル" だからできる、普通の美術館とはちょっと違った”展覧会。
「踊る!アート展と、学ぶ!未来の遊園地」なんて、ちょっと変わったタイトルの展覧会。
「踊る!アート展」: ”踊る”=特定の場所からではなく、どこから見ても・走り回って見ても・踊りながら見たって(?!)構わない”アート展”
「学ぶ!未来の遊園地」: ”遊園地”=作品で遊ぶことを通じてまわりの人と一緒に創造的な体験をしていく「共創」の感覚を育てる”未来の遊園地”
という、いわゆる”展覧会”とはちょっと違ったイメージの2つのゾーンで構成されています。
”デジタル” というと、現代的で少し無機質なイメージもありますが、 チームラボの作品には
「形や質量のない ”デジタル” の世界だからこそ自由な表現で、現代で排除され忘れられてきた感覚を取り戻せるのではないか」
といった考えがベースにあるそうで、今回の個展はそんな想いが伝わってくるような展示でした。
■ 美しい”デジタル”の映像美に触れる 「踊る!アート展」ゾーン。
展示はまず「踊る!アート展」ゾーンから始まります。
展示館内での写真もOKです。(「We Love Sharing」らしいです。)
入ってスグに迎えてくれるのが、花でいっぱいのこの空間。
「花と人、コントロールできないけれども共に生きる、そして永久に-Tokyo」
もし以前の日記を読んでくださって「あれ、この写真どこかで…?」と思ってくださる方がいたら嬉しいな。これは、”国東半島芸術祭”の作品の東京バーション。
会場には時間を追って、次々と季節の花が移り変わっていくのですが、
その場にじっとしていると自分の足元に花が咲き乱れ、早く動きまわると散ってしまう…
毎日せかせかと歩き回ってしまうけれども、走っている時には気づかず、立ち止まった時にそこに芽吹くものもあるのかな、と気づくような作品です。
「花と屍 剥落 十二幅対」は、掛け軸のような作品が12枚並んだ作品です。
一枚の”掛け軸”が、ひとつのテーマを持ち、それをつなぎ合わせると大きなストーリーになっていきます。
”絵”ではなくデジタルの”動画”なので、1枚1枚の絵の中で物語が再生されるのが面白いです。登場人物も一人ずつが生き生きと少しずつ違う動きを見せているのも面白いところ。
そして、個人的に一番好きだったのは
「追われるカラス、追うカラスも追われるカラス、そして分割された視点-Light in Dark」という映像作品。
「板野サーカス」と呼ばれる日本のアニメーション特有の表現方法(ミサイルなどを実際とは異なる遠近感・軌道にデフォルメして描く方法)をオマージュした作品です。
動画自体は公式サイトでも見られるのですが…
目の前いっぱいに広がる奥行きのあるディスプレイで、目の前いっぱいに映像が映しだされる没入感をぜひ体験してほしいなと思います。
気持ちよすぎて何ループも見入ってしまいました…
■ 大人も子供も夢中で遊べる「学ぶ!未来の遊園地」ゾーン
「アート」ゾーンを抜けると、大きな1部屋を使った「学ぶ!未来の遊園地」ゾーン。("teamLab Island"なんて名前になっています。)
「3D お絵かきタウン」は、車や飛行機,UFOや建物などの塗り絵に色を付けてスキャンしてもらうと、目の前のスクリーンでその絵が動き出すというもの。
ただ一つの面の色をつけただけなのに、くるくると回転したり色々な方向から見た絵が再現されるのが面白いです。
同じもので、”水族館”のバージョンもあり、こちらも大人気でした。
「まだ かみさまが いたるところにいたころの ものがたり」は、
書家・紫舟さんの書いた”象形文字”がスクリーンに映しだされ、この文字に触れると、文字にちなんだ絵が飛び出してくるもの。
自分が触れた部分から大きな象が飛び出したり、鳥が羽ばたいていったり…イラストの色や動きもとても素敵ですが、普段触れることのない象形文字から、”この漢字はもともとこんな形からできていたんだ!”ということをしることができるのも面白いです。
そして、「つながる!積み木列車」は、テーブル上のブロックを並べていくと、同じ色のブロックを結ぶレールや道路、運河や飛行機が現れる作品。
未来のプラレールといった感じでしょうか。まわりの人と協力して長い路線を作ると、その上を走る乗り物の種類が変わっていったり…
テーブルの上だけでなく、頭上のスクリーンにできた街が映しだされていくのも面白いです。
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この他にもまだまだ他にも面白い作品でいっぱいのチームラボの展覧会。
初日にも関わらずチケット売り場は行列だったので、前売りを購入されてからのお出かけをオススメします。
(前売り券も 優先レーン or 受付で入館券への引き換えが必要になるのでご注意を。)
特に「遊園地」ゾーンが混んでいましたが、企画展→常設展で回られる方が多いのか、閉館間際の16:00頃にはゆったりと見られるようになっていたのでこのぐらいの時間にもうひと回りされるのもおすすめです。(あくまでも初日の話なので、もし混んでいたらスミマセン…)
2015年3月1日(日)までと比較的長い期間開催されていますので、ぜひ一度ご体験ください。
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■ ところで…そもそも「チームラボ」って何者??
チームラボは、猪子寿之さんが代表を務める「ウルトラテクノロジスト集団」。一人のアーティストではなく、
プログラマーに始まり、エンジニア、数学者、建築家、CGアニメータ、デザイナーetc…のスペシャリストからなる総勢200人程度の会社です。
今年の博多キャナルシティのクリスマスツリーや、
渋谷パルコの案内板を手がけていたり、通常のwebデザインも手がけるなど”コマーシャル”な活動も多く手がける一方で、
ルーブル美術館で展示を行ったり、今年はNYで個展を開いたり…と、いわゆる”アート”の領域でも、幅広く活躍されている方々です。
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■DATA■
「チームラボ 踊る!アート展と、学ぶ!未来の遊園地」
会期:2014年11月29日(土)~2015年3月1日(日)
会場:日本科学未来館 (access)
開館時間:10:00~17:00(入館は閉館30分前まで)
休館日:毎週火曜
(但し、2014年12月23日(火・祝)2015年1月6日(火)は開館)
年末年始休館:2014年12月28日(日)~2015年1月1日(木)
チケット(当日券):
大人(19歳以上)・1800円、中人(小学生〜18歳)・1200円、小人(3歳〜小学生未満)・900円
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▼オマケ▼
チームラボの作品について思うこと。
この1年、美術館でも街中でもチームラボの作品に触れる機会が本当に多かったのですが、繰り返し見る度に少しずつ引っかかってきたことが2つ。
① なぜ、日本画(襖絵や掛け軸)のような構図で、時には宇宙的な”どこに視点をおいているのかわからない”描き方の作品が多いのか。
② 「”ディスプレイ” 対 ”個人”」の1対1の関係で終わりそうなデジタル作品なのに、周りの人のことを意識してしまうようになっているのはなぜなのか。
それが「六本木アートナイト」での猪子さんのトークや、書籍「チームラボって何者?」、そして今回の展覧会のキャプションを読み、はじめに書いたような「どこから見てもいい」「共創」の考え方が表現されているものであり、今回の展覧会のタイトルはまさにそれが表現されていたことを知りました。
特に「どこから見てもいい」というのは、明治以前の日本の絵の中に現れていた(西洋的な点遠近法とは異なる)もともと日本人の持っている視覚的感覚(消失点がなく、視点が移動可能な構図)を取り戻す試みなのだそうです。
”デジタル”というと、ちょっと冷たいイメージで、”過去の空間認識”や”他人との関わり”といったものは対極に存在しそうに感じてしまいますが、有限な”物質”から開放されることで、より自由に、作品と人との境界もあいまいとなる作品に挑戦していく考え方はとても面白いと感じています。
チームラボ、これからの作品も本当に楽しみです。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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